自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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本海軍の原子爆弾

第317話 対ソビエト工作

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 アメリカ海軍は、当初この申し出に懐疑的であった。
 何しろ、あの日本海軍からの直截の申し出、、、それ自体が罠ではないかと。

 しかし、実は開戦当初から、アメリカの息のかかった高級将校は複数存在し、白人社会と密接な関係であったという。
 マーシャンは個人名までは出さなかったが、俺でも知っている有名な将軍級の人物が、実は白人社会結社の一員であったと言うのだ。

 、、、そして、その中には、あの「猪上大将」も含まれていたのである。

 もちろん、彼らは最初から敗戦を望んでいた訳ではないが、体当たり攻撃までしなければならない状況を、既に敗戦に追い込まれた状況と判断したYシャツのメンバーは、戦後の再軍備に必要な交渉にまで踏み込んでいたのである。

 そして、それは陸軍でも同様の動きが、全く別方向で動いていた。

 それが、中国大陸で活動していた「関東軍」と「満州国軍」によって、対ソビエト工作という形で同時進行していたのである。

 陸軍は、海軍の一部がアメリカと通じて、既に核兵器の開発が最終段階に入っていることを察知していた。
 当然それはソビエトにも知られる所となるのだが、その情報源は、なんと日本陸軍だったと言うのだ。

 そして、この交渉は、非常に順調に進んだ。
 ソビエトも、ドイツとの戦いに全力であり、日本とは日ソ不可侵条約を結んでいて、基本的には戦闘を意識していなかった。
 ところが、実際にドイツを占領してみれば、原爆開発関連の資料は、全てアメリカに獲得されてしまったのだ。

 ソビエトとしては、失った原爆の資料を入手したい願望が非常に強かったが、それを察して交渉してきたのが日本陸軍、それも関東軍の参謀本部だったらしい。

 、、、つまり、日本陸軍は、原爆の製造方法と引き替えに、戦後、中国大陸での日本陸軍の存在を認めさせようという魂胆だったのだ。

 、、、ちょっと待てよ、、

 何で当時アメリカですら開発に難航していた原爆の製造方法を、日本陸軍は知っていたんだ?。

「それは、当時の日本が、世界で一番、原爆開発が進んでいたからですよ」

 マーシャンは、当たり前のように話した。
 、、、いや、さすがにそれは無いだろう。
 そんな開発経緯なんて聞いた事ないし、当時の日本で濃縮ウランを精製出来るとも思えない。
 さすがに物理の基本だよ。

「そこが、そもそもの認識の違いです、GFの時代には、原爆はもちろん、核反応に関する基礎知識が伏せられています、それ故に、私も当初、どこまでお話するか、迷ったのですよ」

 いやいや、さすがにそんな基本的な事をねじ曲げることなんて出来ないだろう。

「、、、そうでしょうか?、GFは実際に原爆が爆発する所を見たことがありますか?」

 そんなもの、無いに決まっているだろ。
 大体、見たって何も解らないだろうに。

「そこなんですよ、実は原爆の構造は、恐ろしく簡単なんです、ちょっとしたコツが入りますがね」

 物理を学ぶ俺としては、マーシャンの言うことを、どうしても納得する事が出来なかった。
 
「それではマーシャン、大学で物理を学ぶ俺が、納得できるようなものを、提示できるか?、それが無ければ、さすがに信じる事は出来ないぞ」

 マーシャンは、少し考えながら、、、口を開いた。

「GFのいた時代に、茨城の施設で臨界事故が発生しませんでしたか?」
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