370 / 390
悲しみを、深い愛を
第368話 出生の秘密
しおりを挟む
神奈川県は追浜《おっぱま》に、旧横須賀海軍航空隊、その第1飛行場がそこにはあった。
かつては海軍を代表する強力な航空隊が存在していたが、今では見る影もない。
スクラップ待ちの日本海軍の航空機が、未だ滑走路の至る所に放置されていた。
かつては、真珠湾を壊滅させた歴戦の航空隊。
その飛行場には、今は米軍の最新鋭機が駐機している。
そして、マーシャンの保有しているP-51が5機も。
俺たちは分散して、キル・ザ・ドールの戦闘力を一気に壊滅させる作戦を立てていた。
そして、玲子君はカシラビとともに、マーシャン・ディッカーソンが居るであろう、航空機格納庫に向かった。
ムスキは、その怒りに任せて、あのエラーサイトで使っていた杖を天空にかざすと、一気に地面へ突き立てた。
杖の先端についている宝石が、まるで電球のように明るく光る、、、しかし、その明るさは尋常ではなかった。
俺が見たムスキの杖は、懐中電灯程度の明るさだったが、今回は以上な発光現象だ。
怒れるムスキの杖は、コンクリートで固められた滑走路に稲光のような閃光を走らせた。
キル・ザ・ドールの戦闘機は、その閃光が到達するや、燃料タンクと共に大爆発を起こした。
その炎をバックに、重機関銃を持ったゼンガが基地内の航空機を次々と破壊してゆく。
突然のことに、基地警備に当たっていた米兵も、日本人ガーディアンも、大慌てで飛び出してくる。
そんな時だった、飛び出してきた兵士に混ざって、玲子君とカシラビの姿があった。
「どうした、玲子君、大丈夫か?」
俺が叫んだその時、拳銃を構えるマーシャンの姿が見えた。
遠くてもそれは、マーシャンが発砲したのが解る。
「玲子君!」
何故だ?、どうして玲子君の方が追い込まれているんだ?
俺は、北村少佐の形見でもある、南部自動拳銃を抜いて、マーシャンに向けた、、、殺さなければいいんだよな。
「いけません雄介様、マーシャンを撃ってはいけません」
その声が聞こえたと同時に、俺はマーシャンの近くに2発発射した。
だが、玲子君が撃ってはいけない、という意味が、どうにも理解出来ない。
俺が21世紀の人間だから、殺せないという理屈は解るのだが、玲子君の慌て方が尋常ではなかった。
玲子君は、マーシャンに撃たれて格納庫前のハンガーに倒れ込んでいる、カシラビも玲子君を庇いつつ、反撃が出来ていない。
俺は、玲子君の制止も聞かず、さらに数発の弾丸を至近弾で撃ち込んだ。
「だめです雄介様、発砲はお控えください」
「おい、管理人、玲子君、少し変じゃないか?、どうして反撃しないんだ?」
「、、、、、これは、、なるほど、キル・ザ・ドールの切り札という訳ですか」
「なんだよ管理人、君でもマーシャンを殺せないのか?」
「私は管理人、直接事象に介入する事は出来ません」
俺は玲子君の方向へ向かって必死で走っていた。
その後ろから、再び管理人が俺を飛ばした。
一気に玲子君までの距離が短縮し、俺は玲子君の目の前に居た。
そして、管理人の存在に気付いたマーシャンは、格納庫方向へ向け走り出した。
マーシャンの背中に向け、拳銃を向ける俺を、玲子君は痛みに耐えながら、拳銃を持った腕にしがみついた。
「ダメです雄介様、マーシャンは、私も、あなたも、そして異世界の3人も殺害する事が出来ません」
「何で?、一体何がそこまでマーシャンの殺害を拒むんだ」
すると、管理人が後ろから冷静に、こう述べた。
「マーシャン・ディッカーソンの出生年代が、、、、特定出来ないのです」
は?、何言っている?、マーシャンは玲子君と同じ時代から来たGF職員だろ、、、、、まさか!
かつては海軍を代表する強力な航空隊が存在していたが、今では見る影もない。
スクラップ待ちの日本海軍の航空機が、未だ滑走路の至る所に放置されていた。
かつては、真珠湾を壊滅させた歴戦の航空隊。
その飛行場には、今は米軍の最新鋭機が駐機している。
そして、マーシャンの保有しているP-51が5機も。
俺たちは分散して、キル・ザ・ドールの戦闘力を一気に壊滅させる作戦を立てていた。
そして、玲子君はカシラビとともに、マーシャン・ディッカーソンが居るであろう、航空機格納庫に向かった。
ムスキは、その怒りに任せて、あのエラーサイトで使っていた杖を天空にかざすと、一気に地面へ突き立てた。
杖の先端についている宝石が、まるで電球のように明るく光る、、、しかし、その明るさは尋常ではなかった。
俺が見たムスキの杖は、懐中電灯程度の明るさだったが、今回は以上な発光現象だ。
怒れるムスキの杖は、コンクリートで固められた滑走路に稲光のような閃光を走らせた。
キル・ザ・ドールの戦闘機は、その閃光が到達するや、燃料タンクと共に大爆発を起こした。
その炎をバックに、重機関銃を持ったゼンガが基地内の航空機を次々と破壊してゆく。
突然のことに、基地警備に当たっていた米兵も、日本人ガーディアンも、大慌てで飛び出してくる。
そんな時だった、飛び出してきた兵士に混ざって、玲子君とカシラビの姿があった。
「どうした、玲子君、大丈夫か?」
俺が叫んだその時、拳銃を構えるマーシャンの姿が見えた。
遠くてもそれは、マーシャンが発砲したのが解る。
「玲子君!」
何故だ?、どうして玲子君の方が追い込まれているんだ?
俺は、北村少佐の形見でもある、南部自動拳銃を抜いて、マーシャンに向けた、、、殺さなければいいんだよな。
「いけません雄介様、マーシャンを撃ってはいけません」
その声が聞こえたと同時に、俺はマーシャンの近くに2発発射した。
だが、玲子君が撃ってはいけない、という意味が、どうにも理解出来ない。
俺が21世紀の人間だから、殺せないという理屈は解るのだが、玲子君の慌て方が尋常ではなかった。
玲子君は、マーシャンに撃たれて格納庫前のハンガーに倒れ込んでいる、カシラビも玲子君を庇いつつ、反撃が出来ていない。
俺は、玲子君の制止も聞かず、さらに数発の弾丸を至近弾で撃ち込んだ。
「だめです雄介様、発砲はお控えください」
「おい、管理人、玲子君、少し変じゃないか?、どうして反撃しないんだ?」
「、、、、、これは、、なるほど、キル・ザ・ドールの切り札という訳ですか」
「なんだよ管理人、君でもマーシャンを殺せないのか?」
「私は管理人、直接事象に介入する事は出来ません」
俺は玲子君の方向へ向かって必死で走っていた。
その後ろから、再び管理人が俺を飛ばした。
一気に玲子君までの距離が短縮し、俺は玲子君の目の前に居た。
そして、管理人の存在に気付いたマーシャンは、格納庫方向へ向け走り出した。
マーシャンの背中に向け、拳銃を向ける俺を、玲子君は痛みに耐えながら、拳銃を持った腕にしがみついた。
「ダメです雄介様、マーシャンは、私も、あなたも、そして異世界の3人も殺害する事が出来ません」
「何で?、一体何がそこまでマーシャンの殺害を拒むんだ」
すると、管理人が後ろから冷静に、こう述べた。
「マーシャン・ディッカーソンの出生年代が、、、、特定出来ないのです」
は?、何言っている?、マーシャンは玲子君と同じ時代から来たGF職員だろ、、、、、まさか!
1
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
それは奇妙な町でした
ねこしゃけ日和
ミステリー
売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。
バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。
猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
『量子の檻 -永遠の観測者-』
葉羽
ミステリー
【あらすじ】 天才高校生の神藤葉羽は、ある日、量子物理学者・霧島誠一教授の不可解な死亡事件に巻き込まれる。完全密室で発見された教授の遺体。そして、研究所に残された謎めいた研究ノート。
幼なじみの望月彩由美とともに真相を追う葉羽だが、事態は予想外の展開を見せ始める。二人の体に浮かび上がる不思議な模様。そして、現実世界に重なる別次元の存在。
やがて明らかになる衝撃的な真実―霧島教授の研究は、人類の存在を脅かす異次元生命体から世界を守るための「量子の檻」プロジェクトだった。
教授の死は自作自演。それは、次世代の守護者を選出するための壮大な実験だったのだ。
葉羽と彩由美は、互いへの想いと強い絆によって、人類と異次元存在の境界を守る「永遠の観測者」として選ばれる。二人の純粋な感情が、最強の量子バリアとなったのだ。
現代物理学の限界に挑戦する本格ミステリーでありながら、壮大なSFファンタジー、そしてピュアな青春ラブストーリーの要素も併せ持つ。「観測」と「愛」をテーマに、科学と感情の境界を探る新しい形の本格推理小説。
エリカ
喜島 塔
ミステリー
藍浦ツバサ。21歳。都内の大学に通う普通の大学生。ただ、彼には、人を愛するという感情が抜け落ちていたかのように見えた。「エリカ」という女に出逢うまでは。ツバサがエリカと出逢ってから、彼にとっての「女」は「エリカ」だけとなった。エリカ以外の、生物学上の「女」など、すべて、この世からいなくなればいい、と思った。そんなふたりが辿り着く「愛」の終着駅とはいかに?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる