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横須賀鎮守府の栄光

第300話 200兆の孤独

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「200兆歳、、、、」

 さっき管理人が話していた、俺の知識では理解出来ない仕組みの一端が見えた気がした。
 俺が知っている宇宙の誕生は、137億年前のビッグバンから始まっている。
 200兆年前に生まれたと、管理人が言っているということは、この宇宙が誕生するよりも遙か前には、高度な文明が存在していたことを示してていた。

 、、、なるほど、シズがビビる訳だな。
 100年先の世界から来たシズや玲子君が、とても身近に感じるほどに、管理人の年齢は俺の予想を遙かに越えるものだった。

 、、、、100億歳と言われても腰が抜けるほど驚いたと思うが、200兆年前なんて、壮大すぎてピンとこない。
 なんだって200兆年も生きて来た存在が、俺を特別に扱うのか、益々解らん。

「200兆年生きた人物とは、他にもいるのか?」

「、、、そうですね、、、その存在を、この世界の物理法則に沿ってお話するのが難しいですね、少なくとも私自身も、一人称ではありません、複数いて、一人もいない、そんな存在ですので、他にもいるかと聞かれれば、イエスでもノーでもない、としか回答できないのです」

 、、、これ以上、この話をすべきでは無いのかもしれない、いつも複雑な顔をする玲子君やシズの気持ちが少し理解出来た気がする。

「しかし、200兆年も生きた人間でも、キル・ザ・ドールの行動を止める事ができないなんて」

「そうですね、それがもどかしいところです。私も長く生きていますが、万能ではないということです」

 玲子君は、全てを知っていたってことか?、こんな無茶苦茶な理論を理解した上で、管理人と接していたんだな。

「最後に、もし本当に200兆歳が本当だとしたら、俺が今、それを本当だと認識できる何かを示すことは出来るのか?」

 管理人は再び考えながら、俺にこう話をしてくれた。

「、、、では、たった137億年で、これだけの文明が発達すると思いますか?、あなた方の科学でも、この宇宙に人類が誕生する確率は10の40乗と言われていいます、しかし、あなた方が観測可能な宇宙全体の星の数は10の22乗個しか存在しません、、、、つまり、そう言うことです」

 、、、、なるほど、137億年、、、程度ね。
 彼からすれば、137億年の事なんて一瞬のことのように感じるのだろうな。
 、、、感じる、、そもそも、200兆年も生きていたら、感じる生き物では頭が持たないだろう。
 精神が持たないよな。
 そういう意味で、管理人に自我がない、という話は理解出来る。
 そして、10の40乗なんて数字、「0」が40個付く数字ってことだよな、
 しかし、観測可能な星の数は22乗しかない、桁が18個も少ないのだから、それは奇跡が起きても起こらない、、、レベルの確率なんだろうな。

 その辻褄を合わせるには、この宇宙が誕生する前の概念を挙げなければ理屈が通らない、、、、なるほど、この短い時間で、宇宙論を完結させて、俺を納得させるには、良い説明だな、さすが管理人、200兆歳。

『GF,さっきはすいませんでした、、、」

 シズが、俺に申し訳なさそうに通信で謝ってきた。
 俺としては、ちっとも悪くはないんだがな。
 むしろ、前よりもシズの事が好きになったよ、絶賛、玲子君と良い勝負ってくらいに。

「いいんだよシズ、また新婚ごっこの続きしような」

 そう言うと、シズはもう満面の笑みを浮かべ、「はい、あなた」と言って少し涙ぐんだ。

 どうして泣くんだ?

「人間は、本当に嬉しい時には、泣くんですよ」

 、、、、人間、、、そう言えば、さっき管理人も言っていたな、管理人には自我が無いが、シズには自我があるって。

 自我って何なんだ?。
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