自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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太平洋を戦い抜く

第356話 大変です、新たな

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 14潜は、俺たちが乗り込んで戦っていることに、やや躊躇しているようだった。
 その140mm砲の着弾点が、駆逐艦ベニオンの艦尾から、微妙にズレて、会場に着弾する。

📶『玲子君、14潜の砲雷長に、思いっきり当てろと伝えてくれ、俺たちはまだ、艦首方向から艦橋を狙って行動中だ、問題ない」

📶『はい、伝えます、でも、、、お気をつけください」

 心配は解るが、ここは戦場だ、無用に安全策を取っていては逆にやられる。
 潜水艦乗りでは、さすがにこの砲撃戦は不利か。

「マーシャン、このまま、艦橋を抑える、大丈夫か?」

「任せてください、これでも現役の海軍大尉ですよ、GF」

 俺たちは二人で、艦首方向から艦内に侵入、一路艦橋を目指していた。
 しかし、そこで俺たちは、予想以上の抵抗に合ってしまった。
 
「クソ、海軍の水兵だから、それほど抵抗出来ないと考えていたが、甘かったな、21世紀の水兵よりも、なんだか戦い慣れているな」

「そりゃそうですよ、今は第二次世界大戦が終わったばかりです、世界中の兵士が戦い慣れているんですから」

 そりゃそうだな。
 そんな時、シズから緊急の知らせがあった。

📶『大変です、新たな駆逐艦が2隻、こちらに向かってきます!」

 おいおい、なんだって?、それは予想外だぞ!。

📶『シズ、何隻がこちらに向かっているんだ?」

📶『最低でも2隻、その後方からも3隻確認できます、多分、最初から付いてきていた艦隊の駆逐艦です!」

 、、、、マズいな、そんなに多くの敵をまとめて撃破なんてできない。
 これでは絶対絶命じゃないか!。

📶『、、、、GF、伏せてください!、魚雷がベニオン方向に向けて発射されています!」

📶『なんですって?、14潜は魚雷なんて発射していません!」

 それは、玲子君にとっても、予想外の出来事のようだった。
 白い軌跡を海面に現しながら、魚雷は静かにこちらに向かっていた。
 混乱中の駆逐艦ベニオンは、この魚雷に対処出来ないでいた。

「ん?、この魚雷の軌跡は、、、、」

 マーシャンが、魚雷の軌跡を見て、何かに気付いたようだった。
 しかし、そんな会話の暇もなく、魚雷はベニオンに命中する。
 
「うわ!、、凄いな、魚雷の直撃は、おい、みんな、大丈夫か?」

 俺はすぐさま、全員の無事を確認した、一応大丈夫なようだったが、この魚雷、一体どこから放たれた?。

「ミスターGF、この魚雷は、日本海軍の酸素魚雷です、私が苦労して調達したので、間違いありません、日本海軍の魚雷は、海面に軌跡があまり出ない特殊なものを使用しているので、良く解るのです」

 ああ、やはり日本海軍のものか、、、、さすがにアメリカ海軍がベニオンを襲う訳がない、、、、しかし、日本海軍が14潜以外に、それもこの海域に所在なんてする訳がない、、、、。

📶『ユウスケ、見える?、あれ、14潜がもう一隻!」

 ムスキが艦首方向から指指す方向を見ると、たしかに14潜のような艦が浮上していきた。
 あれは、、、、15潜か?、撃沈されたんじゃなかったのか!。

『こちらは伊号第15潜水艦、14潜、聞こえるか?」

 その通信は、ベニオン艦内でも傍受されていたため、俺たちの耳にも直接入っていた。
 15潜が生きていた。
 助かった。
 
 しかし、この状況は、依然、俺たちの危機的状況に変わりは無かった。

 日本海軍の巨大潜水艦2隻と、アメリカ海軍駆逐艦5隻、どう考えても分が悪い。
 アメリカ艦隊は、未だこちらに向け前進中なのだから。
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