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ウガヤ・クラントの解放
第277話 一筋の光が
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その凄まじい炸裂音は、オルコ共和国軍の小銃にしては、かなり大きなものに感じられた。
興奮が絶頂に達し、アドレナリンが放出されたブラックナイツの将兵には、それが興奮により大きな音に聞こえたのだと感じていたが、ヤップ曹長は、その音の異変に気付いていた。
「隊長、今の銃撃は少し変ではありませんか?」
その、ウクルキ自身もアドレナリンを大放出している最中であり、頭の中には見事に突撃を敢行することしか無くなっていたため、ヤップ曹長のこの発言が些か不思議にすら感じられた。
、、、、が、ヤップの言う事も、もっともであった。
なぜなら、それだけ大きな射撃音にもかかわらず、ブラックナイツの誰一人として銃に撃たれていなかった。
そして、その違和感に気付いたウクルキは、直ちに全部隊の損耗状況を確認するよう命じた。
しかし、返って来た回答は、案の定、誰一人として傷一つ負っていないのである。
「なるほど、確かに妙だな、、、」
ウクルキは、最後を決意していただけに、この不可解な状況に対して消化しきれないでいた。
それは、もはや自分たちは戦死していて、この目の前で起きている事が、実はあの世で起こっている事なんではないか、とさえ思えた。
むしろ、ウクルキの思考は、そちら方面に流されていた。
そして思い出すのである、自分にはテレパシー能力があることに。
『、、、ユウスケ殿、聞こえるか?ウクルキだ。なにやら少々不可解な現象が起きている、貴君なら解るのではないか?」
『ウクルキ、どうした?、作戦中だぞ」
『ユウスケ殿、良かった、通じた、北のエフライム公国方向から、とんでもない数の敵が出現した、今、一斉射撃を受けたが、味方が誰も傷付いていない、、、、これはどうしたことか?」
すると、シズが俺たちの会話に割って入った。
『ウクルキさん!、そのエフライム方向から来た軍勢は、オルコ共和国軍ではありません、、、エフライム公国軍です!」
ウクルキは、一瞬、それが何を意味しているかが理解出来なかった。
そして、シズの言葉を理解した頃、ようやくウクルキの頭には、一筋の光が見えたのだ。
『シズ殿、、、それは本当か?、あの軍勢が、エフライム軍とな?、彼らは基本的に、不可侵を貫いていたのではないか?」
『私もに解りませんわ!、ただ、一つ言えるのは、あの軍勢の総数は18万規模で、それはオルコ共和国軍では無いということです!」
『え、ちょっと待てよシズ、その軍勢がエフライム軍だとして、その大量の銃は、どうやって調達したんだ?」
それは、本当に気になる部分だ。
この世界に、18万人の兵士を満たせるだけの小銃なんてあるはずがない。
シズは、上空からエフライム軍兵士の持つ小銃を、ズームして俺に見せてくれた、そして、それは同時にウクルキにも伝わっていた。
「、、、、これは、、、火縄銃か?」
まったく驚いた。
俺は、エフライム公王に、銃の作り方を交換条件に三国同盟への参加を交渉材料にはしたが、まさか、これほど早くに銃を作ってしまうなんて!
だが、その銃は、明らかに俺たちの小銃とは別ものだ。
彼らの今現在で作れるものを作った。
それがあのエフライム銃なんだろう、、、、即ち火縄銃だ。
あんな威力の弱い銃でも、これだけ大量に装備されていれば、戦場のゲームチェンジャーとなるだろう。
王都「ウガヤ・クラント」を巡る攻防戦は、明らかに新しいステージに昇格したようだった。
興奮が絶頂に達し、アドレナリンが放出されたブラックナイツの将兵には、それが興奮により大きな音に聞こえたのだと感じていたが、ヤップ曹長は、その音の異変に気付いていた。
「隊長、今の銃撃は少し変ではありませんか?」
その、ウクルキ自身もアドレナリンを大放出している最中であり、頭の中には見事に突撃を敢行することしか無くなっていたため、ヤップ曹長のこの発言が些か不思議にすら感じられた。
、、、、が、ヤップの言う事も、もっともであった。
なぜなら、それだけ大きな射撃音にもかかわらず、ブラックナイツの誰一人として銃に撃たれていなかった。
そして、その違和感に気付いたウクルキは、直ちに全部隊の損耗状況を確認するよう命じた。
しかし、返って来た回答は、案の定、誰一人として傷一つ負っていないのである。
「なるほど、確かに妙だな、、、」
ウクルキは、最後を決意していただけに、この不可解な状況に対して消化しきれないでいた。
それは、もはや自分たちは戦死していて、この目の前で起きている事が、実はあの世で起こっている事なんではないか、とさえ思えた。
むしろ、ウクルキの思考は、そちら方面に流されていた。
そして思い出すのである、自分にはテレパシー能力があることに。
『、、、ユウスケ殿、聞こえるか?ウクルキだ。なにやら少々不可解な現象が起きている、貴君なら解るのではないか?」
『ウクルキ、どうした?、作戦中だぞ」
『ユウスケ殿、良かった、通じた、北のエフライム公国方向から、とんでもない数の敵が出現した、今、一斉射撃を受けたが、味方が誰も傷付いていない、、、、これはどうしたことか?」
すると、シズが俺たちの会話に割って入った。
『ウクルキさん!、そのエフライム方向から来た軍勢は、オルコ共和国軍ではありません、、、エフライム公国軍です!」
ウクルキは、一瞬、それが何を意味しているかが理解出来なかった。
そして、シズの言葉を理解した頃、ようやくウクルキの頭には、一筋の光が見えたのだ。
『シズ殿、、、それは本当か?、あの軍勢が、エフライム軍とな?、彼らは基本的に、不可侵を貫いていたのではないか?」
『私もに解りませんわ!、ただ、一つ言えるのは、あの軍勢の総数は18万規模で、それはオルコ共和国軍では無いということです!」
『え、ちょっと待てよシズ、その軍勢がエフライム軍だとして、その大量の銃は、どうやって調達したんだ?」
それは、本当に気になる部分だ。
この世界に、18万人の兵士を満たせるだけの小銃なんてあるはずがない。
シズは、上空からエフライム軍兵士の持つ小銃を、ズームして俺に見せてくれた、そして、それは同時にウクルキにも伝わっていた。
「、、、、これは、、、火縄銃か?」
まったく驚いた。
俺は、エフライム公王に、銃の作り方を交換条件に三国同盟への参加を交渉材料にはしたが、まさか、これほど早くに銃を作ってしまうなんて!
だが、その銃は、明らかに俺たちの小銃とは別ものだ。
彼らの今現在で作れるものを作った。
それがあのエフライム銃なんだろう、、、、即ち火縄銃だ。
あんな威力の弱い銃でも、これだけ大量に装備されていれば、戦場のゲームチェンジャーとなるだろう。
王都「ウガヤ・クラント」を巡る攻防戦は、明らかに新しいステージに昇格したようだった。
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