自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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横須賀鎮守府の栄光

第308話 管理者権限

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「、、、、玲子君?」

 虚ろな目をした玲子君が、なぜか俺達の中に混ざって、シズの部屋に来ていたのだ。

「玲子君!、玲子君!、しっかりしろ、おい!、解るか?、雄介だ、斉藤雄介!」

 玲子君は、一瞬俺の方を不思議そうな表情で見つめると、スッと消えてしまったのだった。

「玲子君、、、、」

「GF!、美鈴の位置、大体ですが評定できました、意外とこの近くですよ」


 良かった、玲子君はとりあえず生きていることが判明したのだ。


 皆も呆然としている、ただでさえ初めて入って来た電脳世界に、その事実がまだ消化仕切れていないのに、行方不明の玲子君が目の前に現れたのだから。

「しかし、なんでレディーはこの世界に入って来たのに、連絡をよこさないんだ?」

 カシラビの言うことももっともで、ここに来る事ができるのであれば、通信してきてもいいはずだ。
 ましてやシズとの新婚ごっこに横から入って制止してもいいような状況だったのに、完全に放置だったよな。

「GF、ちょっと申し上げにくいのですが、美鈴、もしかして記憶が混濁しているか、下手をすると、記憶喪失の可能性がありますよ」

 なに?、記憶喪失?。
 では、どうしてシズの部屋に入って来たんだ?

「恐らく、突然大量の人間が、私の部屋に入ってきたので、反射的にそうしてしまったのでしょう、、、、きっと私の部屋に、GFが入ってくるのを、元々警戒していたのではないでしょうか」

 そう言うものなのか?。
 そもそも、意識が混濁していても、こっちに来る事が出きるんだな。

「そうですね、美鈴には、この部屋へアクセスする管理者権限があります。私は本来、タイムマシーンの管理AIですから」

 そう言えばそうなんだよな、このマシーンの管理AI、、、なんだか勿体ない気がする。
 それって、、、たとえば自動車のナビみたいに、このタイムマシーンが使用できなく成った場合、やっぱり一緒に廃車になるのか?、さすがにそれは可哀想だ。

「アハハ、それは無いですよ。私は一応、未来の世界では人権が認められている存在ですから、どちらかと言えば、このマシーンを管理するユーザーに近いです。GFの時代のカーナビのような、単純なシステムではありませんので」

 よかった、そりゃそうだよな。
 要するに、シズはタクシーで言うところのドライバーで、玲子君はタクシーに乗ったお客さんみたいな関係なんだろうな。
 
「それでも、私をこのマシーンから完全移設するのには、ものすごく手間が掛かるんですよ。基本的に電脳社会の中は、好きにどこでも移動できるので不自由は感じませんが、私の本体がこのマシーンであることは変わりませんからね」

 まあ、地上のどんな装置よりも、安全な場所と言えるだろうな。
 あらゆる兵器からの攻撃を避け、天災も無関係なんて、究極の避難場所だと思うよ。

「さて、玲子君の探索だが、概ねの方向は掌握できたんだろ、シズ」

「はい、古い住宅街ですね、国鉄横須賀駅から西の方向に行った地域です。宅地と言っても、それほど広大なエリアではありませんから、多分捜索出きると思います」

「ユウスケ、俺達も捜索に加わるぞ」

 カシラビとゼンガが申し出てくれたが、古い住宅地、多分よそ者が行けば不信がられるだろうからな。
 純粋な日本人である俺だけで捜索した方がよさそうだな。

「私が上空から監視していますから、カシラビさん達は訓練に励んでくださいね」

 満面の笑顔は明らかによそ行きの笑顔だったが、フルサイズのシズを見るカシラビとゼンガには、かなり効いたようだった。
 、、、まあ、基本的に超美少女だからな、、、特にゼンガなんて、自分の体が小さくなっているから、サイズ感はシズがかなり大きくなったように見えるんだろうしな。

 しかし、実際に捜索に行くとして、拳銃一つ携行出来ないのは本当に心細い。

 俺は、再びこの時代の日本人男性の服装で、横須賀市街地へ向かった。
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