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第三章:新規依頼者
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さすがに出ることはなかったけど、キスの最中にきゅっと乳首をつねられ、その瞬間に果てた。
そんな僕に神谷くんはクスクス笑い、僕の精液を掬ってまたコリコリと僕の胸で遊び始めた。
「か~わいい。エッチな体してるんだね。乳首でイケちゃうの? あ、もしかして痛い方が好き?」
そう言ってさっきみたいにきゅっとつねり上げるから、僕の背筋は思わず反り上がる。
「ひゃ、あぁぁっ」
痛いのに気持ちいい。別にマゾってわけでもSMが好みってわけでもないのに、神谷くんにされてるって思うだけで、もう全部気持ちよく感じた。それは普段とのギャップが激しすぎるからだろう。初めて見る彼の姿だから。想像していたのと全然違う。昨夜の初心な彼はどこに行ったのだろうか。
「へぇ。こういうのがいいんだ。じゃあ決めてよ。お尻か乳首、どっち虐めてほしいの?」
そんな質問は意地悪だ。
「りょ…両方……」
素直に答えたのに、神谷くんは首を振った。
「どっち?」
たぶん乳首って答えるのが正解なんだろうけど、神谷くんの後ろに見えている掛け時計が七時を目前に控えている。そろそろここを出ないと学校に遅刻する。
「お尻……っ!」
だから、そっちを選んだ。
「い~んらん」
片方だけ口角を吊り上げた神谷くんは乳首から手を放し、まるで時間がないことを知っているようにその後無心に腰を打ち付け、初めてのエッチを終えた。
別れ際、神谷くんは玄関先で僕に軽いキスをくれた。そして、「また予約入れてもいい?」なんて控えめに聞いてくるから頷いた。
「当たり前だよ。いつでも指名して。ご飯作ってくれるんでしょ?」
聞くと彼は笑った。「そうだった」と。だけど、そのすぐ後で、どこか憂い気に目を伏せてから、また僕を見つめる。
「また来るよ。あの……その、思ってる以上に可愛かった」
「どういう意味? 僕は元々可愛いつもりなんだけど」
腕を組みむっと怒って見せると、神谷くんはまた可愛い笑顔で笑った。
「あはは! なんかいいな、三木って。居心地イイ。嫌なこと忘れられる」
こんなこと初めて利用者に言われた。けどびっくりした僕に気付いているのか否か、神谷くんはぎゅっと優しく抱きしめてきた。
「今日も一日頑張ろう」
そう言ってくれたんだけど、それはまるで自分に言ってるように感じて、僕は「うん」と返事するのを忘れてしまった。
そんな僕からすぐに体を離し、神谷くんは頼りない笑顔を浮かべたままさっと手をあげた。
「じゃ、またね。今日はありがとう」
たった数時間。だけど神谷くんはいろんな表情を僕に見せてくれた。
何故別れ際、こんなに悲しそうな顔をするのか僕には分からず、アパートを出ていく彼の後ろ姿を見つめながら、胸がきつく締め付けられた気がした。
そんな僕に神谷くんはクスクス笑い、僕の精液を掬ってまたコリコリと僕の胸で遊び始めた。
「か~わいい。エッチな体してるんだね。乳首でイケちゃうの? あ、もしかして痛い方が好き?」
そう言ってさっきみたいにきゅっとつねり上げるから、僕の背筋は思わず反り上がる。
「ひゃ、あぁぁっ」
痛いのに気持ちいい。別にマゾってわけでもSMが好みってわけでもないのに、神谷くんにされてるって思うだけで、もう全部気持ちよく感じた。それは普段とのギャップが激しすぎるからだろう。初めて見る彼の姿だから。想像していたのと全然違う。昨夜の初心な彼はどこに行ったのだろうか。
「へぇ。こういうのがいいんだ。じゃあ決めてよ。お尻か乳首、どっち虐めてほしいの?」
そんな質問は意地悪だ。
「りょ…両方……」
素直に答えたのに、神谷くんは首を振った。
「どっち?」
たぶん乳首って答えるのが正解なんだろうけど、神谷くんの後ろに見えている掛け時計が七時を目前に控えている。そろそろここを出ないと学校に遅刻する。
「お尻……っ!」
だから、そっちを選んだ。
「い~んらん」
片方だけ口角を吊り上げた神谷くんは乳首から手を放し、まるで時間がないことを知っているようにその後無心に腰を打ち付け、初めてのエッチを終えた。
別れ際、神谷くんは玄関先で僕に軽いキスをくれた。そして、「また予約入れてもいい?」なんて控えめに聞いてくるから頷いた。
「当たり前だよ。いつでも指名して。ご飯作ってくれるんでしょ?」
聞くと彼は笑った。「そうだった」と。だけど、そのすぐ後で、どこか憂い気に目を伏せてから、また僕を見つめる。
「また来るよ。あの……その、思ってる以上に可愛かった」
「どういう意味? 僕は元々可愛いつもりなんだけど」
腕を組みむっと怒って見せると、神谷くんはまた可愛い笑顔で笑った。
「あはは! なんかいいな、三木って。居心地イイ。嫌なこと忘れられる」
こんなこと初めて利用者に言われた。けどびっくりした僕に気付いているのか否か、神谷くんはぎゅっと優しく抱きしめてきた。
「今日も一日頑張ろう」
そう言ってくれたんだけど、それはまるで自分に言ってるように感じて、僕は「うん」と返事するのを忘れてしまった。
そんな僕からすぐに体を離し、神谷くんは頼りない笑顔を浮かべたままさっと手をあげた。
「じゃ、またね。今日はありがとう」
たった数時間。だけど神谷くんはいろんな表情を僕に見せてくれた。
何故別れ際、こんなに悲しそうな顔をするのか僕には分からず、アパートを出ていく彼の後ろ姿を見つめながら、胸がきつく締め付けられた気がした。
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