二番目の恋人 ~僕の恋はいつだって一番になれない~

2wei

文字の大きさ
上 下
24 / 198
第三章:新規依頼者

しおりを挟む
 さすがに出ることはなかったけど、キスの最中にきゅっと乳首をつねられ、その瞬間に果てた。

 そんな僕に神谷くんはクスクス笑い、僕の精液を掬ってまたコリコリと僕の胸で遊び始めた。

「か~わいい。エッチな体してるんだね。乳首でイケちゃうの? あ、もしかして痛い方が好き?」

 そう言ってさっきみたいにきゅっとつねり上げるから、僕の背筋は思わず反り上がる。

「ひゃ、あぁぁっ」

 痛いのに気持ちいい。別にマゾってわけでもSMが好みってわけでもないのに、神谷くんにされてるって思うだけで、もう全部気持ちよく感じた。それは普段とのギャップが激しすぎるからだろう。初めて見る彼の姿だから。想像していたのと全然違う。昨夜の初心な彼はどこに行ったのだろうか。

「へぇ。こういうのがいいんだ。じゃあ決めてよ。お尻か乳首、どっち虐めてほしいの?」

 そんな質問は意地悪だ。

「りょ…両方……」

 素直に答えたのに、神谷くんは首を振った。

「どっち?」

 たぶん乳首って答えるのが正解なんだろうけど、神谷くんの後ろに見えている掛け時計が七時を目前に控えている。そろそろここを出ないと学校に遅刻する。

「お尻……っ!」

 だから、そっちを選んだ。

「い~んらん」

 片方だけ口角を吊り上げた神谷くんは乳首から手を放し、まるで時間がないことを知っているようにその後無心に腰を打ち付け、初めてのエッチを終えた。


 別れ際、神谷くんは玄関先で僕に軽いキスをくれた。そして、「また予約入れてもいい?」なんて控えめに聞いてくるから頷いた。

「当たり前だよ。いつでも指名して。ご飯作ってくれるんでしょ?」

 聞くと彼は笑った。「そうだった」と。だけど、そのすぐ後で、どこか憂い気に目を伏せてから、また僕を見つめる。

「また来るよ。あの……その、思ってる以上に可愛かった」
「どういう意味? 僕は元々可愛いつもりなんだけど」

 腕を組みむっと怒って見せると、神谷くんはまた可愛い笑顔で笑った。

「あはは! なんかいいな、三木って。居心地イイ。嫌なこと忘れられる」

 こんなこと初めて利用者に言われた。けどびっくりした僕に気付いているのか否か、神谷くんはぎゅっと優しく抱きしめてきた。

「今日も一日頑張ろう」

 そう言ってくれたんだけど、それはまるで自分に言ってるように感じて、僕は「うん」と返事するのを忘れてしまった。
 そんな僕からすぐに体を離し、神谷くんは頼りない笑顔を浮かべたままさっと手をあげた。

「じゃ、またね。今日はありがとう」

 たった数時間。だけど神谷くんはいろんな表情を僕に見せてくれた。
 何故別れ際、こんなに悲しそうな顔をするのか僕には分からず、アパートを出ていく彼の後ろ姿を見つめながら、胸がきつく締め付けられた気がした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...