自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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巨人族の戦士

第233話 震える手先

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「ヨア!、どうした、悌隊が停止して、兵たちが動揺しておるぞ」

 ロームボルド師団長は、その異常性故に、本来であれば軍師長と呼ばねばならない所を、ついファーストネームで呼び寄せてしまった。

「、、、ワイアット、、少々事態は緊迫して来ておる、お主の力が必要だ、、、マキュウェル様と使者の謁見に列席してはくれぬか」

 珍しく弱気に見えた旧友の頼みである、ロームボルドも急いでマキュウェルの元へ参じた。



「フキアエズ軍からの早馬、ご苦労でした、、、で、その知らせとは?」

 何とか平静を保とうとしているマキュウェルであったが、その手はやや震え興奮していることが見て取れた。

「はい、、、申し訳ございません、フキアエズ軍は、北上作戦の最中、オルコ共和国軍の襲撃を受けまして、かなりの損害を受けています、王都守備のために残留していた1個連隊は、抵抗の暇もなく全滅したとのことです」

 その場にいた全員が氷付いた。
 マキュウェルは、恐る恐る使者に尋ねた。

「、、、で、フキアエズ国王陛下と、エガ王子は、、?」

「はい、、、襲撃途中で後退を開始し、私はそこで派遣されたため、安否は解りかねますが、きっとご無事かと、、、」

 使者もマキュウェルに気を使って述べた言葉であったが、マキュウェルにはそのような、何の足しにもならない希望的観測が、余計に苛立たせるのであった。
 ましてや、王都の1個連隊が、抵抗の余地もなく全滅させられるレベルの状況にあって、楽観は愚かでしかないように感じられたのだ。

「、、、それで、その襲撃による損害は?」
 
「、、、、、はい、私が離脱した時点で、、、、既に2割程度は損耗を受けていたと思われます」

 それを聞いたマキュウェルは愕然とした、、

「、、、2割と申したか?、、、フキアエズ軍は総兵力10万の軍勢ぞ、2割、、、2万の兵が一瞬で駆逐されたと申すか?」

 およそ考えたくもない数字だった。
 使者が送られた時点、という事は、その数は必然として増加している。
 それも、どれほどの数まで増加しているか、全く不明である。

 そして、その場に居た全員が、更に嫌な予感を抱いた


 、、、、全滅。



 さすがにそれは無いとお思われるが、今先ほど、自軍の尖兵が、何ら抵抗の余地なく中隊長を討ち死にさせたばかりだけに、この予想が案外近いのではと不安に駆られた。 
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