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マグネラ攻防戦

第193話 今、何と申した?

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「、、、、エニオガーノよ、、、今、何と申した?」

「はい、国王陛下、速やかに亡命の御支度を整えてくださいませ」

「どうしたね王子、一体何があったと言うのだ、王子も念願叶ってドットスの姫と、婚約したばかりではないか」

「いえ、婚約はまだですが、、、それより、今周辺国を全て巻き込み、大きな政変が起きています。まもなく新生オルコ共和国軍がフキアエズに全面侵攻を開始します」

 フキアエズ王は、息子の戯言《たわごと》だと思い、緊張感もなくエニオガーノ王子の申し出に笑顔で答えていた。
 しかし、そんな状況ではないことを、妖精フォンで俺と話をしたばかりのエガには、十分に理解出来る状態であった。


 、、、、妖精フォン、、、



 俺はフキアエズに残って、エガとの連絡役をお願いしていたムスキに、例の一大作戦について伝えるよう、お願いした。

『もう!、なによ!、何なのよ!、そんなこと、言える訳ないでしょ、私は王族でもなければ政治家でもありません、一国の国王の亡命やら、全軍撤退の話とか、私がエガに伝えて、「はい、そうですか」って、なる訳ないでしょ!」

 妖精フォンとして、ムスキの左手に受話器のように握られたシズは、一方的なムスキの怒りをただ一人受け続けていた。
 ムスキは、我を忘れてシズを握る手に力を込めた、、、、シズ、顔色悪いけど、大丈夫か?

「ムスキさん、、、落ち着いて、GF、、、ユウスケさんの話を聞いてあげて」

「もう、妖精さんまでユウスケの味方なの?、よりによって、何でそんな大事な事を。大体、私がそんなこと話したって、エガさんも国王陛下も納得なんてしませんよ」

 まあ、ムスキがそう言うのも無理はない。
 歴史的に見ても、有り得ない作戦をこれから決行しようと言うのだ、未成年のムスキが妖精片手に話をしても、誰も信じんわな。
 それにしても、シズ妖精を片手に持って、妖精に切れてるムスキの姿を想像すると、かなりマニアックなシチュエーションだな、と少し可笑しくなるのを抑えつつ、、、、片手に妖精、、、か、。
 俺はもう、どうしようもない緊急事態だと感じ、ここはシズに、もう少し骨を折ってもらうことにした。

『ええええ!、妖精さんをエガさんに直接会わせる?」

『だって仕方がないだろ、ムスキがエガに話すのが困難だってんなら、これしか方法がないしな。それに、妖精通じて話した方が、エガだって俺からの話だって信じてくれるだろ」

『あのねユウスケ、私はこれでも妖精研究家だからこの事実を咀嚼《そしゃく》出来た事だけど、、、普通の人は妖精の存在なんて信じないわよ」

『いや、現物が目の前に居れば、さすがに認めざるを得ないんじゃないか?、じゃあ、ムスキ、やっぱりエガに例の件、話するか?」

 さすがにそれは嫌だったようで、、、かなり渋々了承した。


「あのー、エガ王子、、、ちょっと」

 ムスキは事が事だけに、エガを自室に呼び寄せることにした。
 ムスキは「嫁入り前の娘が、自室に王子を引き入れるなんて、、、、」と、嘆いていた。

 エガ王子はいよいよ三国連合の挙兵に向けて準備中で、戦闘モードになっていた。
 
「どうしたの?ムスキ姫、マキュウェル姫の事で何か?」

「あ、いえ、違うんです、その、、、ユウスケから言付《ことづ》かったことがありまして、、、」

 エガは一瞬、何のことか解らないでいた。
 何しろ、俺とムスキの間には、何ら通信手段か無いのだから。
 そこへ、前触れもなく、シズ妖精がひょっこり顔を出してしまうではないか!

「ちょ、ちょっと、妖精さん!」

 ムスキが慌ててシズを引っ込めようとするが、時既に遅し、、だった。

「ん?、、、、んんんんん?!、、、えーーー!、何ですかこれは、ムスキさんひめ、ちょっと今隠した生き物、ちょっと!」

「ちょっと、生き物ですって!、私は生き物、、、と言えば生き物ですけど、シズって名前があるんですからね、レディーに失礼だわ!」


 あー、シズさん?、話には段取りってあるよね、知ってるよね、、、シズさん!
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