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マグネラ攻防戦
第213話 突拍子もない提案
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「本日ここに、マグネラの解放と、皇国の復活を宣言します」
待望の解放宣言をしたエレーナ皇女の声明を、広場ではない場所で聞いている者がいた。
病室のメルガと、付き添いのリラルである。
リラルは、エレーナの皇帝としての正装に着替える手伝いをした後、エレーナから解放宣言の間、メルガの傍にいてあげて欲しいとお願いされていた。
それは「起きた時、誰もいないと寂しがるから」と、不思議な言葉を残して。
リラルも、遠くからエレーナ皇女の解放宣言を聞きながら、その決意に思わず涙していた。
それは、彼女が皇女としての正装ではなく、挙兵以降初めての宣言発布に際し「皇帝」の正装で臨んだことに対する敬意でもあった。
それは、エレーナの決意でもあった、自ら先代の皇帝を引き継ぐ覚悟、今回の解放宣言は、単なる宣言ではない、彼女の皇帝となって、共和国軍を一層する、と言う固い決意の表れであった。
これまでのエレーナは、親友の救出と言う大きな目標があり、それ故にマグネラを目指していたが、これ以降の大義は、皇国の主権回復と共和国軍との戦い、つまり宣戦布告をしたことになる。
それは、楽な道のりではない、夫のベナルも、再び戦乱の中にあって、隣国オルコの完全掌握が完了するまで王都に帰ることは出来ないだろう。
リラルは無理をしてでも、夫について来たことが正解だったと感じていた。
そんな時だった、メルガの固く閉じられた瞼から、一筋の涙が流れていることにリラルが気付く。
「メルガさん、聞こえる?、エレーナ様がマグネラの解放を宣言しましたよ!」
そして、メルガは、ようやく目覚めを時を迎えた。
「、、、、はい、聞こえています」
リラルは大慌てで別室のウクルキを呼んだ。
ウクルキは、こうして愛妻との再会を果たすことが出来た。
抱き合って涙する二人は、しばらく動くことが出来なかった。
戦いは終わってはいない、しかし、このマグネラが幸福に満たされた日に、この夫婦もまた、喜びと幸福に満たされた時間を過ごすことが出来たのだ。
病室は、静かに抱き合う二人と、広場で未だ止まぬ大歓声とのコントラストだった。
そんな「静」と「動」の部屋に、ゆっくりと近付くのは、宣言を終えたエレーナだった。
「エレーナ様、本当にありがとうございました」
エレーナは、自分が先に言おうと思っていたお礼を、メルガに先に言われたことに一瞬驚いたが、メルガの前に立ち止まると、皇帝の正装のまま、メルガをじっと見つめながらこう話した。
「メルガ、これから貴女は私の影武者でも身代わりでもありません、どうか、ただの親友になって欲しいの。もう、こんな無茶をしないでちょうだい、私、貴女を失ったら、もし、、、そんな、、、失う事なんてあったら、きっと世界を滅ぼすわ」
皇帝の正装は、とても重く、そしてぶ厚い布地を幾重にも重ねたものだった。
そんな重い正装のまま、エレーナはおおよそ皇帝らしからぬ、跪いた状態で、メルガに抱き着くと、いつまでも顔を埋めて泣き続けた。
駆け付けた俺や玲子君、そしてベナルやノアンカ、マキヤ、エド、そんなエレーナを見ながら、それぞれ健闘を称えあって喜びを分かち合った。
そんな幸福な空気の中、エレーナはまた突拍子もない提案をした。
「メルガ、貴女はきっと、私がいくら対等な付き合いを要求しても、絶対にこれからも私を守ろうとか、身代わりになろうとするのよ、いえ、絶対に貴方ってそう。なので、そうできないよう、あなたたち二人には国王となってもらいます」
、、、、、検討を称え合っていた俺たちは、一瞬固まった。
待望の解放宣言をしたエレーナ皇女の声明を、広場ではない場所で聞いている者がいた。
病室のメルガと、付き添いのリラルである。
リラルは、エレーナの皇帝としての正装に着替える手伝いをした後、エレーナから解放宣言の間、メルガの傍にいてあげて欲しいとお願いされていた。
それは「起きた時、誰もいないと寂しがるから」と、不思議な言葉を残して。
リラルも、遠くからエレーナ皇女の解放宣言を聞きながら、その決意に思わず涙していた。
それは、彼女が皇女としての正装ではなく、挙兵以降初めての宣言発布に際し「皇帝」の正装で臨んだことに対する敬意でもあった。
それは、エレーナの決意でもあった、自ら先代の皇帝を引き継ぐ覚悟、今回の解放宣言は、単なる宣言ではない、彼女の皇帝となって、共和国軍を一層する、と言う固い決意の表れであった。
これまでのエレーナは、親友の救出と言う大きな目標があり、それ故にマグネラを目指していたが、これ以降の大義は、皇国の主権回復と共和国軍との戦い、つまり宣戦布告をしたことになる。
それは、楽な道のりではない、夫のベナルも、再び戦乱の中にあって、隣国オルコの完全掌握が完了するまで王都に帰ることは出来ないだろう。
リラルは無理をしてでも、夫について来たことが正解だったと感じていた。
そんな時だった、メルガの固く閉じられた瞼から、一筋の涙が流れていることにリラルが気付く。
「メルガさん、聞こえる?、エレーナ様がマグネラの解放を宣言しましたよ!」
そして、メルガは、ようやく目覚めを時を迎えた。
「、、、、はい、聞こえています」
リラルは大慌てで別室のウクルキを呼んだ。
ウクルキは、こうして愛妻との再会を果たすことが出来た。
抱き合って涙する二人は、しばらく動くことが出来なかった。
戦いは終わってはいない、しかし、このマグネラが幸福に満たされた日に、この夫婦もまた、喜びと幸福に満たされた時間を過ごすことが出来たのだ。
病室は、静かに抱き合う二人と、広場で未だ止まぬ大歓声とのコントラストだった。
そんな「静」と「動」の部屋に、ゆっくりと近付くのは、宣言を終えたエレーナだった。
「エレーナ様、本当にありがとうございました」
エレーナは、自分が先に言おうと思っていたお礼を、メルガに先に言われたことに一瞬驚いたが、メルガの前に立ち止まると、皇帝の正装のまま、メルガをじっと見つめながらこう話した。
「メルガ、これから貴女は私の影武者でも身代わりでもありません、どうか、ただの親友になって欲しいの。もう、こんな無茶をしないでちょうだい、私、貴女を失ったら、もし、、、そんな、、、失う事なんてあったら、きっと世界を滅ぼすわ」
皇帝の正装は、とても重く、そしてぶ厚い布地を幾重にも重ねたものだった。
そんな重い正装のまま、エレーナはおおよそ皇帝らしからぬ、跪いた状態で、メルガに抱き着くと、いつまでも顔を埋めて泣き続けた。
駆け付けた俺や玲子君、そしてベナルやノアンカ、マキヤ、エド、そんなエレーナを見ながら、それぞれ健闘を称えあって喜びを分かち合った。
そんな幸福な空気の中、エレーナはまた突拍子もない提案をした。
「メルガ、貴女はきっと、私がいくら対等な付き合いを要求しても、絶対にこれからも私を守ろうとか、身代わりになろうとするのよ、いえ、絶対に貴方ってそう。なので、そうできないよう、あなたたち二人には国王となってもらいます」
、、、、、検討を称え合っていた俺たちは、一瞬固まった。
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