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巨人族の戦士

第252話 残り、あと4発

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『反対側の敵、距離は間もなく500mを切ります、正面の敵は既に200mを切りました、どうします?、GF!」

 シズも、珍しく焦っているのが解る。
 玲子君も不安そうだ。

「玲子君、大丈夫、俺にちゃんと考えがあるから」

 、、、本当は、そんなもの、無かった。
 だが、こういう時、男はハッタリの一つも言えないとな。
 玲子君も、少し笑顔になったが、薄暗くても解るほどに、表情が曇っている。
 
 そんな時、反対側の敵方から、連続して3発の銃声がした。
 なんだ?、なんでこんな距離で射撃をしてくる?

 さすがに未だ射程圏外のはずだぞ。

 そして、正面の敵部隊は、銃撃を始めた。
 所々に火災が発生した森の中で、我が方も応戦する。
 それでも、火災が発生している相手側の方が、明るい分、幾分かこちらが有利な戦いが出来ている。

 だが、俺たちの側背には、新たな敵が進軍中だ。

 俺は部隊の一部を応急的に射撃線を構成した。

「玲子君、迫撃砲は残弾どのくらいだ?」

「、、、すいません、あと4発です」

「よし、もう残り全て、側背の敵目がけて撃ってくれ、敵の進軍経路は、恐らく道路に限定されている、さっき通って来た道を、そのまま射撃するんだ、距離500で撃てば、必ず当たる!」

 側背の敵には、火災はあまり期待できないな、森ではない。
 それでも、敵の進行を少しでも遅らせられるだけでいい、足並みが揃わなければ、挟撃は失敗するだろう、、、。

 正面の敵との銃撃戦は、距離が徐々に狭まっている。
 かなり押されているな、、、せめて正面にいる敵の勢力が解ればいいんだが、シズのセンサーも限界だしな。

「雄介様、側背の敵に、砲弾が弾着します」
 
 玲子君が射撃してから15秒、撃った弾が空中でゆっくりと放物線を描いて、敵目がけて弾着する。

『シズ、弾着観測できるか?」

『はい、森ではないので観測出来ています、敵の部隊に命中しました、道路沿いを進行していた敵部隊は、今散開して縦隊から横隊に変換中です」

 、ちょっと早いが、敵は戦闘展開を開始した。

 更なる混戦、、、。

 間違いなく俺たちは不利だ。

 異世界人としてのアドバンテージは、もはや全て使い尽くした。
 
「玲子君、防勢転移したうちの連隊を、更に密集体形にしてくれ、こうなったら盤踞の構えだ」

 盤踞、、、、何で俺は、そんな専門用語を知っていたんだろう。
 盤踞とは、防御態勢を堅くして、敵の攻撃から堅固に守る方法だ、、、、結構マニアックな戦い方だと思うのだが、、。
 
「玲子君、密集隊形に移行したならば、小銃を持っていない兵士に、塹壕を掘るよう、命じてくれ、とにかく手当たり次第に掘ってくれ」

 間に合えばいいが、恐らくこの銃撃戦は、もう少しすると膠着状態となる、双方が小銃を持っている以上、お互いに距離を詰めるのは困難だ。
 そうなると、陣地戦になるだろう、逸早く陣地を構築出来た方が、この陣地戦を優位に戦える。
 
 、、、まあ、優位に戦えたから、なんだと言うことは無い、結局、反撃が成功しなければ、俺たちに勝利はない。

 そして、勝利意外に、この森を抜ける方法は無いのだから。
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