自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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フキアエズ大会戦

第225話 被 弾

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「玲子君、準備はいいか?」

「はい、雄介様、、、この感覚、久々ですわね」

 玲子君と俺は、この世界にエラーノリターンした時以来、久々にコクピットに搭乗した。
 
 、、、この世界に来た一番最初、ドラゴンと向き合うマキュウェルと出会ったんだったな、、、、今思えば、凄い出会い方だったな。

「それでは離陸します」

 玲子君がそう言うと、モニター越しに見える外の世界は、冗談のように早い速度で飛行を開始した。
 俺はまだ、航空機にそれほど乗った経験が無いから、この速度は新鮮だ。

 、、、まあ、もっとも、前回乗った航空機は、墜落直前のヘリだったんだけどね。

「国境が見えてきました」

 地図で見るより、よほど平坦な地域だな、これは予想以上に危険な地域だ。

「玲子君、先にオルコ共和国軍の状況偵察をしよう、もう少し先に進んで、、、、」

 その時だった、地上から何か気配を感じると、シズが突然悲鳴を挙げた。

「きゃあ!、、、、っ痛い!」

 少し遅れて、機関銃の射撃音が小さく地上に響いているのが聞こえた。
 機関銃?、まさか、飛んでいるシズを、地上の機関銃が射撃して、命中させたってことか?

「大丈夫か、シズ!」

「、、、はい、何発か当たっていますが、致命傷では、、、」

 俺は玲子君に目で合図した、、、玲子君の目が、あまり大丈夫ではないことを告げていた。
 シズ、、、痛かったろうに、やせ我慢なんてさせてしまって、申し訳ない。

「シズ、一度地上に降りよう、俺たちも降ろしてもらっていいか?」

「雄介様、SIZは恐らく地上に待機するより、上空待機の方がよろしいかと思われますわ」

「上空でも撃たれたら意味がないんじゃないか?」

「いえ、弾丸の到達しない、遙か上空です」

 えーと、、、、それってどのくらい上空?」

「そうですね、高度50000mほどでしょうか」

「ん?、50000m?、それって5万?、50キロメートルということ?、大丈夫?、その高さって、宇宙じゃない?」

「宇宙ではありませんが、人間が生きれる空域ではありません、なので問題は無いかと思われます」

 スケール大きすぎて、何が問題無いのかも解らないけど、大丈夫ってんなら、大丈夫なんだろうな。

「でも、今撃たれた所は、空気漏れたりしないのか?」

「私は自己修復能力がありますから、上空待機中に治っちゃうんですよ。中にい人が居なければ、気圧も問題ありませんので」

 そうか、シズには自己修復能力があるのか、、どういう仕組みか解らないけど、便利に出来ているもんだな。
 しかし、楽観は出来ない、、、それは、どうしてこれまで見つからなかったシズが、地上から評定されてしまったのか、という問題だ。
 シズは今だって、光学カモフラージュされていて、肉眼では見えないはずだ。
 それが、命中弾を出すということは、、、

「つまり、今現在の俺たちは、敵から見えている、ということでいいのか?」

「そうですね、残念ながら、そうなると思います。具体的にどのようにしているかは不明ですが、少なくとも地上から手が届く位置に居ることは危険だということです」


 それは即ち、キル・ザ・ドールが直接介入しているという事を示しているんだよな、、、。
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