自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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「Y号作戦」の発動

第350話 軍師エムディ、再び

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「マーベリック・デイモンド少佐、、、、」

 それが一体何だと言うのだ。
 マーシャンは、この名前に、何か秘密があるような素振りを見せた。
 
「GFは、エラーサイトでマーベリック艦長の事を聞いていたはずです、解りませんか?」

 え?、マーベリック・デイモンド、、、、マーベリック「M」、デイモンド「D」
 イニシャルでMDだよな、、、、MD、、、おい、、そう言うことなのか?

「まさか、軍師エムディ、奴がマーベリック・デイモンド艦長だったのか?」

 マーシャンは、小さく頷く。
 それは恐ろしい事でもあった、エムディと言う名前ではなく、そもそも頭文字を名前として使っていたなんて。
 あの、マグネラ包囲戦も、オルコアの虐殺も、全てあいつが仕掛けて来たことだ。
 巨人族の子供を串刺しにして、生きたまま燃やすような頭のおかしい男、それがあの艦長だったと言うのか。

「おいユウスケ、それは本当か?」

 自身の子供も手に掛けられたゼンガは、その表情を一変させた。
 我が子の仇、それがあれほど近くにいたなんて。
 あの時、足ではなく、心臓を撃っておくべきだったと、俺はとどめを刺さなかったことを後悔した。
 それは、ゼンガも同じらしく、やり場のない怒りを待機室に充満させていた。

「玲子君は、それに気付いていたのか?」

「はい、横須賀基地から発せられた通信は、非常に微弱でしたが、逆に、私達の通信も、キル・ザ・ドールに察知されますから、どうしても通信が出来なかったのです」

 そう言う事情か。
 それでも、その後、俺と桜子さんは、何度か会っているし、横須賀基地内で二人っきりで会ってもいた、、、、あの時、既に玲子君は記憶を取り戻していたということか?、おいおい、マジで恥ずかしいんだけど。
 、、、それで、あの時、玲子君は切ない表情を見せたのか。
 いや、待てよ、通信が出来ないのであれば、せめて肉声で俺に伝えてくれれば良かったんじゃないか?
 どうも腑に落ちない状況ではあったが、これで今回の中心座標がはっきりしたな。

「つまり、中心座標は、駆逐艦ベニオンでいいんだよな」

 すると、玲子君は、少し歯切れが悪く「はい」とだけ答え、それ以上、何も答えなかった。

 それにしても、玲子君は、見事に桜子さんを演じていたんだな。
 あんなに泣いて、俺恥ずかしいわ、もう。

📶『あの時は、本当に申し訳ありませんでした、どうしても確認しなければならない事がありまして」

 玲子君が、この距離だと言うのに通信を使って俺に話してきた。
 どうも、この話は、まだ何か裏があるように感じられた。

「艦長、日の入りから1時間が経過しました、どうされますか?」

 14潜は、潜水艦の中でも別格に巨大だ。
 それだけに、速度を出すのであれば、潜行状態よりも浮上して航行した方が早い上に、蓄電池を気にしなくて良い分、効率がいい。

「よし、艦を浮上させる、甲型の搭乗員は、一応配置に付いてくれ、140mm砲の射撃も準備だ」

 潜水航行をしていた14潜は、艦首を上に傾けると、浮上準備に取り掛かった。
 津軽海峡まではもう少しある、頼むぞ、位置がバレませんように
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