自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

マグネラ攻防戦

第203話 世界の理

「ユウスケ殿、、、、そうか、ユウスケ殿は遠い異国の、不思議な技術や能力をお持ちだったな！、何か出来るのか、メルガを助ける方法が、何かあるのか？」

　この世界の医師は、メルガの様態を見て、遠回しに、もう助からないことを三人に告げていた。
　メルガを最も愛する者たちにとって、これはもはや死刑宣告と同義である。
　そんな中、俺が差し出した手は、ウクルキにとって希望の光と見えた事だろう。
　、、、しかし、俺も万能ではないし、シズにも限界はある。

『お止めください、ＧＦ」

『、、、、管理人か、どうした、マキュウェルのところではないのかい？」

『私が時間と空間を自由に出来ることはご存じでしょう。、、、いけません、この世界の人間に、あなた達異世界人の事を話してしまえば、この世界が不安定になります、特に生命に関することは、あまり介入してはいけないのです」

『管理人、考えて欲しいんだ、今回の卑劣な行為、これはこの世界の人間の考えではないだろう、、、俺の言っていることが、理解できるだろ」

　管理人は、少し考えたあと、ゆっくり納得した様子だった。
　この世界の人間が、最も尊ぶ決闘を、暗殺のツールとして使える人物、そんなもの、キル・ザ・ドールのやり口としか考えられないのだ。
　彼らがエレーナを狙った理由は明白だ。
　、、、俺たちの、エラーノ・リターンの妨害意外の何ものでもないのだから。

『ここで、メルガが死んでしまっても、彼らキル・ザ・ドールの目的は達成できる。つまり、彼らの企図を挫くには、メルガを救う事は必須なんだ、、、この世界の許容値は、まだもう少し、あるんだろ？」

　管理人は、少し驚いたように俺を見ていた。
　、、、そう、俺は何故か、世界の許容量が少し把握できるようになっていた。
　その許容量とは、本来あるべき世界を、改変しても良い範囲が存在し、それを超えてしまうと、一つの世界は崩壊してしまう、というものだ。

　それはとってつもなく恐ろしいことであり、この世界だけの問題ではない。
　当然、俺たちの世界、現世に強い影響を及ぼすし、場合によっては連動して崩壊する恐れもある、、、何故か、今の俺は、それが理解出来るようになっている。

『ＧＦが、許容量を理解した上で、彼に真実を語るのであれば、私はもはや何も言いません、どうぞおやりください」

　俺と、管理人の会話を聞いていた玲子君とシズは、どうも戦慄を覚えたようだった、管理人が怖いのもあるのか、この会話に一切介入してこなかった。


「ウクルキ、君も気付いていると思うが、俺と玲子君は、遠い世界からこの地に来ている。君が我々に協力してくれるのであれば、我々の技術力の全てを投じて、メルガの治療にあたるが、どうだろうか」

　ウクルキは少し涙を抑えながら、俺に懇願してきた、当然何でもすると、だから、どうかメルガを助けて欲しいのだと。
　必要ならば、自身の命を捧げても良いとさえ言った。

　、、、だから、、、、俺は、ウクルキに治療の秘密を打ち明けることにしたのだ。