自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

文字の大きさ
上 下
210 / 390
マグネラ攻防戦

第208話 冷たく閉ざされた氷

しおりを挟む
「こんにちはウクルキさん、またお会いしましたね」

 シズが、ウクルキと挨拶を交わすが、ウクルキの表情は依然硬いままだった。
 シズが、別室を準備してくれて、メルガの深層心理に触れることが出来るよう準備してくれていた。
 そして、俺たちの目の前に現れたメルガの心理状態は、美しく目を閉じた状態で、氷に閉じ込められた姿であった。

「これは、、、、俺たちの言葉が聞こえるのか?」

 ウクルキが、 氷に閉ざされたメルガに駆け寄ると、ウクルキは必死にメルガに問いかけた。

「メルガ、 メルガ、 俺だ、アッガだ、君は助かったんだぞ、もう目を覚ましてもいいんだ、エレーナ様は助かったぞ」

 冷たく閉ざされた氷は、まるで棺の様に固く閉ざされたままだった。

 俺たちは、とにかく色々と試してみた。
 だが、結果は変わらずのままだった。 

「何かきっかけが必要なんじゃないかな? メルガさん、表面上は変化無いように見えるんだけど、意識に反応はありますし」
 
 シズのセンサーでは、メルガの意識は感じ取れるとのことだった。
 やはり、体内ディバイスって凄いんだな、直結状態だから、何でも解るんだ。

「では、私の声は届いているってことですよね、 ユウスケ殿、メルガと私を二人きりにして頂けないだろうか?」

 多分、それが一番最短コースなんだろうな。
 俺たちは、ウクルキに全てを託すことにした。 
 夫婦の会話に、割って入ることは出来ないしな。

 俺たちは、ウクルキを残して一度現実に帰ることにした。 
 そうしないとエレーナも不信がるし。

 そうして現実に戻った俺たちを、 エレーナが上から見下ろしていた。

「ユウスケ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 エレーナは、若干怒っているような雰囲気だった、、、 え、何?

「あなたたち、私に隠していることがあるわね、 ウクルキさんがメルガの前でこれほど 堂々と眠るわけがないわ、教えなさい、今、ウクルキさんとあなたたちは、今一体何をしているの?」

 さすがに勘が鋭い子だな、 年齢は若くても、やはり40万の軍勢を率いてここまで来た 実力は伊達じゃない。 
 しかし、困ったぞ、 エレーナにこのことを説明するわけには行かない。
 彼女はウクルキ やメルガと違って、世界に影響力の大きい皇女殿下だ、そして、将来の皇帝となる可能性がある、そんな人物に体内ディバイスなんて入れたら、さすがに許容量を超える、いや、間違いなく超える

そんなときだった、 ウクルキが突然勢いよく目を覚ますではないか。

「エ、エレーナ様、よかった、ここに居られましたか!」 

「そりゃ居ますよ、貴方こそ、ずいぶん勢いよく寝ていたようだけど、、、」 

「それです、それが解決方法なのです!」

 おいおい、どうしたウクルキ、 何か解ったのか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちゃぼ茶のショートショート 「フラッシュモブ」

ちゃぼ茶
ミステリー
あなたの人生はあなたのもの、私の人生は私のもの……とは限らない人生も面白い

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

『量子の檻 -永遠の観測者-』

葉羽
ミステリー
【あらすじ】 天才高校生の神藤葉羽は、ある日、量子物理学者・霧島誠一教授の不可解な死亡事件に巻き込まれる。完全密室で発見された教授の遺体。そして、研究所に残された謎めいた研究ノート。 幼なじみの望月彩由美とともに真相を追う葉羽だが、事態は予想外の展開を見せ始める。二人の体に浮かび上がる不思議な模様。そして、現実世界に重なる別次元の存在。 やがて明らかになる衝撃的な真実―霧島教授の研究は、人類の存在を脅かす異次元生命体から世界を守るための「量子の檻」プロジェクトだった。 教授の死は自作自演。それは、次世代の守護者を選出するための壮大な実験だったのだ。 葉羽と彩由美は、互いへの想いと強い絆によって、人類と異次元存在の境界を守る「永遠の観測者」として選ばれる。二人の純粋な感情が、最強の量子バリアとなったのだ。 現代物理学の限界に挑戦する本格ミステリーでありながら、壮大なSFファンタジー、そしてピュアな青春ラブストーリーの要素も併せ持つ。「観測」と「愛」をテーマに、科学と感情の境界を探る新しい形の本格推理小説。

それは奇妙な町でした

ねこしゃけ日和
ミステリー
 売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。  バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。  猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

次はきっと貴方の番です。

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ミステリー
「えっ、何俺殺されちゃうの……?」 *** 『次はきっと貴方の番です』 ただの平凡な会社員。 そんな俺の下にある日届いた、送り主不明のこのメール。 どうやら「貰うと殺される」という都市伝説があるらしい。 最初はそんなのただの噂だと高をくくっていたけれど、次第に不可解な事が頻発して……。 これは不可解な現状に恐怖しつつもとある出会いを経て、やがて真実を見つけだす。 そんな、ちょっぴりホラーな謎解きミステリー。 ◇ ◇ ◇ 以下の通り、ミステリージャンルでランクインを果たしました。 ありがとうございます。 2021年4月 日間1位、週間2位にランクイン。 2021年5月 年間15位にランクイン。 2021年6月21日  改稿作業のため、第一章以降を一時非公開にしております。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...