自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

マグネラ攻防戦

第204話 ＧＦとＧＭ

『シズ、ウクルキに体内ディバイスを埋め込む事は出来るか？」
　
『え、大丈夫なんですか？、こちらの世界の人間にディバイスなんて入れてしまって」

『大丈夫だ、まだ許容量には到達しない、彼はそう言う男だ、ということだな」

　この、体内ディバイスを入れてしまえば、俺たちの情報は筒抜けになってしまう。　
　それを冒しても、ウクルキはそれを悪用もしないし、世界を征服しようなどとは考えない、それが解るから、許容量に反応しないのだ。

　、、、、もっとも、なんで俺がそんなことを理解出来るようになったかは、依然不明のままなんだけどね。

『それは、ＧＭの意志が、溢れ出しているものと、予想されます」

『　！、、、、、、、、管理人様、それはさすがにちょっと、、大丈夫ですか？、それはもっとも禁忌に触れる部分では？」

　シズがなんだか大慌てで取り繕うとしている。
　なんだ？、、、、ＧＭ？

　俺がＧＦで、グランド・ファーザーって意味だから、単純にこれはグランド・マザー、、、おばあちゃんって事か？、まだ誰か出てくるのか？

『、、、そうですねＧＦ，貴方のお考えの通りです、ＧＭ、彼女は、この状況を常に俯瞰して、貴方様を見守っているのです」

『管理人様、それ以上は、ＧＦのご意志に背きます、どうか控えください」

　今度は、礼子君が割って入ってきた。　
　ＧＦとＧＭ、この二つが、彼らに重大な影響力を持ったキーワードであることは間違いない。

　しかし、今までも、そして今現在も、結構危ない場面とかあったけど、一度も介入してこないなんて、それはちょっと卑怯じゃないのか？。

『どうか、そのようにお考えにならないでください、ＧＭご自身が悲しまれます、、、私はＧＭと直結した存在ですので、彼女の悲しみが、伝わってくるのです」

　あの、管理人をも制する事が出来る存在ってことか？、なんだか俺より凄いんじゃないか？

「雄介様、ウクルキさんが怪訝な顔をしています、体内ディバイス作業を急ぎましょう」

　玲子君は、俺を促すと、なんだかこの件についてうやむやにしたいような雰囲気を思いっきり醸し出して、ウクルキの作業に移行していった。

　まあ、作業と言っても、俺自身が気付かないようなレベルの、痛みも何も感じない施術だから、一瞬なんだかどな。

「ウクルキ、俺を信じて、少しだけ目を閉じてくれないか」

「、、、、、そうだな、魂を売り渡す訳ではないのだからな、、ユウスケ殿を信じよう」

　シズ妖精が、ウクルキに簡単な施術を施す。

『ウクルキ、もう目を開けていいぞ」

「ん？、、、、え？、、、今、ユウスケ殿は何と申された？」

『聞こえるか、ウクルキ、、、、今、君は、我々と同じ能力の一部を手にすることが出来た、これで我々はもう、言葉を交わさず、意思を疎通することが出来る」

「今、ユウスケ殿は、口を動かさずに話をしている、、のか？」

　どうも、ウクルキには、このテレパシーのようなディバイスの意味が解らない様子だった。
　これは仕方がない、、、、、シズ、彼を部屋に招くことは可能か？

『え、ウクルキさんを、私の部屋に、、、ですか？、、、、もう、本当は誰でも入れる部屋じゃないんですからね！、女の子の部屋なんですから」

　ああ、俺があまりにもカジュアルに入り過ぎて、女の子のプライベート空間である、ということを失念していたよ。