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ウガヤ・クラントの解放
第268話 リベラル派の方面軍
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「オルコ東部軍の連隊長ですね」
後方に控えている二人の連隊長は、オルコ帝国軍東部方面軍に所属する連隊長であると、ホーウエイ少佐は思い出していた。
東部方面軍、、、
このオルコ帝国内に於いては、旧皇帝派が多い南部軍とは反目しあっていた、リベラル派の方面軍だ。
確かに、東部軍は、あのマグネラ攻防戦における包囲部隊の後方支援も行っており、どちらかと言えば新生共和国軍に近しい存在だ。
それ故、エレーナ軍に参加した順番から言えば、ほぼ最後の方になる。
なぜなら、マグネラの東に位置した司令部が急に意思を変えてエレーナ軍に付いたのは、マグネラの解放宣言の直後なのだから。
「なるほど、、、、これはユウスケ殿の言う通りになって来たな」
「そうだろ、ウクルキ」
指揮所幕舎にいた各指揮官は、その突然の訪問者に対して、つい剣に手をやってしまうほど、驚きを持って客人を迎えた。
「、、、、ユウスケ殿?、どうしてここに?」
いつもながら、唐突に現れるユウスケであったが、さすがにこの戦場を突破して、単独で来隊出来る仕組みが解らない。
「ちょっと裏技使ってきたぞ。今、ホーウエイ少佐の言う事が、多分正しい認識だ。さすがだな、ウクルキ」
そうは言っても、その事実が高確率で正しいと判断されたとしても、依然解決策は見出せていないのだ。
「ユウスケ殿、貴君がここまで馳せ参じて来たという事は、何か妙案を持って来てくれた、と言う解釈で良いのだな」
妙案という物などは無いが、少なくとも、最悪の状況を避ける方策だけは持って来ていた。
「いいか、君たちの軍人精神からすれば、これは妙案でもなんでもないかもしれないが、今から急いで南下するんだ。このまま東進すれば、間違いなく前後から挟撃される」
しかし、ウクルキはやはり難色を示していた。
「提案は有り難いのだが、兵士の士気も最高潮に上がっている今、敵に腹を見せて転進するなどという事は出来ない、第一、もう遅い、部隊は動き出すぞ」
「いいか、ウクルキ、一時の恥ずかしさなんていい加減捨てろ。部下を見す見す死なせる気か?。敵前横行にはなるが、挟撃されるよりよほど少ない損耗で済む。幕舎も放棄して、今すぐに南下しろ」
ウクルキは、少し考えた後、少しだけ、話し合いをさせて欲しいと再びホーウエイ少佐とドロエ大尉を呼び、幕舎に籠った。
「、、、、ホーウエイ少佐、、、どう思う?」
「私はウクルキ殿ほどユウスケ殿との付き合いが長くないので、実際あのお方がどの程度信頼できるのかが解りません。ですが、情報と考えは、恐らく一番正しいと感じます」
「私もです。ユウスケ殿の助言は、いつも奇抜ながら、ロクソム城の攻防戦でも的確な判断をなされ、我が軍を勝利に導いています、少なくとも、敵の味方をするお方ではありません」
「しかし、南進となると、それこそエレーナ皇女殿下の命を裏切ることになる、一体、どのように弁明する?、まだ2個連隊が裏切ると、決まった訳ではあるまい」
再び一同は、考え込んでしまう。
しかし、夜明けまでもうあと1時間程度、時間が無い。
「こうしていても、結論は出ないでしょうな、それであれば、本来後方の2個連隊が、攻撃準備線として展開している場所を、我が隊全員で視察に行く、というのは如何ですかな?」
「なるほど、我が軍が、激励を兼ねて後方の連隊に挨拶に行き、そこに誰も居なければ、反逆の企図あり、として南下する、これなら筋は通りますね」
こうして、一同は、ようやく一定の結論を得るに至ったのである。
「ユウスケ殿、我々はユウスケ殿の指示に従い、南下することを決した。さ、ユウスケ殿も連隊に戻ってくれ、今日は大事な決戦の日になるだろう」
「ウクルキ、君は今やこの一帯の国々では有名人だ。それ故に、恨みもそれなりに買っているという事を忘れないでくれ。お前の首を狙う輩は、意外と多いぞ」
俺からウクルキに言ってやれることは、これが精一杯であった。
なぜなら、俺がここに残って戦う事は出来ないからだ。
何とか、今日一日を乗り切ってくれよ、ウクルキ!
後方に控えている二人の連隊長は、オルコ帝国軍東部方面軍に所属する連隊長であると、ホーウエイ少佐は思い出していた。
東部方面軍、、、
このオルコ帝国内に於いては、旧皇帝派が多い南部軍とは反目しあっていた、リベラル派の方面軍だ。
確かに、東部軍は、あのマグネラ攻防戦における包囲部隊の後方支援も行っており、どちらかと言えば新生共和国軍に近しい存在だ。
それ故、エレーナ軍に参加した順番から言えば、ほぼ最後の方になる。
なぜなら、マグネラの東に位置した司令部が急に意思を変えてエレーナ軍に付いたのは、マグネラの解放宣言の直後なのだから。
「なるほど、、、、これはユウスケ殿の言う通りになって来たな」
「そうだろ、ウクルキ」
指揮所幕舎にいた各指揮官は、その突然の訪問者に対して、つい剣に手をやってしまうほど、驚きを持って客人を迎えた。
「、、、、ユウスケ殿?、どうしてここに?」
いつもながら、唐突に現れるユウスケであったが、さすがにこの戦場を突破して、単独で来隊出来る仕組みが解らない。
「ちょっと裏技使ってきたぞ。今、ホーウエイ少佐の言う事が、多分正しい認識だ。さすがだな、ウクルキ」
そうは言っても、その事実が高確率で正しいと判断されたとしても、依然解決策は見出せていないのだ。
「ユウスケ殿、貴君がここまで馳せ参じて来たという事は、何か妙案を持って来てくれた、と言う解釈で良いのだな」
妙案という物などは無いが、少なくとも、最悪の状況を避ける方策だけは持って来ていた。
「いいか、君たちの軍人精神からすれば、これは妙案でもなんでもないかもしれないが、今から急いで南下するんだ。このまま東進すれば、間違いなく前後から挟撃される」
しかし、ウクルキはやはり難色を示していた。
「提案は有り難いのだが、兵士の士気も最高潮に上がっている今、敵に腹を見せて転進するなどという事は出来ない、第一、もう遅い、部隊は動き出すぞ」
「いいか、ウクルキ、一時の恥ずかしさなんていい加減捨てろ。部下を見す見す死なせる気か?。敵前横行にはなるが、挟撃されるよりよほど少ない損耗で済む。幕舎も放棄して、今すぐに南下しろ」
ウクルキは、少し考えた後、少しだけ、話し合いをさせて欲しいと再びホーウエイ少佐とドロエ大尉を呼び、幕舎に籠った。
「、、、、ホーウエイ少佐、、、どう思う?」
「私はウクルキ殿ほどユウスケ殿との付き合いが長くないので、実際あのお方がどの程度信頼できるのかが解りません。ですが、情報と考えは、恐らく一番正しいと感じます」
「私もです。ユウスケ殿の助言は、いつも奇抜ながら、ロクソム城の攻防戦でも的確な判断をなされ、我が軍を勝利に導いています、少なくとも、敵の味方をするお方ではありません」
「しかし、南進となると、それこそエレーナ皇女殿下の命を裏切ることになる、一体、どのように弁明する?、まだ2個連隊が裏切ると、決まった訳ではあるまい」
再び一同は、考え込んでしまう。
しかし、夜明けまでもうあと1時間程度、時間が無い。
「こうしていても、結論は出ないでしょうな、それであれば、本来後方の2個連隊が、攻撃準備線として展開している場所を、我が隊全員で視察に行く、というのは如何ですかな?」
「なるほど、我が軍が、激励を兼ねて後方の連隊に挨拶に行き、そこに誰も居なければ、反逆の企図あり、として南下する、これなら筋は通りますね」
こうして、一同は、ようやく一定の結論を得るに至ったのである。
「ユウスケ殿、我々はユウスケ殿の指示に従い、南下することを決した。さ、ユウスケ殿も連隊に戻ってくれ、今日は大事な決戦の日になるだろう」
「ウクルキ、君は今やこの一帯の国々では有名人だ。それ故に、恨みもそれなりに買っているという事を忘れないでくれ。お前の首を狙う輩は、意外と多いぞ」
俺からウクルキに言ってやれることは、これが精一杯であった。
なぜなら、俺がここに残って戦う事は出来ないからだ。
何とか、今日一日を乗り切ってくれよ、ウクルキ!
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