独り言。

柊 奏

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価値と僕。

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 たまにふと書きたくなる。

 それは衝動的で文脈なんてどうでもよくて
ただ思うがままに書く。

 僕は小説家になりたかった。
 でも、あんなのは稀にみない才能ある人だけがなれるのであって、僕みたいな凡人はただの日常を書くだけで精一杯。

 誰にも見せないのに、なんで書いてるの?ってたまに自分で思うこともあるけど、書いてる時だけは僕らしくいられる気がした。

 毎日毎日同じ時間帯の電車に乗って、代わり映えのしない人たちと顔をあわせ、家に帰る。
 
 これの往復。

 僕って何のために生まれてきたんだろうなんてだいそれたことは思わないけど、こんな無価値な日々に何の意味があるのだろうとは思う。

 男は晩婚も多いからなんて謎の励ましを受けるけど、別に結婚したいわけでも子供が欲しいわけでもない僕にとっては、ただの鬱な発言でしかない。

 今日もそんな無価値な日常をこうして文章にして書き改める僕はなんだろう。

 どうして僕は生きてるの?

 ずっとその疑問が抜けないまま死を待つ僕はどれほどつまらない人間なのだろう。

 自分にこれでもかって自身をもってる人がたまにいるけど、何をどうしたらそんな自尊心が生まれるのだろうか。

 育ち?もともとの素質?

 育ちだとしたら僕は納得をするかもしれない。

 親が子供を選べないように、子供も親を選べない。
 ただひとつ違うのは親は嫌になったら離婚という選択肢があって子供と離れられるし、施設や養子にだすとあうこともできる。でも、子供は自分で何かを選ぶ術がない。未成年であれば、大人の言うことが絶対であり身近な親がどうしても見本になってしまう。

 結婚したら自分もあんな親になるのだろうか?
 そう思うと結婚という選択を取りたいとは到底思えない、子供もいらない。


 誰もいらない、何もいらない。


 
 僕は独り、生きていく。



-end-
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