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ウガヤ・クラントの解放

第265話 その全部が

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 ウクルキと直接話をしようにも、一番北側のルートじゃ距離が遠すぎる。
 事情を説明しきらずに、うっかり情報を流してしまえば、再び敵に情報が洩れてしまう。
 一体、どうすればいいんだ。

📶『シズ、ウクルキと俺を、シズの部屋に呼べないか?」

📶『どうしたんですか?、こんな状況で私の部屋に来たら、さすがに肉体がマズいんじゃないですか?」

 それはそうだが、他に伝える方法が無いぞ。

📶『ウクルキ、聞こえるか?、いつか行った、シズの部屋に来ることは可能か?」

📶『いや、さすがにこの状況では困難だ。それに第一、もう敵との交戦距離だ、間もなく接触してしまう」

 そりゃそうだが、この複雑な事情を、ウクルキに説明しなければ、エレーナ軍はいつ崩壊するか、解ったもんじゃない!。

『GF、ちょっと妙です!、北の守りを固めているオルコ共和国軍が、どうしてか西に動き始めました!、ウクルキさん達の居る方向です」

 ん?、どういうことだ?、北を警戒していた部隊が、一斉に西の方角を向けば、北が手薄になる、ましてや、エフライム公国に自分の横を見せるという事は、非常に危険な行為だ。

『シズ、北の警戒部隊は15万人規模だよな、どのくらいが西に向けて動いている?」

『はい、、、、これは、、、」

 シズの回答が、一瞬停止した、、、おいおい、何だよ?」

『GF、これはマズいかもしれませんよ、、、15万の北方警戒部隊、その全部が西の方角を向いています!」

 なに?、全軍が西を向いている?、、、、それってつまり、エフライム軍が南進しないと確証を得たということか?
 しかし、何でだ?、エフライムが実は南進しないという事実は、どこにも流していない情報だぞ。

『シズ、エフライムに、何かおかしな兆候はないか?、北方警戒部隊が転進した理由が解らない」

『私にも解りません、、、、ただ、もし、もしもですよ、今現在のマキュウェル軍の動きで、エフライム軍が南下してこないということが予想出来たなら、どうでしょう?」

 なるほど、エフライム軍とエレーナ軍が15万共和国軍を挟撃する場合、その兵力は常識的に10万未満で問題無いはずだ。
 しかし、エレーナ軍が、王都目指して横隊に展開した場合、一般的な戦闘展開の規模からすれば10万人を超えるだろう。
 オルコ共和国軍総兵力が40万として、北方警戒部隊が15万なら、王都守備兵力は25万。
 それにエレーナ軍が均等に配置すれば、南部からはドットス軍24万を担保に、丁度半数程度を南北に分けて進むだろう。

 、、、つまり、もし北方警戒部隊に対して、エレーナ軍が半数の20万を指向していれば、必然的にエレーナ軍は、フキアエズ軍が南進しないと判断するだろう。

『シズ、エレーナ軍が北方に指向している軍勢の数は解るか?」」

『はい、まだ明確に分離していませんが、ほぼ半数が北方に向いています」

 、、、やっぱりな、エレーナ軍の司令官はベナルだ。
 ベナルなら、ドットスの軍事力を、正確に評価できる立場だ、それ故に、出来るだけ北方に兵力を割いた采配は理解出来る。

 今回は、それが仇になったな。

 しかし、最後まで理解に苦しむことがある。
 それは、どうして北方警戒を全く残さなかった、かだ。

 いくら南進しないと確信したとは言え、警戒の目を一切出さないのは用兵の視点からは非常識だ。


 、、、まさか、、、まさかとは思うが、、、エフライム公王陛下、、、寝返ったか?。
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