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愛と怒りのバルコニー
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「いや、、、多いだろ!」
バルコニーでロミオを待つジュリエットは、自宅の箱庭に勢揃いした4人のロミオに対し、怒りを露にしていた。
「あのね、常識的に考えて、同じ顔が4人って迷惑だろ、ご近所の目ってもんも、あるわけよ。解る?、こんな夜中に《複数の男と密会している》的な状況って、どうよ?、「まあ、お盛んね」ってなるでしょ!、そういう事、考えなかったわけ?」
ロミオ1「まあまあ、落ち着いて」
ロミオ2「まあまあ、落ち着いて」
ロミオ3「まあまあ、落ち着いて」
ロミオ4「まあまあ、落ち着いて」
「全員で一斉に話すな!、お前らはクローン人間か?、大体、流行っているのか六子とか五子とかのそっくり兄弟姉妹!」
ロミオ1「僕たちは4人だけど」
ロミオ2「僕たちは4人だけど」
ロミオ3「僕たちは4人だけど」
ロミオ4「僕たちは4人だけど」
「うるさい!、だから、全員同じ顔で同じ言葉を発するな!、気持ち悪い!、いい?、これからは何か話したい時は、一人づつ交代交代で話なさい!、いいわね!」
ジュリエットの箱庭は、何か異様な空気に包まれた。
このコピペのような4人のロミオ、一人の時には全く感じなかった気持ち悪さが、一層ジュリエットの興を削ぐ。
、、、これは無理だな、別れよう、ジュリエットはそう心に誓った。
ロミオ1「どうしたら」
ロミオ2「君のご機嫌を」
ロミオ3「直して」
ロミオ4「もらえるだろうか?」
「、、、、いやー、なんか違うんだよなー、そういう事じゃないんんだよ、、、何なのあんた達、本当にコピーか何かなわけ?、ちょっと気持ち悪いんだけど」
ロミオ1「僕たちは」
ロミオ2「4人で」
ロミオ3「一心同体」
ロミオ4「です」
「パズルか!、お前らはパズルなのか?、最後の「です」は、要らないだろ、おい4番、お前ちょっとは自覚しろよな!」
すると、ロミオ4は少し寂しそうな顔をした。
ジュリエットは、それが少し気にはなったが、怒りがこれを凌駕していて気が付けないレベルであった。
ロミオ1「おおジュリエット」
ロミオ2「貴女はどうして」
ロミオ3「ジュリエットなんですか」
ロミオ4「、、」
「るっせいっ!、それは私の台詞!、なにいいとこ持ってってんだよ。「ロミオ、どうして貴方は4人なの?」、、、てか?。って言うか、とうとう4番目セリフ無くなってんじゃん、あんた、いる意味ある?。ああ、もう台無しだよ、あたいの人生、もう詰んだわ!」
すると、4番の表情が、少しだけ嬉しそうになった。
他の3人は、それが不思議でならない。
ロミオ1「次の」
ロミオ2「日曜日」
ロミオ3「二入で駆け落ちを」
ロミオ4「しませんだすか?」
「おい4番!、なんだ、今の「だすか?」ってのは、バカにしてるのか?」
そう言ったジュリエットの心は高鳴っていた。
これだけ4人がコピーのように個性の無い中で、4番だけは、なんだかおっちょこちょいで、とてもダメな男に見えてしまう。
よく見ると、4番だけは服の着こなしもだらしなく、袖口にケチャップが付いていたり、寝癖がそのままだったりと、いかにもダメ男だ。
それに気付いたジュリエットは呼吸を荒くしながら、やや興奮しているのが自分でも解った。
なに?、この気持ち
どうしてあんなダメな4番を見ていて胸が高鳴るのかしら、、、
これは何?、私、どうしたって言うの?
それは、紛れもなく「恋」である。
そう、ジュリエットは、完璧な男性ではなく、ちょっとダメな男性に惹かれる、典型的な「ダメンズ」好みであることを、自身はまだ知らないのである。
、、、知らない故に、彼女は勘違いをしてしまう、これこそが本物の愛であると。
ああ、この4番は、きっと私がいないとまともな生活すら出来ないダメ男なんだわ。
ああ、もう、ずるい!
そんなケチャップの染みなんて見せられたら、面倒みてあげたくなるじゃない、、、、ちょっと、私に貴方の面倒みさせなさいよ!、掃除、洗濯させないさいよ!、もう4番は一日中家でゴロゴロしてていいから、私があなたを養うから、あなたはどうか、そのままの4番でいて!。
ジュリエットは、典型的な男をダメにするタイプであった。
「ちょっといいかしら4番」
、、、4番、、あ、僕か、と自分が4番と呼ばれていることを認識する、、ロミオ4、、番。
「はい、なんでしょう?」
「あなた、将来の夢は?」
「はい、ビッグになることです」
クーッ!、こりゃダメだわ!
ジュリエットは、そう感じると背筋にゾクゾクと来る何かを感じ取っていた。
何も目的も無く、ビッグになりたいと言う男でビッグになった男は有史以来その存在は確認されていない。
これはいよいよ本物の予感しかしない。
これは単に特殊性癖のようなものであるが、ジュリエットはこの時、それが真実の愛だと思って疑わなかった。
「では、あなたは将来、どんな大人になりたいのですか?」
「はい、いつまでも少年の心を持った大人になりたいです」
グハッ!、、、刺さるー!、あんたはきっと、そんな大人になりますよ!少年のようなキラキラした目の大人に!
これは、、、本物のダメ男だわ!
これまでコピペのような4人だと思っていたところに、この4番の個性!、これはズルいわ、犯罪級よ!
ロミオ1「あのー、ジュリエットさん、、、ちょっとタイムで」
1番がジュリエットにそう提案すると、4人はそそくさと箱庭の茂みへ集まった。
ロミオ1「ぶっちゃけ、どうよ?」
ロミオ3「いやー、僕はちょっと無いかなー、ジュリエット、口悪くない?」
ロミオ2「あ、それ僕も思った!、ツッコミがもうデラックスじゃん、あれ!」
ロミオ1「ハハハ!、デラックスって、それな!、俺には無理だなー有吉枠は!」
ロミオ4「そうかな、僕は違うと思うよ、ジュリエットは、、、」
ロミオ3「、、、え、なに、お前、そう言う感じ?、、、え?、何で?」
ロミオ4「いや、、、僕ね、自分の事「あたい」っていう女性、好きなんだよね」
1~3番は、呆れ顔でこう言うのだった。
ロミオ1「もう、お前ら結婚しちゃえよ」
ロミオ1「もう、お前ら結婚しちゃえよ」
ロミオ1「もう、お前ら結婚しちゃえよ」
4番は、照れながらクネクネしている。
なんだか、お似合いのカップルだなあと、みんなは思った。
バルコニーでロミオを待つジュリエットは、自宅の箱庭に勢揃いした4人のロミオに対し、怒りを露にしていた。
「あのね、常識的に考えて、同じ顔が4人って迷惑だろ、ご近所の目ってもんも、あるわけよ。解る?、こんな夜中に《複数の男と密会している》的な状況って、どうよ?、「まあ、お盛んね」ってなるでしょ!、そういう事、考えなかったわけ?」
ロミオ1「まあまあ、落ち着いて」
ロミオ2「まあまあ、落ち着いて」
ロミオ3「まあまあ、落ち着いて」
ロミオ4「まあまあ、落ち着いて」
「全員で一斉に話すな!、お前らはクローン人間か?、大体、流行っているのか六子とか五子とかのそっくり兄弟姉妹!」
ロミオ1「僕たちは4人だけど」
ロミオ2「僕たちは4人だけど」
ロミオ3「僕たちは4人だけど」
ロミオ4「僕たちは4人だけど」
「うるさい!、だから、全員同じ顔で同じ言葉を発するな!、気持ち悪い!、いい?、これからは何か話したい時は、一人づつ交代交代で話なさい!、いいわね!」
ジュリエットの箱庭は、何か異様な空気に包まれた。
このコピペのような4人のロミオ、一人の時には全く感じなかった気持ち悪さが、一層ジュリエットの興を削ぐ。
、、、これは無理だな、別れよう、ジュリエットはそう心に誓った。
ロミオ1「どうしたら」
ロミオ2「君のご機嫌を」
ロミオ3「直して」
ロミオ4「もらえるだろうか?」
「、、、、いやー、なんか違うんだよなー、そういう事じゃないんんだよ、、、何なのあんた達、本当にコピーか何かなわけ?、ちょっと気持ち悪いんだけど」
ロミオ1「僕たちは」
ロミオ2「4人で」
ロミオ3「一心同体」
ロミオ4「です」
「パズルか!、お前らはパズルなのか?、最後の「です」は、要らないだろ、おい4番、お前ちょっとは自覚しろよな!」
すると、ロミオ4は少し寂しそうな顔をした。
ジュリエットは、それが少し気にはなったが、怒りがこれを凌駕していて気が付けないレベルであった。
ロミオ1「おおジュリエット」
ロミオ2「貴女はどうして」
ロミオ3「ジュリエットなんですか」
ロミオ4「、、」
「るっせいっ!、それは私の台詞!、なにいいとこ持ってってんだよ。「ロミオ、どうして貴方は4人なの?」、、、てか?。って言うか、とうとう4番目セリフ無くなってんじゃん、あんた、いる意味ある?。ああ、もう台無しだよ、あたいの人生、もう詰んだわ!」
すると、4番の表情が、少しだけ嬉しそうになった。
他の3人は、それが不思議でならない。
ロミオ1「次の」
ロミオ2「日曜日」
ロミオ3「二入で駆け落ちを」
ロミオ4「しませんだすか?」
「おい4番!、なんだ、今の「だすか?」ってのは、バカにしてるのか?」
そう言ったジュリエットの心は高鳴っていた。
これだけ4人がコピーのように個性の無い中で、4番だけは、なんだかおっちょこちょいで、とてもダメな男に見えてしまう。
よく見ると、4番だけは服の着こなしもだらしなく、袖口にケチャップが付いていたり、寝癖がそのままだったりと、いかにもダメ男だ。
それに気付いたジュリエットは呼吸を荒くしながら、やや興奮しているのが自分でも解った。
なに?、この気持ち
どうしてあんなダメな4番を見ていて胸が高鳴るのかしら、、、
これは何?、私、どうしたって言うの?
それは、紛れもなく「恋」である。
そう、ジュリエットは、完璧な男性ではなく、ちょっとダメな男性に惹かれる、典型的な「ダメンズ」好みであることを、自身はまだ知らないのである。
、、、知らない故に、彼女は勘違いをしてしまう、これこそが本物の愛であると。
ああ、この4番は、きっと私がいないとまともな生活すら出来ないダメ男なんだわ。
ああ、もう、ずるい!
そんなケチャップの染みなんて見せられたら、面倒みてあげたくなるじゃない、、、、ちょっと、私に貴方の面倒みさせなさいよ!、掃除、洗濯させないさいよ!、もう4番は一日中家でゴロゴロしてていいから、私があなたを養うから、あなたはどうか、そのままの4番でいて!。
ジュリエットは、典型的な男をダメにするタイプであった。
「ちょっといいかしら4番」
、、、4番、、あ、僕か、と自分が4番と呼ばれていることを認識する、、ロミオ4、、番。
「はい、なんでしょう?」
「あなた、将来の夢は?」
「はい、ビッグになることです」
クーッ!、こりゃダメだわ!
ジュリエットは、そう感じると背筋にゾクゾクと来る何かを感じ取っていた。
何も目的も無く、ビッグになりたいと言う男でビッグになった男は有史以来その存在は確認されていない。
これはいよいよ本物の予感しかしない。
これは単に特殊性癖のようなものであるが、ジュリエットはこの時、それが真実の愛だと思って疑わなかった。
「では、あなたは将来、どんな大人になりたいのですか?」
「はい、いつまでも少年の心を持った大人になりたいです」
グハッ!、、、刺さるー!、あんたはきっと、そんな大人になりますよ!少年のようなキラキラした目の大人に!
これは、、、本物のダメ男だわ!
これまでコピペのような4人だと思っていたところに、この4番の個性!、これはズルいわ、犯罪級よ!
ロミオ1「あのー、ジュリエットさん、、、ちょっとタイムで」
1番がジュリエットにそう提案すると、4人はそそくさと箱庭の茂みへ集まった。
ロミオ1「ぶっちゃけ、どうよ?」
ロミオ3「いやー、僕はちょっと無いかなー、ジュリエット、口悪くない?」
ロミオ2「あ、それ僕も思った!、ツッコミがもうデラックスじゃん、あれ!」
ロミオ1「ハハハ!、デラックスって、それな!、俺には無理だなー有吉枠は!」
ロミオ4「そうかな、僕は違うと思うよ、ジュリエットは、、、」
ロミオ3「、、、え、なに、お前、そう言う感じ?、、、え?、何で?」
ロミオ4「いや、、、僕ね、自分の事「あたい」っていう女性、好きなんだよね」
1~3番は、呆れ顔でこう言うのだった。
ロミオ1「もう、お前ら結婚しちゃえよ」
ロミオ1「もう、お前ら結婚しちゃえよ」
ロミオ1「もう、お前ら結婚しちゃえよ」
4番は、照れながらクネクネしている。
なんだか、お似合いのカップルだなあと、みんなは思った。
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