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第2堡塁の衝撃
第91話 19歳の防大1学年
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戦闘艦「しなの」艦載機による豪快な空中戦と、第3堡塁爆撃の衝撃は凄まじく、師団の残存兵力は、大いに士気を下げる結果となった。
「、、、、三枝、、お前、いつの間に空軍なんて手配していたんだ?」
それは、何とも歯切れが悪く聞いてくる城島だった。
「黙っててすまなかったな城島、敵が航空攻撃を仕掛けて来ることは予想されていたが、完全に敵を欺くには、こちらの手の内を全て公開することが出来なかったんだ」
それにしたって、徹底的な秘密保持であった。
龍二は、もちろん生徒会参謀部や陸軍工科学校の生徒達を信頼していた。
しかし、防諜とは、そういうものだと、何故か理解していたのである。
それは、優れた軍人が持つ安全弁とも言えた。
三枝龍二、この時点で19歳の防大1学年、そして陸軍中尉である。
彼のそう言った能力が、正当な評価を得るのは、恐らくまだ先の事になるだろう。
しかし、その能力を間近で見せられた者の中には、それに気付くことが出来る者も何名か存在していた。
如月 優と、通信見習いで指揮所に参加中の、経塚 雅司である。
当然、城島や幸も、三枝の異常性には気付いていたが、優と経塚の二人は、その思考過程まで異常であることに気付き、その思慮深さに恐怖すら覚えていた。
それは、二人にとっていつかは越えなければならない目標に思えた、、、のだが、到底超える事なんて出来ないとすら感じた。
恐らく、この兄弟達には、何か秘密があるに違いない、そう、秘密が。
そう思わなければ、生まれ持った龍二の能力に、嫉妬せずにはいられないのだ。
何しろ、龍二も自分たちも、戦術教育など、未だ受けたことなど無いのだから。
そんな時であっても、龍二は冷静に指揮を執り続けた。
「第3堡塁からの砲撃に注意せよ、もう、砲撃来るぞ」
一同がまだ、しなの艦載機による圧倒的な攻撃の余韻に浸っているその場の空気に割くように、、龍二の激が飛ぶ。
そう、まだ徒歩兵は第2堡塁に到達すらしていないのだから。
「第1堡塁の要塞砲部隊、全弾射耗して構わない、第2堡塁に向け、弾幕を発動」
一同は耳を疑った。
いくら今が勝機であっても、要塞砲だけが全弾撃ち尽くしてしまえば、再び自分たちの砲撃は、自隊の砲兵部隊と迫撃砲部隊のみになってしまう。
口径が大きく、破壊力の大きな、要塞砲部隊が撃てなくなってしまえば、最後の第3堡塁攻略が困難になることは明白だった。
「ねえ、三枝君、どうして要塞砲部隊だけにこれほどの射耗を強いるの?、分担して砲撃させた方がいいんじゃない?」
一般常識で言えば、優の言う事が正しい。
これは、砲兵術の基本中の基本である。
一つの砲に大量射耗させるより、全ての砲に射撃を分担させた方が、いざ敵の砲兵との撃ちあいになった時、優勢に戦う事が出来る。
しかし、撃ち尽くして門数が減ると、同時多発的に使用できる砲の数が少なくなってしまうため、威力が落ちてしまうのだ。
実は、優は密かに戦術の勉強を始めていたため、そのことに気付いていたのだ。
それは、憧れでもあり、友人でもあり、そしてライバルでもある三枝龍二に、少しでも追い付きたい、負けたくないという気持ちが働いていた。
そうしないと、自分はいつまでも徳川 幸と、友人以上に進めないと、そしてまた彼女も自分を男として見てくれないだろうと、そんな想いから来る行動であった。
そして優は、砲術に関して、自分はいくらか龍二よりも知識があると考えていた。
、、、しかし、それが実際には、それがそうではないという事を、思い知らされるのである。
「、、、、三枝、、お前、いつの間に空軍なんて手配していたんだ?」
それは、何とも歯切れが悪く聞いてくる城島だった。
「黙っててすまなかったな城島、敵が航空攻撃を仕掛けて来ることは予想されていたが、完全に敵を欺くには、こちらの手の内を全て公開することが出来なかったんだ」
それにしたって、徹底的な秘密保持であった。
龍二は、もちろん生徒会参謀部や陸軍工科学校の生徒達を信頼していた。
しかし、防諜とは、そういうものだと、何故か理解していたのである。
それは、優れた軍人が持つ安全弁とも言えた。
三枝龍二、この時点で19歳の防大1学年、そして陸軍中尉である。
彼のそう言った能力が、正当な評価を得るのは、恐らくまだ先の事になるだろう。
しかし、その能力を間近で見せられた者の中には、それに気付くことが出来る者も何名か存在していた。
如月 優と、通信見習いで指揮所に参加中の、経塚 雅司である。
当然、城島や幸も、三枝の異常性には気付いていたが、優と経塚の二人は、その思考過程まで異常であることに気付き、その思慮深さに恐怖すら覚えていた。
それは、二人にとっていつかは越えなければならない目標に思えた、、、のだが、到底超える事なんて出来ないとすら感じた。
恐らく、この兄弟達には、何か秘密があるに違いない、そう、秘密が。
そう思わなければ、生まれ持った龍二の能力に、嫉妬せずにはいられないのだ。
何しろ、龍二も自分たちも、戦術教育など、未だ受けたことなど無いのだから。
そんな時であっても、龍二は冷静に指揮を執り続けた。
「第3堡塁からの砲撃に注意せよ、もう、砲撃来るぞ」
一同がまだ、しなの艦載機による圧倒的な攻撃の余韻に浸っているその場の空気に割くように、、龍二の激が飛ぶ。
そう、まだ徒歩兵は第2堡塁に到達すらしていないのだから。
「第1堡塁の要塞砲部隊、全弾射耗して構わない、第2堡塁に向け、弾幕を発動」
一同は耳を疑った。
いくら今が勝機であっても、要塞砲だけが全弾撃ち尽くしてしまえば、再び自分たちの砲撃は、自隊の砲兵部隊と迫撃砲部隊のみになってしまう。
口径が大きく、破壊力の大きな、要塞砲部隊が撃てなくなってしまえば、最後の第3堡塁攻略が困難になることは明白だった。
「ねえ、三枝君、どうして要塞砲部隊だけにこれほどの射耗を強いるの?、分担して砲撃させた方がいいんじゃない?」
一般常識で言えば、優の言う事が正しい。
これは、砲兵術の基本中の基本である。
一つの砲に大量射耗させるより、全ての砲に射撃を分担させた方が、いざ敵の砲兵との撃ちあいになった時、優勢に戦う事が出来る。
しかし、撃ち尽くして門数が減ると、同時多発的に使用できる砲の数が少なくなってしまうため、威力が落ちてしまうのだ。
実は、優は密かに戦術の勉強を始めていたため、そのことに気付いていたのだ。
それは、憧れでもあり、友人でもあり、そしてライバルでもある三枝龍二に、少しでも追い付きたい、負けたくないという気持ちが働いていた。
そうしないと、自分はいつまでも徳川 幸と、友人以上に進めないと、そしてまた彼女も自分を男として見てくれないだろうと、そんな想いから来る行動であった。
そして優は、砲術に関して、自分はいくらか龍二よりも知識があると考えていた。
、、、しかし、それが実際には、それがそうではないという事を、思い知らされるのである。
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