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フキアエズ大会戦
第216話 エガ・フキアエズ王子殿下
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エガ・フキアエズは、フキアエズ国王の長男であり、次期国王候補の筆頭である。
隣国ドットス王国の王女マキュウェル・メイ・ドットスとは、婚約間近の関係だ、、、だった。
それはエガの複雑な思いからの発言だった。
「求婚に対する回答を、どうか少し待ってほしい」
そんな一言だった。
意表を突かれたのはマキュウェルの方だった。
彼女も照れがあり、本当は惹かれているエガに対し、軽い女と思われたくないという心理が働き、プロポーズに対する返事はまだ保留にしていた。
しかし、周囲はすでに、この二人は将来結婚するものと考え、色々と準備を開始していたほどだった。
そこへ来ての、エガの申し出であった。
マキュウェルは、彼のそんな言動を最初は怒りこそ覚えたが、それは一瞬の感情論であり、すぐに冷静になると、今度は逆に彼が不憫でならなかった。
それは、同じ王族故に理解出来る事だっただろう。
国家を一時的とはいえ背を向け、国軍丸ごとドットス軍と合流させたのだから。
エガは、いつものように笑顔だった、、、しかし、それが虚勢であることは、誰の目にも明らかだった。
もっと悲壮だったのは、軍を率いてやってきたフキアエズ国王だ、まるで国民を置き去りにして亡命したようにすら見えてしまいかねない今回の行動を、自軍の中ですら批判的にとらえる者が多かった。
彼らは口々に、フキアエズに戻りオルコ共和国と戦うべきだと騎士道を前面に押し出した理論で国王に迫ってきた。
そんな殺伐とした状況の中で、まるで負軍の将であるエガが、マキュウェルとの未来を夢見る事なんて出来る訳がなかった。
それは、マキュウェルだからこそ一番理解出来ることだ、王族は、誰よりも国や国民を愛している、それを裏切ったと罵られるのだから、自己の存在を全否定されている気分だろう、それがマキュウェルには痛いほど理解出来るのだ。
実際、フキアエズ軍の中で、最後まで南進に反対し続けた1個連隊が、王都守護のために残置していた。
彼らは、40万オルコ共和国軍の侵攻で間違いなく全滅する部隊だ、兵力比が彼らの生存を許さないだろう。
そして、残虐性で知られるオルコ共和国軍にあって、たかだか2000名程度の抵抗勢力が、一体どのような末路を辿るかは、今回のマグネラ攻防戦を見れば誰もが理解出来る。
それ故に、彼ら残留連隊と今からでも合流し、共に戦おうと言う騎士道精神が噴出するのだ。
しかし、冷静な軍師達にはそれが無謀であり亡国の判断だと理解出来ていた。
10万程度のフキアエズ軍が、40万の共和国に正面から抵抗しても、間違いなく勝ち目はない。
ドットスと合流して、34万人の軍勢となり共同で対処する以外、作戦の立てようがない事は十分に理解出来ることだ。
だからこそ、フキアエズの将校は皆、悩み苦しんだのだ。
マキュウェルは、将来の夫と決意した男が、今窮地に立たされている現状に、何とか楔を打ち込みたい気持ちで一杯だったが、彼女が女性である故に、それが逆効果になることも十分に解るのだった。
彼も一国の王子、女性の側から差し伸べられた手を、これ幸いと握ることなど矜持がそれを許さなのだ。
プライドの高いマキュウェル王女だからこそ、それは痛いほどに解る。
結局、この二人の結婚は、エガが自分自身でこの窮地を脱しなければ、何も解決出来ないのだと解ると、その現実にマキュウェルは再び落胆してしまうのである。
「マキュウェル様、お久しぶりです、お元気でしたか?」
「ムスキ、、、そうね、あまり元気とは言えないわね、エガさん、、、王子はどうしているの?」
「作戦会議やら、ドットス軍との協議やらで忙しくしています、、、むしろ自分から忙しくしているように見えますね」
ムスキから知らされるエガ王子の状況は、マキュウェルの胸を締め付けるものだった。
将来の夫となる、、、予定だった男の、何か力になれないものか、、、。
「ムスキ、お願いなんだけど、エガ王子の所にもう少し居てあげてくれないかしら、、、、せかっく王都に帰って来て早々に申し訳ないんだけど」
ムスキは親友のお願いであれば、と快く引き受けた。
ムスキからすれば、マキュウェルはもちろん、エガも大切な友人と言えるほどの仲だった、二人のために出来る事をする、それこそが、今現在自分自身がすべき職責だと感じていた。
ムスキが、今まさにその重責を理解した矢先、シズ妖精がムスキに囁いた、、、
オルコ共和国軍がフキアエズ国境を越えて、東進を開始したということを。
隣国ドットス王国の王女マキュウェル・メイ・ドットスとは、婚約間近の関係だ、、、だった。
それはエガの複雑な思いからの発言だった。
「求婚に対する回答を、どうか少し待ってほしい」
そんな一言だった。
意表を突かれたのはマキュウェルの方だった。
彼女も照れがあり、本当は惹かれているエガに対し、軽い女と思われたくないという心理が働き、プロポーズに対する返事はまだ保留にしていた。
しかし、周囲はすでに、この二人は将来結婚するものと考え、色々と準備を開始していたほどだった。
そこへ来ての、エガの申し出であった。
マキュウェルは、彼のそんな言動を最初は怒りこそ覚えたが、それは一瞬の感情論であり、すぐに冷静になると、今度は逆に彼が不憫でならなかった。
それは、同じ王族故に理解出来る事だっただろう。
国家を一時的とはいえ背を向け、国軍丸ごとドットス軍と合流させたのだから。
エガは、いつものように笑顔だった、、、しかし、それが虚勢であることは、誰の目にも明らかだった。
もっと悲壮だったのは、軍を率いてやってきたフキアエズ国王だ、まるで国民を置き去りにして亡命したようにすら見えてしまいかねない今回の行動を、自軍の中ですら批判的にとらえる者が多かった。
彼らは口々に、フキアエズに戻りオルコ共和国と戦うべきだと騎士道を前面に押し出した理論で国王に迫ってきた。
そんな殺伐とした状況の中で、まるで負軍の将であるエガが、マキュウェルとの未来を夢見る事なんて出来る訳がなかった。
それは、マキュウェルだからこそ一番理解出来ることだ、王族は、誰よりも国や国民を愛している、それを裏切ったと罵られるのだから、自己の存在を全否定されている気分だろう、それがマキュウェルには痛いほど理解出来るのだ。
実際、フキアエズ軍の中で、最後まで南進に反対し続けた1個連隊が、王都守護のために残置していた。
彼らは、40万オルコ共和国軍の侵攻で間違いなく全滅する部隊だ、兵力比が彼らの生存を許さないだろう。
そして、残虐性で知られるオルコ共和国軍にあって、たかだか2000名程度の抵抗勢力が、一体どのような末路を辿るかは、今回のマグネラ攻防戦を見れば誰もが理解出来る。
それ故に、彼ら残留連隊と今からでも合流し、共に戦おうと言う騎士道精神が噴出するのだ。
しかし、冷静な軍師達にはそれが無謀であり亡国の判断だと理解出来ていた。
10万程度のフキアエズ軍が、40万の共和国に正面から抵抗しても、間違いなく勝ち目はない。
ドットスと合流して、34万人の軍勢となり共同で対処する以外、作戦の立てようがない事は十分に理解出来ることだ。
だからこそ、フキアエズの将校は皆、悩み苦しんだのだ。
マキュウェルは、将来の夫と決意した男が、今窮地に立たされている現状に、何とか楔を打ち込みたい気持ちで一杯だったが、彼女が女性である故に、それが逆効果になることも十分に解るのだった。
彼も一国の王子、女性の側から差し伸べられた手を、これ幸いと握ることなど矜持がそれを許さなのだ。
プライドの高いマキュウェル王女だからこそ、それは痛いほどに解る。
結局、この二人の結婚は、エガが自分自身でこの窮地を脱しなければ、何も解決出来ないのだと解ると、その現実にマキュウェルは再び落胆してしまうのである。
「マキュウェル様、お久しぶりです、お元気でしたか?」
「ムスキ、、、そうね、あまり元気とは言えないわね、エガさん、、、王子はどうしているの?」
「作戦会議やら、ドットス軍との協議やらで忙しくしています、、、むしろ自分から忙しくしているように見えますね」
ムスキから知らされるエガ王子の状況は、マキュウェルの胸を締め付けるものだった。
将来の夫となる、、、予定だった男の、何か力になれないものか、、、。
「ムスキ、お願いなんだけど、エガ王子の所にもう少し居てあげてくれないかしら、、、、せかっく王都に帰って来て早々に申し訳ないんだけど」
ムスキは親友のお願いであれば、と快く引き受けた。
ムスキからすれば、マキュウェルはもちろん、エガも大切な友人と言えるほどの仲だった、二人のために出来る事をする、それこそが、今現在自分自身がすべき職責だと感じていた。
ムスキが、今まさにその重責を理解した矢先、シズ妖精がムスキに囁いた、、、
オルコ共和国軍がフキアエズ国境を越えて、東進を開始したということを。
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