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マグネラ攻防戦
第201話 蒼 白
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「マキヤ、ノアンカ、誰でもいい、俺の声が聞こえないか?!」
だめだ、声なんて通るはずもない、この大歓声だ、これじゃ真柄《さながら》、剣闘士の戦いではないか。
『シズ、エレーナに向けられた悪意の場所は特定できないか?」
『すいません、人が密集しすぎていて、無理です」
『玲子君、君のいるところから、オルコ共和国軍の兵士で、銃を装備している者はいないか?」
『ええ、銃ですか?、、、、ここからは見えませんが」
俺の予感が正しければ、彼らの中に銃を持った隊員が居るはずだ。
この違和感の正体は、恐らく狙撃手によるエレーナ皇女の殺害だ、、、、いや、多分、この予感が正しい。
事実、この状況では、俺たち異世界人ですら、エレーナにも敵にも近づくことが出来ない。
もう一度、どうか、エレーナ、気が付いてくれ!
「エレーナ、エレーナ!、危険だ、下がれ!」
大歓声にかき消された俺の声は、やはりエレーナには届いていない。
ウクルキが敵の指揮官との距離を一気に詰める、敵はウクルキの後方に展開して倒す予定でいたらしいが、まさかの猛進により、敵の陣形は整理出来ないまま指揮官の防一方になって行く。
その状況が、市民の歓声をより大きなものに変えて行く。
、、、、これは本当にヤバい!
『シズ、俺をエレーナの所へ瞬間移動させることは出来るか?」
『ええ、今すぐにですか?、ちょっと時間がかかるかもです!」
いや、それじゃあ間に合わないんだ!
俺がそう、もどかしく思っている矢先、それは起こった。
ズターーーン ー・ーー
銃声だ、しかし、その銃声も、大歓声にかき消され、気付いたものは少ない。
俺は急いでエレーナに目をやると、エレーナの目の前に飛び出す人影が見えた。
「い、、、嫌ー!、なんで、どうしてなの!」
エレーナの顔面が見る見る蒼白になって行く。
飛び込んできた人物は、エレーナ皇女を守ろうと、銃弾の前に飛び出していったのだ。
俺は、先ほどの狙撃手の位置が、音と煙によって特定することが出来た、腰に装備していた拳銃を抜くと、俺はその狙撃手めがけて5発の銃弾を発射した。
「嫌よ、嫌、どうしてなの?、メルガ!」
ああ、やはりエレーナを守ろうと、飛び出して行ったのはメルガだったか!
俺の銃声は、市民を一瞬静まらせ、その現場で一体何が起こっているかを、居合わせた人々に知らしめるには十分だった。
決闘をしていた兵士たちも、その手は一瞬止まった、、、もちろんウクルキの手も。
そして、ウクルキは、妻の身に何が起こったかを悟ると、激昂し、形振り構わず敵の指揮官へ突進していった。
事の異常さに気付いたハイヤー卿が、決闘の中止を指示するが、もはや怒れるウクルキを制止出来る者など皆無であった。
その、怒りに満ちた奇声は、会場を静まらせ、決闘会場には大きな質量を持って振り下ろされるウクルキの剣の音と、砕かれる頭蓋骨の音が響き渡った。
「メルガ!」
闘志剥き出しなのは、それを悟ったブラックナイト・ユニットの隊員達も同じであった。
「隊長、行ってください、ここに居る卑怯者共は、私達で抹殺しますので」
我がことののように怒りを露わにするドロエ中尉の言葉に、ウクルキは直ちに呼応し、全速力でメルガの元に向かう、そして俺も。
だめだ、声なんて通るはずもない、この大歓声だ、これじゃ真柄《さながら》、剣闘士の戦いではないか。
『シズ、エレーナに向けられた悪意の場所は特定できないか?」
『すいません、人が密集しすぎていて、無理です」
『玲子君、君のいるところから、オルコ共和国軍の兵士で、銃を装備している者はいないか?」
『ええ、銃ですか?、、、、ここからは見えませんが」
俺の予感が正しければ、彼らの中に銃を持った隊員が居るはずだ。
この違和感の正体は、恐らく狙撃手によるエレーナ皇女の殺害だ、、、、いや、多分、この予感が正しい。
事実、この状況では、俺たち異世界人ですら、エレーナにも敵にも近づくことが出来ない。
もう一度、どうか、エレーナ、気が付いてくれ!
「エレーナ、エレーナ!、危険だ、下がれ!」
大歓声にかき消された俺の声は、やはりエレーナには届いていない。
ウクルキが敵の指揮官との距離を一気に詰める、敵はウクルキの後方に展開して倒す予定でいたらしいが、まさかの猛進により、敵の陣形は整理出来ないまま指揮官の防一方になって行く。
その状況が、市民の歓声をより大きなものに変えて行く。
、、、、これは本当にヤバい!
『シズ、俺をエレーナの所へ瞬間移動させることは出来るか?」
『ええ、今すぐにですか?、ちょっと時間がかかるかもです!」
いや、それじゃあ間に合わないんだ!
俺がそう、もどかしく思っている矢先、それは起こった。
ズターーーン ー・ーー
銃声だ、しかし、その銃声も、大歓声にかき消され、気付いたものは少ない。
俺は急いでエレーナに目をやると、エレーナの目の前に飛び出す人影が見えた。
「い、、、嫌ー!、なんで、どうしてなの!」
エレーナの顔面が見る見る蒼白になって行く。
飛び込んできた人物は、エレーナ皇女を守ろうと、銃弾の前に飛び出していったのだ。
俺は、先ほどの狙撃手の位置が、音と煙によって特定することが出来た、腰に装備していた拳銃を抜くと、俺はその狙撃手めがけて5発の銃弾を発射した。
「嫌よ、嫌、どうしてなの?、メルガ!」
ああ、やはりエレーナを守ろうと、飛び出して行ったのはメルガだったか!
俺の銃声は、市民を一瞬静まらせ、その現場で一体何が起こっているかを、居合わせた人々に知らしめるには十分だった。
決闘をしていた兵士たちも、その手は一瞬止まった、、、もちろんウクルキの手も。
そして、ウクルキは、妻の身に何が起こったかを悟ると、激昂し、形振り構わず敵の指揮官へ突進していった。
事の異常さに気付いたハイヤー卿が、決闘の中止を指示するが、もはや怒れるウクルキを制止出来る者など皆無であった。
その、怒りに満ちた奇声は、会場を静まらせ、決闘会場には大きな質量を持って振り下ろされるウクルキの剣の音と、砕かれる頭蓋骨の音が響き渡った。
「メルガ!」
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「隊長、行ってください、ここに居る卑怯者共は、私達で抹殺しますので」
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