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横須賀鎮守府の栄光
第310話 昭和19年の暮れ
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俺は北村少佐の自宅を出て、横須賀基地へとまっすぐ向かった。
もはや、玲子君の捜索の必要はないだろう。
北村少佐は、次に来る時までに、玲子君の心当たりについて、あらためて話したい、と別れ際に話した。
北村少佐が何を考えての事かは解らない。
しかし、強引に事を進めれば、玲子君が戻っても、その後の解決に支障が出ると考え、一度帰ってマーシャン達と相談する事にした。
「え?、キタムラの家に行って来たんですか?」
マーシャンは、俺が北村少佐の自宅を知っていたことに、かなり驚いていた。
偶然とはいえ、マーシャンにとっても収穫だったようで、なぜかそのことを喜んでいた。
玲子君の居場所について、北村少佐が何か知っている素振りであったことに関し、何か心当たりがないか聞いたが、マーシャンにも皆目検討が付かない様子だった。
俺は、ここで先ほどの「Yシャツ」ついて、マーシャンに聞いた。
何しろ、コードネームなんて出されても、話を合わせるのがやっとだからな。
「Yシャツとは、「Y号作戦」と彼らが呼ぶ計画の事で、戦後のこの時代に、我々米軍の協力を得て、最軍備しようという計画の事です」
それは前にも聞いたが、、、、それだと、北村少佐が、やたら何かを警戒している意味が分からなくなってしまう。
米軍と共同して、、、
「マーシャン、、海軍が米軍と協力して、戦後の再軍備を進め始めたのは、、、何時頃だ?」
「ワオ、GFは勘が鋭いですね!、そこ、重要なところです」
マーシャンが言うには、このコードネーム「Yシャツ」は、昭和19年の暮れ、、、つまり1年以上前から計画はスタートしていたのだ。
、、、1年前、、、、
終戦が半年前だから、単純に終戦の半年以上前には、既に戦後の再軍備計画を米軍と進めていたことになる。
そんな事が有り得るのか?。
ここにも俺の知らない戦後史が存在するのか?
それにしたって、日本は本土決戦も視野に入れて、軍備を温存していた時代だよな、そんな頃に、日本を裏切るような行為、あの時代に日本で可能かのか?。
「海軍だけではないですよ、陸軍だって、アメリカ以外の国と、戦後処理について水面下で進めていましたから」
なんだって?。
海軍は、なんとなく紳士なイメージがあったから、そんなこともあるかと思ったが、まさか、あの陸軍までも、戦争に負けた後の交渉をしていたなんて。
しかし、陸軍はどこの国と交渉していたんだ?。
「マーシャン、戦時中に日本の海軍と米軍が秘密裏に裏工作していたのは理解できる、しかし、陸軍と交渉するような国家が、この時代に存在なんてするのか?」
すると、マーシャンは笑ながら「ヒントは東西冷戦です」とだけ答えた。
東西冷戦、、、、、東西冷戦?
アメリカと敵対していたのは、他ならぬソヴィエト連邦、、、、まさか、ソ連と陸軍が取引をしていた?、さすがにそれは無いだろう。
しかし、マーシャンは悪戯っぽい表情を浮かべると、詳細は北村に聞いた方が良い、と答え、それ以上は教えてくれなかった。
なんだよ、未来ではGFの職員なんだろうに、俺に隠し事なんてしても、仕方あるまい。
俺はその時、そんな風に焦らすマーシャンを少し恨んだが、なるほどたしかにこれは、北村少佐から直接聞いた方が良い内容だった。
何しろ、俺の知っている戦後史とは、まったく別の戦後史が、密に進行していたのだから。
もはや、玲子君の捜索の必要はないだろう。
北村少佐は、次に来る時までに、玲子君の心当たりについて、あらためて話したい、と別れ際に話した。
北村少佐が何を考えての事かは解らない。
しかし、強引に事を進めれば、玲子君が戻っても、その後の解決に支障が出ると考え、一度帰ってマーシャン達と相談する事にした。
「え?、キタムラの家に行って来たんですか?」
マーシャンは、俺が北村少佐の自宅を知っていたことに、かなり驚いていた。
偶然とはいえ、マーシャンにとっても収穫だったようで、なぜかそのことを喜んでいた。
玲子君の居場所について、北村少佐が何か知っている素振りであったことに関し、何か心当たりがないか聞いたが、マーシャンにも皆目検討が付かない様子だった。
俺は、ここで先ほどの「Yシャツ」ついて、マーシャンに聞いた。
何しろ、コードネームなんて出されても、話を合わせるのがやっとだからな。
「Yシャツとは、「Y号作戦」と彼らが呼ぶ計画の事で、戦後のこの時代に、我々米軍の協力を得て、最軍備しようという計画の事です」
それは前にも聞いたが、、、、それだと、北村少佐が、やたら何かを警戒している意味が分からなくなってしまう。
米軍と共同して、、、
「マーシャン、、海軍が米軍と協力して、戦後の再軍備を進め始めたのは、、、何時頃だ?」
「ワオ、GFは勘が鋭いですね!、そこ、重要なところです」
マーシャンが言うには、このコードネーム「Yシャツ」は、昭和19年の暮れ、、、つまり1年以上前から計画はスタートしていたのだ。
、、、1年前、、、、
終戦が半年前だから、単純に終戦の半年以上前には、既に戦後の再軍備計画を米軍と進めていたことになる。
そんな事が有り得るのか?。
ここにも俺の知らない戦後史が存在するのか?
それにしたって、日本は本土決戦も視野に入れて、軍備を温存していた時代だよな、そんな頃に、日本を裏切るような行為、あの時代に日本で可能かのか?。
「海軍だけではないですよ、陸軍だって、アメリカ以外の国と、戦後処理について水面下で進めていましたから」
なんだって?。
海軍は、なんとなく紳士なイメージがあったから、そんなこともあるかと思ったが、まさか、あの陸軍までも、戦争に負けた後の交渉をしていたなんて。
しかし、陸軍はどこの国と交渉していたんだ?。
「マーシャン、戦時中に日本の海軍と米軍が秘密裏に裏工作していたのは理解できる、しかし、陸軍と交渉するような国家が、この時代に存在なんてするのか?」
すると、マーシャンは笑ながら「ヒントは東西冷戦です」とだけ答えた。
東西冷戦、、、、、東西冷戦?
アメリカと敵対していたのは、他ならぬソヴィエト連邦、、、、まさか、ソ連と陸軍が取引をしていた?、さすがにそれは無いだろう。
しかし、マーシャンは悪戯っぽい表情を浮かべると、詳細は北村に聞いた方が良い、と答え、それ以上は教えてくれなかった。
なんだよ、未来ではGFの職員なんだろうに、俺に隠し事なんてしても、仕方あるまい。
俺はその時、そんな風に焦らすマーシャンを少し恨んだが、なるほどたしかにこれは、北村少佐から直接聞いた方が良い内容だった。
何しろ、俺の知っている戦後史とは、まったく別の戦後史が、密に進行していたのだから。
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