自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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横須賀鎮守府の栄光

第307話 異 物

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 カシラビとゼンガも、体内ディバイスを入れることに、同意してくれた。
 むしろ、男たちは何にも抵抗なく、入れることに対して何も感じていないようだった。
 
 逆に、ムスキはちょっと勇気を振り絞っているように感じられたが、この世界に来る時点で、かなり勇気を振り絞っているようなので、体内ディバイスを入れる事も、何か勢いに任せて同意したようなところがあった。
 ベナルの妹として、アイラベル家の長女として、大切に育てられたんだろうから、お嬢様には色々初めての事が多いようだ。
 それだけに、俺達が考えているより遙かにたくさんのストレスが掛かっているんだろう。
 
「すまないなムスキ、、、大丈夫か?、無理していないか?」

 やはりムスキは、少し顔色が悪い。
 
「顔色悪いけど、、、今回はやめておくか?」

「大丈夫、ちょっと怖いけど、私、頑張るから。体の中に異物を入れるって、初めてだから、ちょっと緊張しているだけだから」

 おいおい、一体どれだけ大きな物を入れられると思っているんだ。
 俺なんて、入れられたの気が付かないくらいだったぞ。
 まあ、あっちの世界じゃ、外科手術自体がまだ未熟だからな。
 注射とか、、、ってあるのかな?、注射より簡単だと言えば、少しは楽になるのかな?。

 三人は、大騒ぎしつつも、あっけなく体内ディバイスを入れる作業を完了し、そのあまりにも簡単な作業に落胆したようだった。

「それじゃあ、体内ディバイスのテストを開始するぞ」
『、、、、どうだ、カシラビ、聞こえるか?」

「おおお、なんだこれ、ユウスケの声が、頭の中から聞こえるぞ」

「凄い、私も聞こえた!、なに、これ!」

「凄いなこの技術は、ユウスケはこんな技術を使っていたのか、どうりて意志疎通が速いわけだ」

 ゼンガも驚きの表情を隠せないでいた。
 次は、、、、シズの部屋だな。
『もう、何ですか、女の子の部屋を!、毎回毎回、男性を連れて来ないでくださいよね!」

「まあ、妖精さんの声が頭の中からするわ、妖精さんもつながっているのね」

 ムスキは、それは嬉しそうにシズとの通信を喜んだ。
 、、、、で、、いのか?、シズ。
『、もう、今回だけですよ、今日は特別!、、あ、ムスキさんはいつでも歓迎しますからね!」

 ほくほく顔のムスキと、少し緊張する男二人、、、。
 女性の部屋に入るなんて、あまりないだろうからな、、。

「うわ、、、なんだこの感じ、」

「タイムマシーンの時より凄いな、、、、でも、ちょっと気持ちいいな、これは、大ジャンプした時のように、空中に浮く感じがするな」

 たしかに、シズの部屋に行く時の感触は、ゼンガの背中に乗って大ジャンプをした時に似ている、無重力のような感覚なんだろうか。

「みなさん、ようこそ、私の部屋へ」

 シズがそう言うと、ムスキはフルサイズのシズに驚いたあと、、、、全力で抱きついた。

「ちょっと、ムスキさん!、慌てないで!」

「だって、妖精さんが、妖精さんが、私たちと同じサイズなんて、もう、嬉しくて!」

 半泣き状態のムスキを横目に、真っ白な空間であるシズの部屋に、男二人はキョロキョロと驚いてばかりだった。
 そして、二人の目線は、ある一点でピタリと止まった。

 その方向を見て、俺も一瞬、言葉を失った。
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