自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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悲しみを、深い愛を

第367話 辛い役目

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「雄介様、マーシャンの失態、本当に申し訳ありません、私もGF職員の一員として、彼の処置については私が下すべきだと考えます、どうか、雄介様は、お手をお出しになられないよう、ご注意ください」

 やはり玲子君も同じ思いだったんだな。
 これを、俺が邪魔する訳には行かない。

「玲子君、君には辛い役目かもしれない、しかし、同じ未来人である君が、やはり奴を仕留めるべきだろう、ただ、俺も奴を一発殴ってやらなければ気が済まない、、、シズの仇がこの手で撃てないのが、本当に残念でならない」

 奴、、、マーシャン・ディッカーソン
 あいつの事は、ここに居るだれしもが憎んでいたが、間違った行動をしてしまえば、この世界が崩壊してしまう。
 少なくとも、異世界人であるカシラビ、ゼンガ、ムスキの3人ならば問題はないのだが、、、これはやはり未来人同士の話なのだろう、玲子君もGF職員の一員として、それが任務であることを認識していると感じる。

 結論は出た、、、あとは管理人に、場所を案内してもらうだけだな。

「で、管理人、あいつは何処にいる?」

 俺がそう言うと、管理人は何も言わず後ろを向いた。
 そして、もの凄い勢いで、、、、それは物理法則を無視するように建物の壁を抜け、体ごと中を舞った。

 これが管理人の移動方法?。
 シズが今まで意識を引き寄せていたやり方とは大分違うな、魔法のようだ。
 この力をもってしても、キル・ザ・ドールは管理人の目を盗むことが出来るなんて、どんな手を使っているんだ?。

 そうして、俺たちは横須賀地方復員局から少し北にある、大きな飛行場へと飛んでいた。

「あそこにマーシャンがいるのか?」

「はい、どうやらまた何か企んでいるようですね」

 まだ諦めていない?、これ以上一体何をするつもりだ?
 もうマーシャンの手駒はほとんど存在しないはず、、、だと、俺も思っていたが、それが目に入って来た瞬間、俺は逆上しかかったのだった。

「あの戦闘機、、、、P-51だな」

「はい、あの機体が、シズを撃墜した機体です」

 まったく、何て奴だ、俺はマーシャンの偽情報によって、米軍が行動しているのだと考えていたのだが、どうやらあのP-51自体が、マーシャンの直轄で動かせる戦闘機隊のようだった。
 、、、つまり、あの戦闘機自体を操縦していたのが、キル・ザ・ドールのメンバーだったということだ。
 たしかにシズをい撃墜した機体だ、カラーリングに少し特徴がある、この付近に進駐している米軍航空隊の物とは少し異なるマーキングがされている。
 
「みんな、聞こえたか?、どうやらそう言うことらしい、ゼンガ、戦闘機の破壊を頼む、カシラビは玲子君のバックアップ、ムスキは俺と、ゼンガの支援をしてくれ、、、玲子君、君は、マーシャン・ディッカーソンと決着を付けてくれ、出来るな」

「はい、雄介様、お任せください、必ずシズの仇は、私が討たせて頂きます」
 
 俺としては、一緒に行ってやりたかった、しかし、この仕事だけは、多分俺が関わると危険なことになる、俺はこの時、そう思っていた。

 しかし、マーシャンの最後の切り札は、俺が予想していない方法で玲子君を封じて来たのである。
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