自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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「Y号作戦」の発動

第330話 駆逐艦「ベニオン」

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「ヘイ、ミスターGF,我々も彼らを追いましょう」

 マーシャンが、俺たちを誘った。
 ん?、誘うって、何処へ?

「なに言ってるんですか、北村達を追わないとですよ」

「追うって、どうやって?」

「我々はアメリカ海軍ですよ、彼らの護衛も、計画の一つですよ」

 まだ早朝の時間帯、俺は既に起きて、潜水艦の出港を見送っていたが、カシラビ、ゼンガ、ムスキの三人は、まだ寝起き状態で、何のことか事情が呑み込めていなかった。
 
「で、、、まさか、これで追いかけるのか?」

 目の前には、アメリカ海軍の駆逐艦が出港準備を完了していた。
 おい、マーシャン、お前、補給関連の人間だろうに!

「紹介します、艦長のマーベリック少佐です」

「やあ、聞いていますよ、ミスターサイトウ、ご活躍だそうですね、ベニオンの艦長マーベリックです、よろしく」

 聞いてますって、何を聞いているんだ?、マーシャンの奴、また俺の知らないところで何か吹聴しているんじゃなかろうな。

「おいマーシャン、この艦長は、、、その、俺たちや異世界のことは知っているのか?」

「OH、何も知りませんよ。ただ、海軍側は、我々の行動に関して、何も言わないことになっています」

 なんだそりゃ、さすがに真っ当な軍隊なんだから、そんな風に自由に軍艦を使う事なんてできないだろう。

「それだけ原爆に関する調査や管理は、優先されると言う事ですよ」

 それは、海軍の原爆が非常に重要視されている事を指していた。

「それにしたって、アメリカだって原爆を持っているんだから、重要視しすぎじゃないか?」

「そんなことはありません、アメリカだって原爆の起爆には、まだ2回しか成功させていないのです、それに、北村達がやっていることは、後の「戦略原潜」がすることと同じ、潜水艦に核弾頭を付けた巡航ミサイルを世界で初めて運用していることになります、それはアメリカが最も関心を寄せている事項なんです」

「その割には、北村少佐たちに、随分好き勝手させてるな、管理出来ているとは言いがたいと思うが。それに、今回も単艦で追跡なんて、見失うんじゃないか?」

「大丈夫です、ほら」

 マーシャンは、横須賀軍港の他の場所を指さすと、他にもこれとよく似た駆逐艦が既に港を出ようとしていた。

「駆逐艦ヘイウッド・L・エドワーズとリチャード・P・リアリーです。その他にも、遠目で追跡チームが編成されています」

「どうして遠目なんだ?」

「いや、だって、彼らは不安定な日本産原子爆弾を積んで潜行中なんですから、危ないじゃないですか」

 いや、そうかもしれないけど、、、大丈夫か?、この任務。
 しかし、横須賀軍港が、妙にザワついているのは、何故か遠目でも解った。
 これから旧日本海軍が、何をするのかを、まるで基地全体が知っているかのように。
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