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マグネラ攻防戦
第181話 ドラゴン肉の行方
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朝靄の煙るマグネラの街、その中心部からやや南東に、マグネラレジスタンスが築いたバリケードがあった。
ここに焚火と、街の術師が設置した杖により、周囲は煌々と明るく照らされていた。
マグネラの街もまた、龍脈の上に作られた街であったため、魔法の杖や、剣の発光素子はよく光った。
術師は敵兵の放置していった剣を拾い集めると、それを龍脈の通った地面に突き刺しながら嘆いた。
「これほどの宝石が入った剣、さぞ名のある家柄だろうに。よもや皇民に刃を向けるなど、まったくオルコ帝国軍も落ちたものだ」
それを、直ぐ横でウクルキと見張りのオル・ゼンガが聞いていた。
「そもそも、オルコ帝国軍は強大ではあったが、騎士道に背くような軍隊ではない、俺たち巨人族とも、中立和平を貫いて来たのだ。それを、俺たちの家族を人質にとるような行為を恥とも思わないようになるのだから、人間とは怖い生き物だ」
ウクルキは、返す言葉も無かった。
オルも、ゼンガも、家族が心配だろうに、こうして自分たちと抵抗勢力に加勢して共に戦ってくれている、これだけでもほんの数か月前には考えもしなかったことだ。
しかし、さすがの巨人族にも、疲労の色が出始めている。
特に巨人族は主食が肉であるため、この食糧難のマグネラにあって、かなり食を遠慮しているように見えた。
そこへミスズが、オルとゼンガに骨付き肉の差し入れに来てくれた。
「申し訳ありませんが、巨人族の方々だけになりますが、リーダーのキタヤ隊長からの差し入れですわ」
近くに生息する鹿の肉だろうか、かなり大振りの肉だが、巨人たちが手に取ると、まるでフライドチキンのように見えてしまう。
それでも、オルとゼンガの二人は、それを本当に美味しそうに食べて喜んだ。
「ああ、腹いっぱいに食いたいな、この間、久々にドラゴンの肉を食べたが、あれは本当に美味しかった」
ん?、ドラゴンの肉?。
『玲子君、今、オルがドラゴンの肉って言わなかった?」
『ええ、私にもそう聞こえました、、、」
え、ドラゴンって、そんなに捕れるものなの?
「オルさん、ドラゴンって、この地方ではそんなに捕れるものなんですか?」
「とんでもない!、ドラゴンの肉は貴重です。本来なら食用は禁止されていますが、私達巨人族は、慣習から許可されているだけで、この間、久々にドラゴン退治に成功したとかで、、それはもう5年ぶりくらいのものでしたから」
あー、それは、あれだね、俺たちが倒したドラゴンだな、、、、あれって、最終的に巨人の胃袋に入るものだったんだな。
そこで、玲子君がまた、そのドラゴンを倒したのは俺だって言うもんだから、オルとゼンガはそれはもう驚いて、なんだかそれ以来、俺は巨人の二人から恐ろしい剣士のように思われる羽目になってしまった。
いや、あれ倒したの、実際は玲子君だろ、ちゃんと説明しないと、、、、また捕ってきてくれって言われても困るぞ、俺は。
そんな時、ブラックナイト・ユニットの見張りが、こちらに向かってくるオルコ軍の集団を、朝靄の中に確認した。
「誰か?、止まれ!、止まらんか」
一同に緊張が走る。
ウクルキが飛び出し剣を抜き、就寝中だった他の者たちも飛び起きて抜刀した。
こちらの制止も聞かず、更にオルコ軍はゆっくりとこちらに向かって来るのである。
ここに焚火と、街の術師が設置した杖により、周囲は煌々と明るく照らされていた。
マグネラの街もまた、龍脈の上に作られた街であったため、魔法の杖や、剣の発光素子はよく光った。
術師は敵兵の放置していった剣を拾い集めると、それを龍脈の通った地面に突き刺しながら嘆いた。
「これほどの宝石が入った剣、さぞ名のある家柄だろうに。よもや皇民に刃を向けるなど、まったくオルコ帝国軍も落ちたものだ」
それを、直ぐ横でウクルキと見張りのオル・ゼンガが聞いていた。
「そもそも、オルコ帝国軍は強大ではあったが、騎士道に背くような軍隊ではない、俺たち巨人族とも、中立和平を貫いて来たのだ。それを、俺たちの家族を人質にとるような行為を恥とも思わないようになるのだから、人間とは怖い生き物だ」
ウクルキは、返す言葉も無かった。
オルも、ゼンガも、家族が心配だろうに、こうして自分たちと抵抗勢力に加勢して共に戦ってくれている、これだけでもほんの数か月前には考えもしなかったことだ。
しかし、さすがの巨人族にも、疲労の色が出始めている。
特に巨人族は主食が肉であるため、この食糧難のマグネラにあって、かなり食を遠慮しているように見えた。
そこへミスズが、オルとゼンガに骨付き肉の差し入れに来てくれた。
「申し訳ありませんが、巨人族の方々だけになりますが、リーダーのキタヤ隊長からの差し入れですわ」
近くに生息する鹿の肉だろうか、かなり大振りの肉だが、巨人たちが手に取ると、まるでフライドチキンのように見えてしまう。
それでも、オルとゼンガの二人は、それを本当に美味しそうに食べて喜んだ。
「ああ、腹いっぱいに食いたいな、この間、久々にドラゴンの肉を食べたが、あれは本当に美味しかった」
ん?、ドラゴンの肉?。
『玲子君、今、オルがドラゴンの肉って言わなかった?」
『ええ、私にもそう聞こえました、、、」
え、ドラゴンって、そんなに捕れるものなの?
「オルさん、ドラゴンって、この地方ではそんなに捕れるものなんですか?」
「とんでもない!、ドラゴンの肉は貴重です。本来なら食用は禁止されていますが、私達巨人族は、慣習から許可されているだけで、この間、久々にドラゴン退治に成功したとかで、、それはもう5年ぶりくらいのものでしたから」
あー、それは、あれだね、俺たちが倒したドラゴンだな、、、、あれって、最終的に巨人の胃袋に入るものだったんだな。
そこで、玲子君がまた、そのドラゴンを倒したのは俺だって言うもんだから、オルとゼンガはそれはもう驚いて、なんだかそれ以来、俺は巨人の二人から恐ろしい剣士のように思われる羽目になってしまった。
いや、あれ倒したの、実際は玲子君だろ、ちゃんと説明しないと、、、、また捕ってきてくれって言われても困るぞ、俺は。
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「誰か?、止まれ!、止まらんか」
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