自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

文字の大きさ
上 下
285 / 390
そして時空転移

第283話 日本の終戦

しおりを挟む
「それでは、これより作戦会議を始めます」

 作戦会議といっても、キャサリンの宿舎のリビングで、みんな集まっただけだが、みんなアメリカ軍の作業服を着ているから、なんだか変な気持ちだ。

「管理人様、最初にお聞きしたのですが、キル・ザ・ドールのメンバーは、異世界から直接別の時間へ移動した模様ですが、正確な座標は解りますか?」

「そうだな、奴らもやり口が慣れてきているから、最終座標をロストしてしまった。恐らく、前の世界大戦付近だと感じるが」

 そうか、やはり彼らは第2次世界大戦の時代から直接時空転移していたんだな。
 俺は、彼らが持つ小銃で、それが第2次世界大戦からの直接進入だと言うことには気付いていた。

「それでは、次の目的地は第2次世界大戦の時代でよろしいですね」

「玲子君、それは違う。恐らく奴らは、第2次世界大戦中の世界から来ていない」

「では、どの時間軸と行き来していたんですか?」

「それはな、、、、1946年頃の日本からだよ」

「え、、、日本?、それも戦後間もない1946年、、、ですか?」

 もちろん、これには理由があった。
 俺達が戦っていたオルコ共和国軍の使う小銃は、それも第2次世界大戦当時に使用されていたものばかりだったが、あれだけ大量の小銃がいきなり消えたら、戦時中なら大問題になる。
 ましてや、彼らの装備には、ドイツやアメリカのものも含まれていたが、その大半が旧日本軍のものだった。
 実際にカシラビが持っている97式狙撃銃も、旧日本陸軍のものだ。
 あの銃の管理に厳しい旧日本軍の、あれだけ大量の小銃を確保するには、戦時中ではだめなんだ。
 あの小銃は、終戦後武装解除した日本軍から接収した小銃で間違いないだろう。
 そうすると、それは戦後まもなく、それも日本に進駐してきた進駐軍、、、要するにアメリカ軍の管理下にあった武器ということになる。

「なるほど、たしかにGFの言うことはその通りですね。その中にアメリカやドイツのものが少量混ざっていたのも、戦後ならば説明が付きます。さすがですねGF」

 なんだか管理人に誉められると、怖いな。
 しかし、俺自身も驚いているが、どうして俺は、管理人でも掴めないような情報を、推理出来てしまうんだろう。
 そんな能力、俺には元々無かったはずなのに。

「それでは、次の目的地は、1946年の日本で決まりですね」

 玲子君が、そう結論を出す。
 俺達は、その後の歴史を色々と調査し、一番可能性のある日時と場所を特定した。

 そして、、、よりによって、ここなんだな。

 そこは、終戦間もない頃の横須賀海軍基地であった。
 ここには、周辺から集められた旧日本軍の武器、弾薬が大量に集積されていただけではななく、管轄が海軍であったため、比較的数に関する管理が甘いことも理由となった。

 戦後間もない頃の日本か、、、。

 一体、どんな場所なんだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちゃぼ茶のショートショート 「フラッシュモブ」

ちゃぼ茶
ミステリー
あなたの人生はあなたのもの、私の人生は私のもの……とは限らない人生も面白い

それは奇妙な町でした

ねこしゃけ日和
ミステリー
 売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。  バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。  猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

『量子の檻 -永遠の観測者-』

葉羽
ミステリー
【あらすじ】 天才高校生の神藤葉羽は、ある日、量子物理学者・霧島誠一教授の不可解な死亡事件に巻き込まれる。完全密室で発見された教授の遺体。そして、研究所に残された謎めいた研究ノート。 幼なじみの望月彩由美とともに真相を追う葉羽だが、事態は予想外の展開を見せ始める。二人の体に浮かび上がる不思議な模様。そして、現実世界に重なる別次元の存在。 やがて明らかになる衝撃的な真実―霧島教授の研究は、人類の存在を脅かす異次元生命体から世界を守るための「量子の檻」プロジェクトだった。 教授の死は自作自演。それは、次世代の守護者を選出するための壮大な実験だったのだ。 葉羽と彩由美は、互いへの想いと強い絆によって、人類と異次元存在の境界を守る「永遠の観測者」として選ばれる。二人の純粋な感情が、最強の量子バリアとなったのだ。 現代物理学の限界に挑戦する本格ミステリーでありながら、壮大なSFファンタジー、そしてピュアな青春ラブストーリーの要素も併せ持つ。「観測」と「愛」をテーマに、科学と感情の境界を探る新しい形の本格推理小説。

未来から来た美女の俺

廣瀬純一
SF
未来から来た美女が未来の自分だった男の話

エリカ

喜島 塔
ミステリー
 藍浦ツバサ。21歳。都内の大学に通う普通の大学生。ただ、彼には、人を愛するという感情が抜け落ちていたかのように見えた。「エリカ」という女に出逢うまでは。ツバサがエリカと出逢ってから、彼にとっての「女」は「エリカ」だけとなった。エリカ以外の、生物学上の「女」など、すべて、この世からいなくなればいい、と思った。そんなふたりが辿り着く「愛」の終着駅とはいかに?

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...