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小さな革命
第42話 密 約
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昭三「僕は佳奈さんを諦めない。男が一度決めたことだ、師団長と話を付ける。」
経塚「やめとけ、どう考えても分が悪い。お前、下手すれば犯罪者として扱われるぞ!。」
昭三「しかし、今は逃げ隠れする時じゃないよ、捜索隊は今も不毛に探し続けているんだろ、まさか学校にいるとは思わないだろうし。」
経塚「わかった、それならオレが当直を呼んでくるから、まっててくれ。」
昭三「いや、その必要はない、直接話を付ける。ただお願いがある。これから一般回線で師団長と直接交渉する。その状況を校内に流して欲しいんだ。」
放送設備は当直室にある。これには少し他のメンバーと連携して当直室を空ける必要があった。
経塚「了解、なんとか考えてみる。」
そう言うと経塚は再び生徒舎の方向へ走り去っていった。
昭三「大丈夫、佳奈さんは心配しないで・・・。佳奈さん、お父さんの電話番号、教えてくれるね?これから僕はお父上と大事な話があるから。」
佳奈は携帯端末を取り出し、昭三に手渡した。
佳奈「お願いします、信じてますから。」
龍二達6名は防大に到着すると、緊急登庁を終えた学校長の元へアポも取らずに部屋へ向かった。
「何だ貴様ら、学校長へは庶務室を通せと言っているだろ!」
総務部の職員に止められたが、緊急事態であることを告げると、逆に学校長の方が、廊下に顔を出し、彼らを校長室へと招き入れた。
校長「そろそろ来る頃だと思ってたよ。上条佳奈さんのことでいいのかな?」
一同はどうして学校長がそのことを知っていたのかが不思議でならなかったが、事態の緊急性のほうが今は重要であった。
龍二「・・・恐らく、学校長のお話から察して、この度の一件が、当方の身内により引き起こされたこともご承知のことと思います。」
その時、その場にいた他の5名は一瞬耳を疑った。それは生徒会メンバーしか知り得ない事実と認識していたからである。 しかし、この二人の会話には自分たちがまだ知り得ない何かがあるのかが掴めずにいた。
校長「今、第一師団長の元へ、監事が赴いている。どういう意味か解るかな?」
龍二は全てを察した様子であった、が他の5人にはさっぱり要領を得ないでいた。
龍二「全てお見通しとおいう訳ですね。それでは一つお願いがあります、生徒会に学校長命による特別権限をお与えいただけませんか?」
校長「なるほど、そうか、・・・。わかった。国防大学校校長命として行動命令を発刊しよう。この通知で、軍の行動に干渉出来る権限を与える。生徒会最初にして最大の試練となるかもしれないね。頑張って取り組んでくれたまえ。」
短い会話であったが、大いなる成果であった。一同は校長室を出ると、一斉に龍二の所に集まった。
清水「なに、なに、一体何なのあなたは?学校長と一学生がなんであんな会話が成立するわけ?隠していることすべて白状しなさい!」
それは一同、同様に聞きたい内容であった。
龍二「ここでは人の目がありますから、一度学生室に戻りましょう。」
そうして一同は真夜中の学生室に入り、暖をとった。優が、お茶の準備をしながら龍二は学生室長の席に座った。
清水「へー、すごいね。生徒会って一部署を構えてるんだ、これは予想外・・・。」
清水はニコリと笑い、国防大学校OBとして何かを察した様子であった。清水達が在校していた頃には考えられない状態である。それは恐らく三枝龍二がトリガーとなっていることはすぐに気付いた。そして先程の校長との会話も、何か大きな組織ぐるみの臭いがするのであった。
城島「さあ、それじゃあ説明してもらおうか三枝。」
龍二「そうだな、、まずこの学校の監事は、前第1師団長だということ。監事が東京練馬の第一師団へ赴いたということの意味は、この件を国防大学校である程度解決する何かを期待しているということ。これらを示している。そして軍の情報網は、既に上条佳奈さんと昭三が何らかの係わりをもっていることまで既に把握している。学校長はこの生徒会を使ってこの一連の騒動に何とか幕引きを図らせたいという思いが感じられた。自分で発案した組織だからな。大きな実績を期待しているんだろうよ。」
一同はそんな龍二の観察眼に関心した様子であったが、龍二はこの時、上層部は更にその上を期待していると感じていたが、この時生徒会メンバーにはそのことに触れずにいた。
そんな中、優が各員に紅茶を入れて持ってきた。
清水「あら、私にまで、本当に君はよく気が付く子ね!ガサツなどこかのだれかさんと違い、しっかり者だわ!」
清水がそう言うのも無理はない。紅茶の入れ方も本格的であり、テーブルの中央には、小洒落たお菓子も添えられており、女子のハートをいかにもくすぐりそうなところを、ちゃんと心得ていた。もちろん当の優自身は全くそんなことを意識していたわけではないが、いつも家でやっているように普通に出しただけであった。
優「でも、具体的に何をすればいいのかな?」
龍二「そだな・・・、まず昭三達と接触しなければならないことは確かだが・・・。」
そんな行き詰まった所に、訓練部から意外な報告が入った。
「室長、上条佳奈の居場所が判明しました、陸軍工科学校内です。大変申し上げにくいことですが・・・、弟さん、昭三さんも一緒のようです。」
事態が急転し始めたことを、その場の全員が認識した。
経塚「やめとけ、どう考えても分が悪い。お前、下手すれば犯罪者として扱われるぞ!。」
昭三「しかし、今は逃げ隠れする時じゃないよ、捜索隊は今も不毛に探し続けているんだろ、まさか学校にいるとは思わないだろうし。」
経塚「わかった、それならオレが当直を呼んでくるから、まっててくれ。」
昭三「いや、その必要はない、直接話を付ける。ただお願いがある。これから一般回線で師団長と直接交渉する。その状況を校内に流して欲しいんだ。」
放送設備は当直室にある。これには少し他のメンバーと連携して当直室を空ける必要があった。
経塚「了解、なんとか考えてみる。」
そう言うと経塚は再び生徒舎の方向へ走り去っていった。
昭三「大丈夫、佳奈さんは心配しないで・・・。佳奈さん、お父さんの電話番号、教えてくれるね?これから僕はお父上と大事な話があるから。」
佳奈は携帯端末を取り出し、昭三に手渡した。
佳奈「お願いします、信じてますから。」
龍二達6名は防大に到着すると、緊急登庁を終えた学校長の元へアポも取らずに部屋へ向かった。
「何だ貴様ら、学校長へは庶務室を通せと言っているだろ!」
総務部の職員に止められたが、緊急事態であることを告げると、逆に学校長の方が、廊下に顔を出し、彼らを校長室へと招き入れた。
校長「そろそろ来る頃だと思ってたよ。上条佳奈さんのことでいいのかな?」
一同はどうして学校長がそのことを知っていたのかが不思議でならなかったが、事態の緊急性のほうが今は重要であった。
龍二「・・・恐らく、学校長のお話から察して、この度の一件が、当方の身内により引き起こされたこともご承知のことと思います。」
その時、その場にいた他の5名は一瞬耳を疑った。それは生徒会メンバーしか知り得ない事実と認識していたからである。 しかし、この二人の会話には自分たちがまだ知り得ない何かがあるのかが掴めずにいた。
校長「今、第一師団長の元へ、監事が赴いている。どういう意味か解るかな?」
龍二は全てを察した様子であった、が他の5人にはさっぱり要領を得ないでいた。
龍二「全てお見通しとおいう訳ですね。それでは一つお願いがあります、生徒会に学校長命による特別権限をお与えいただけませんか?」
校長「なるほど、そうか、・・・。わかった。国防大学校校長命として行動命令を発刊しよう。この通知で、軍の行動に干渉出来る権限を与える。生徒会最初にして最大の試練となるかもしれないね。頑張って取り組んでくれたまえ。」
短い会話であったが、大いなる成果であった。一同は校長室を出ると、一斉に龍二の所に集まった。
清水「なに、なに、一体何なのあなたは?学校長と一学生がなんであんな会話が成立するわけ?隠していることすべて白状しなさい!」
それは一同、同様に聞きたい内容であった。
龍二「ここでは人の目がありますから、一度学生室に戻りましょう。」
そうして一同は真夜中の学生室に入り、暖をとった。優が、お茶の準備をしながら龍二は学生室長の席に座った。
清水「へー、すごいね。生徒会って一部署を構えてるんだ、これは予想外・・・。」
清水はニコリと笑い、国防大学校OBとして何かを察した様子であった。清水達が在校していた頃には考えられない状態である。それは恐らく三枝龍二がトリガーとなっていることはすぐに気付いた。そして先程の校長との会話も、何か大きな組織ぐるみの臭いがするのであった。
城島「さあ、それじゃあ説明してもらおうか三枝。」
龍二「そうだな、、まずこの学校の監事は、前第1師団長だということ。監事が東京練馬の第一師団へ赴いたということの意味は、この件を国防大学校である程度解決する何かを期待しているということ。これらを示している。そして軍の情報網は、既に上条佳奈さんと昭三が何らかの係わりをもっていることまで既に把握している。学校長はこの生徒会を使ってこの一連の騒動に何とか幕引きを図らせたいという思いが感じられた。自分で発案した組織だからな。大きな実績を期待しているんだろうよ。」
一同はそんな龍二の観察眼に関心した様子であったが、龍二はこの時、上層部は更にその上を期待していると感じていたが、この時生徒会メンバーにはそのことに触れずにいた。
そんな中、優が各員に紅茶を入れて持ってきた。
清水「あら、私にまで、本当に君はよく気が付く子ね!ガサツなどこかのだれかさんと違い、しっかり者だわ!」
清水がそう言うのも無理はない。紅茶の入れ方も本格的であり、テーブルの中央には、小洒落たお菓子も添えられており、女子のハートをいかにもくすぐりそうなところを、ちゃんと心得ていた。もちろん当の優自身は全くそんなことを意識していたわけではないが、いつも家でやっているように普通に出しただけであった。
優「でも、具体的に何をすればいいのかな?」
龍二「そだな・・・、まず昭三達と接触しなければならないことは確かだが・・・。」
そんな行き詰まった所に、訓練部から意外な報告が入った。
「室長、上条佳奈の居場所が判明しました、陸軍工科学校内です。大変申し上げにくいことですが・・・、弟さん、昭三さんも一緒のようです。」
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