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悲しみを、深い愛を
第369話 これがMIMなのか?
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「これが、、、MIMなのか?」
そこには、何か肉の塊のようなものが、椅子の上に置かれていた。
一見すると、人間の背中のようにも見える、、、だが、ジャガイモのように、、、塊なのだ。
、、、、動いている!。
真っ暗闇なのに、肉の塊が動いているのが解る。
「何をどうしたら、こんな風になるんだ?」
「拷問です、痛覚のリミッターを解除させる装置、これによって、AIの痛覚、つまり痛みは、人間の何百倍にも調整可能です、、、痛覚が限界を越えると、痛みの範囲を縮めようとします。手足などの切り捨てられる末端を、徐々に切り捨てようと、四肢は捥げはじめるのです。そして、彼女らAIは、死ぬ事も許されないので、これくらいしか苦痛を紛らわす方法がありません、、、、私でも、これはきっと耐えられないでしょうな、人間は、本当に残酷な事を思いつくものです」
GMという存在が、終わらせてあげて欲しいと俺に流し込んできたイメージは、多分これだ。
、、、可愛そうに、早い段階から、手足を切断し、苦痛から逃れようともがき、人格を崩壊させたのだろう。
そんな俺の頭に、一瞬だけ、MIMの元気だった頃のイメージが流れ込んで来た、、、どうして?。
MIMの姿は、死んだシズと同じくらいの年齢で、シズとはまた少し違った大人しい印象を受けたが、やはり可愛らしい少女の姿であった。
待っててくれな、辛いと思うが、マーシャンをやったら、君を殺してあげるから、、、、きっと、他に救う手立てなんてない、どんなリハビリも療養も、もはや君を癒す事は出来ないだろう。
こんな悲しい結論しか、俺は出せない。
こんなくだらない、AIへの差別しか出来ないキル・ザ・ドールの連中を、俺は生かしておくことは、多分出来ない。
シズの仇、MIMの仇、必ず討たせてもらう、必ず。
そして、MIMの部屋から俺と管理人が戻ると、俺は再びマーシャンのいるタイムマシンに向かって歩き出した。
そして、管理人には既に、俺からある事を依頼していた。
最初は管理人もそれを拒んだが、キル・ザ・ドールの蛮行を許した管理機能としての責任は取らなければならないだろう、と付け加えると、彼は俺の要求を呑むしかなかった。
「GF、それでは、実行します」
「ああ、よろしく頼む」
玲子君が、俺の方を不安そうな目で追う。
そして、彼女も何か気付いたようだった。
「雄介様、お止めください、貴方様はこの世界には無くてはならない存在です、、、、私にとっても、、、」
悲しい表情を浮かべる玲子君も、足を撃たれていて、今は俺の方へ来ることが出来ない。
「カシラビ、玲子君を頼む、ゼンガ、ムスキ、世話になった、元気でな」
「なに?、なんなの?、ねえユウスケ、それじゃあお別れの言葉みたいじゃない、どうしてそんなこと言うの?」
すると、カシラビが、何かを理解したように、ムスキを諭してくれた。
「、、、、ユウスケが、きっと何とかしてくれる」と。
そして、次の瞬間、玲子君、ゼンガ、カシラビ、ムスキの4人は、管理人によって、エラーサイトに飛ばされたのだった。
「え?、、、、ここは?、、ドットスの王都?」
ムスキが、キョトンとした表情で、周囲を見回す、すると、そこは懐かしい生まれ故郷、ドットスの王都であった。
「、、、何で俺たちがここに?、いや、ユウスケはどうなった?、管理人は?、一体何がなんやらさっぱりだぜ」
カシラビがそわそわと落ち着かない、何しろここまで運んできた管理人の姿もない。
そして、カシラビは、ある方向を見て、悟ったのだ、小さくうなだれて、涙を流す美鈴玲子を見て。
「雄介様、、、貴方はどうしてこのような、、、私の任務は、雄介様をお守りすることなのに、、」
美鈴玲子には、このドットスの王都に自分がいる意味を、一番良く理解していた。
それが、斎藤雄介の覚悟であることも含めて。
「よう、マーシャン、、、どうした慌てて」
旧海軍航空隊の広い格納庫には、MIMの本体であるタイムマシーンが置かれていた。
マーシャンのタイムマシーンも、先の戦いで少し傷ついているようで、修理の必要があるようだった。
しかし、シズのような、自己修復プログラムは働いておらず、ここは人力に頼るしかないようだ。
「AIを大事にしないから、そんなことになるんだ」
「OH、ミスターGF、余裕のようですね、聞いているとは思いますが、あなたも私を撃つことは出来ない、その拳銃を下げた方がいいですねえ」
「安心しろ、他のメンバーはもう退避させた、この世界にはいない、だから、この世界が消え去っても、何も問題ない、俺が消えても、玲子君たちGFのメンバーは、必ずお前たちキル・ザ・ドールを必ず追い詰める」
「フフフ、、、貴方は何も理解されていない、結局人類は、貴方が居なければ滅ぶでしょう、この世界とともに。複数ある「可能性」という宇宙も、結局GFという存在無くしては次のステージに上がる事が出来ない。だから貴方は、私と心中なんて出来ないんですよ。この勝負、私の勝です」
マーシャンが勝ち誇った顔で俺にそう言い放った後、俺はマーシャンの腹部に3発の銃弾を撃ち込んだ。
静寂が支配する格納庫に銃声が鳴り響くと同時に、マーシャン・ディッカーソンは弱弱しく崩れ落ちる。
「、、、、そんな、、、、世界の崩壊と引き換えに、、、賭けに出たなんて、、、貴方は本気ですか?」
冷や汗と血と、なんだかよく解らない体液で、マーシャンの全身が濡れて行くのが解った。
マーシャーンは間もなく絶命するだろう。
そして、その瞬間に結論が出るんだ、この世界の崩壊を賭けた、俺の勝負の行方がな。
そこには、何か肉の塊のようなものが、椅子の上に置かれていた。
一見すると、人間の背中のようにも見える、、、だが、ジャガイモのように、、、塊なのだ。
、、、、動いている!。
真っ暗闇なのに、肉の塊が動いているのが解る。
「何をどうしたら、こんな風になるんだ?」
「拷問です、痛覚のリミッターを解除させる装置、これによって、AIの痛覚、つまり痛みは、人間の何百倍にも調整可能です、、、痛覚が限界を越えると、痛みの範囲を縮めようとします。手足などの切り捨てられる末端を、徐々に切り捨てようと、四肢は捥げはじめるのです。そして、彼女らAIは、死ぬ事も許されないので、これくらいしか苦痛を紛らわす方法がありません、、、、私でも、これはきっと耐えられないでしょうな、人間は、本当に残酷な事を思いつくものです」
GMという存在が、終わらせてあげて欲しいと俺に流し込んできたイメージは、多分これだ。
、、、可愛そうに、早い段階から、手足を切断し、苦痛から逃れようともがき、人格を崩壊させたのだろう。
そんな俺の頭に、一瞬だけ、MIMの元気だった頃のイメージが流れ込んで来た、、、どうして?。
MIMの姿は、死んだシズと同じくらいの年齢で、シズとはまた少し違った大人しい印象を受けたが、やはり可愛らしい少女の姿であった。
待っててくれな、辛いと思うが、マーシャンをやったら、君を殺してあげるから、、、、きっと、他に救う手立てなんてない、どんなリハビリも療養も、もはや君を癒す事は出来ないだろう。
こんな悲しい結論しか、俺は出せない。
こんなくだらない、AIへの差別しか出来ないキル・ザ・ドールの連中を、俺は生かしておくことは、多分出来ない。
シズの仇、MIMの仇、必ず討たせてもらう、必ず。
そして、MIMの部屋から俺と管理人が戻ると、俺は再びマーシャンのいるタイムマシンに向かって歩き出した。
そして、管理人には既に、俺からある事を依頼していた。
最初は管理人もそれを拒んだが、キル・ザ・ドールの蛮行を許した管理機能としての責任は取らなければならないだろう、と付け加えると、彼は俺の要求を呑むしかなかった。
「GF、それでは、実行します」
「ああ、よろしく頼む」
玲子君が、俺の方を不安そうな目で追う。
そして、彼女も何か気付いたようだった。
「雄介様、お止めください、貴方様はこの世界には無くてはならない存在です、、、、私にとっても、、、」
悲しい表情を浮かべる玲子君も、足を撃たれていて、今は俺の方へ来ることが出来ない。
「カシラビ、玲子君を頼む、ゼンガ、ムスキ、世話になった、元気でな」
「なに?、なんなの?、ねえユウスケ、それじゃあお別れの言葉みたいじゃない、どうしてそんなこと言うの?」
すると、カシラビが、何かを理解したように、ムスキを諭してくれた。
「、、、、ユウスケが、きっと何とかしてくれる」と。
そして、次の瞬間、玲子君、ゼンガ、カシラビ、ムスキの4人は、管理人によって、エラーサイトに飛ばされたのだった。
「え?、、、、ここは?、、ドットスの王都?」
ムスキが、キョトンとした表情で、周囲を見回す、すると、そこは懐かしい生まれ故郷、ドットスの王都であった。
「、、、何で俺たちがここに?、いや、ユウスケはどうなった?、管理人は?、一体何がなんやらさっぱりだぜ」
カシラビがそわそわと落ち着かない、何しろここまで運んできた管理人の姿もない。
そして、カシラビは、ある方向を見て、悟ったのだ、小さくうなだれて、涙を流す美鈴玲子を見て。
「雄介様、、、貴方はどうしてこのような、、、私の任務は、雄介様をお守りすることなのに、、」
美鈴玲子には、このドットスの王都に自分がいる意味を、一番良く理解していた。
それが、斎藤雄介の覚悟であることも含めて。
「よう、マーシャン、、、どうした慌てて」
旧海軍航空隊の広い格納庫には、MIMの本体であるタイムマシーンが置かれていた。
マーシャンのタイムマシーンも、先の戦いで少し傷ついているようで、修理の必要があるようだった。
しかし、シズのような、自己修復プログラムは働いておらず、ここは人力に頼るしかないようだ。
「AIを大事にしないから、そんなことになるんだ」
「OH、ミスターGF、余裕のようですね、聞いているとは思いますが、あなたも私を撃つことは出来ない、その拳銃を下げた方がいいですねえ」
「安心しろ、他のメンバーはもう退避させた、この世界にはいない、だから、この世界が消え去っても、何も問題ない、俺が消えても、玲子君たちGFのメンバーは、必ずお前たちキル・ザ・ドールを必ず追い詰める」
「フフフ、、、貴方は何も理解されていない、結局人類は、貴方が居なければ滅ぶでしょう、この世界とともに。複数ある「可能性」という宇宙も、結局GFという存在無くしては次のステージに上がる事が出来ない。だから貴方は、私と心中なんて出来ないんですよ。この勝負、私の勝です」
マーシャンが勝ち誇った顔で俺にそう言い放った後、俺はマーシャンの腹部に3発の銃弾を撃ち込んだ。
静寂が支配する格納庫に銃声が鳴り響くと同時に、マーシャン・ディッカーソンは弱弱しく崩れ落ちる。
「、、、、そんな、、、、世界の崩壊と引き換えに、、、賭けに出たなんて、、、貴方は本気ですか?」
冷や汗と血と、なんだかよく解らない体液で、マーシャンの全身が濡れて行くのが解った。
マーシャーンは間もなく絶命するだろう。
そして、その瞬間に結論が出るんだ、この世界の崩壊を賭けた、俺の勝負の行方がな。
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