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成 熟
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ヒートなんか来なくても大丈夫だ。成熟が遅くたって、気にしなくていい。俺はいつだってキミにムラムラしてる。キミが好きで、可愛くて、仕方がない。
焦らなくていい。俺はキミの才能を”家庭”に閉じ込めるつもりはないし、仕事ができる今、存分にそれに打ち込んでくれていいとも思ってる。
もともとベータだったキミが努力して開花させた才能なんだ。オメガになろうとも、培った知識や能力は消えたりしない。俺はキミを心から応援している。
ただ今は……少しだけ、俺にかまってくれ。
好きで、仕方ないんだよ……、ルイ。
「大好き……タケさん」
この声も、その言葉も、何度も何度でも聞いていたい。俺にすべてを委ねる体の重さも、体温も……、すべてが愛おしい。
キミは俺の運命の人。
メルヘンだなんだのと小馬鹿にしていたベータの俺は、もう居ない。
「幸せだな……ルイ。そう思わないか?」
俺の腕の中で、才川君は優しく微笑み、「うん、とっても」と擽ったそうな声で頷いた。この幸福は、俺がアルファで、キミがオメガだから成立するんだろうか……。それとも、この幸福はたとえ俺たちがベータ同士でも、叶えられたことなのだろうか。……分からない。だけど、今が幸せで、キミが俺の運命の人で、本当に良かったと思う。
あの時、声をかけてくれてありがとうと言おうかどうしようか迷った。でも、結局それは伝えなかった。
きっと才川君は言うだろう。「運命ならいつか出会えていたはずだ」って。「俺が声をかけたからじゃない」って。そういう控えめなところも、愛している。
そうやって、二人並んで、手をつないで、俺たちは幸せな恋人生活を送った。
それから一年半。才川君は成熟した。
俺はもう完全に親元を離れ、才川君の家に転がり込んできていたが、その日才川くんは恥ずかしそうに「成熟したんだ」と報告してくれた。それがあまりに嬉しくて、とびきりのご馳走を作った。おいしいって二人で笑いあって、俺は自然と口にしていた。
「結婚しよう、ルイ」
彼は頬を真っ赤に染めてこくんと頷くと、ネックガードを外し、「俺なんかで良ければ」って恥ずかしそうに微笑んだ。
その日のうちに俺たちは番となった。
婚約指輪を買いに行き、両家へ挨拶に行き、結婚式場を巡った。幸せで幸せで仕方なかった。才川君のことが好きで、これからは死ぬまでずっと一緒なんだと思うと、何があっても俺が彼を守り抜くんだって、自分が強くなれたような気さえした。
彼が成熟し、番になってから半年、初めてのヒートが来た。
仕事を終え家に帰るなり、倒れそうなほどの甘ったるい匂いに思わず息を止めた。恐る恐る匂いの元を辿りリビングを開けると、パソコンが開かれた状態のまま、あられもない才川君が涙を流しながら自分を慰めていた。そのやらしい姿は今まで見てきたどの才川君よりも強烈だった。
「る……い」
「タケさん……っ、助けて。もう我慢できない……!」
ヒートが治まるまでの約一週間、番となっている俺にはオメガ休暇が適用され、来る日も来る日も才川君を抱き続けた──。
焦らなくていい。俺はキミの才能を”家庭”に閉じ込めるつもりはないし、仕事ができる今、存分にそれに打ち込んでくれていいとも思ってる。
もともとベータだったキミが努力して開花させた才能なんだ。オメガになろうとも、培った知識や能力は消えたりしない。俺はキミを心から応援している。
ただ今は……少しだけ、俺にかまってくれ。
好きで、仕方ないんだよ……、ルイ。
「大好き……タケさん」
この声も、その言葉も、何度も何度でも聞いていたい。俺にすべてを委ねる体の重さも、体温も……、すべてが愛おしい。
キミは俺の運命の人。
メルヘンだなんだのと小馬鹿にしていたベータの俺は、もう居ない。
「幸せだな……ルイ。そう思わないか?」
俺の腕の中で、才川君は優しく微笑み、「うん、とっても」と擽ったそうな声で頷いた。この幸福は、俺がアルファで、キミがオメガだから成立するんだろうか……。それとも、この幸福はたとえ俺たちがベータ同士でも、叶えられたことなのだろうか。……分からない。だけど、今が幸せで、キミが俺の運命の人で、本当に良かったと思う。
あの時、声をかけてくれてありがとうと言おうかどうしようか迷った。でも、結局それは伝えなかった。
きっと才川君は言うだろう。「運命ならいつか出会えていたはずだ」って。「俺が声をかけたからじゃない」って。そういう控えめなところも、愛している。
そうやって、二人並んで、手をつないで、俺たちは幸せな恋人生活を送った。
それから一年半。才川君は成熟した。
俺はもう完全に親元を離れ、才川君の家に転がり込んできていたが、その日才川くんは恥ずかしそうに「成熟したんだ」と報告してくれた。それがあまりに嬉しくて、とびきりのご馳走を作った。おいしいって二人で笑いあって、俺は自然と口にしていた。
「結婚しよう、ルイ」
彼は頬を真っ赤に染めてこくんと頷くと、ネックガードを外し、「俺なんかで良ければ」って恥ずかしそうに微笑んだ。
その日のうちに俺たちは番となった。
婚約指輪を買いに行き、両家へ挨拶に行き、結婚式場を巡った。幸せで幸せで仕方なかった。才川君のことが好きで、これからは死ぬまでずっと一緒なんだと思うと、何があっても俺が彼を守り抜くんだって、自分が強くなれたような気さえした。
彼が成熟し、番になってから半年、初めてのヒートが来た。
仕事を終え家に帰るなり、倒れそうなほどの甘ったるい匂いに思わず息を止めた。恐る恐る匂いの元を辿りリビングを開けると、パソコンが開かれた状態のまま、あられもない才川君が涙を流しながら自分を慰めていた。そのやらしい姿は今まで見てきたどの才川君よりも強烈だった。
「る……い」
「タケさん……っ、助けて。もう我慢できない……!」
ヒートが治まるまでの約一週間、番となっている俺にはオメガ休暇が適用され、来る日も来る日も才川君を抱き続けた──。
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