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決 意

第173話 妖精フォン

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「は、、、はああ?」

 マキュエルが驚くのも無理はない。
 幼い頃からムスキの妖精話を聞かされ、自分も一時期は妖精が実在するのではと考えるほどの影響を受けていただけに、その実物を見た瞬間、ついにそこまでやってしまったのか、と言う恐ろしさすら感じていた。
 ムスキは、思い詰めると怖いタイプ、そう感じていただけに、本物の妖精を目の当たりにしたマキュウェルは、背筋が凍える思いだった。

「あなた、、、どうしたの?、まさか、好きをこじらせて、妖精の森か何かからさらってきたんじゃないでしょうね?」

「まあ、マキュウェル!、あなたは、やはり、この子たちを見ても驚かないのね!」

「いや、十分に驚いてるわよ!、って言うか、どこから突っ込みを入れたらいいか、迷うくらいよ!」

 ムスキが目を輝かせるのと同じように、左右の妖精も目を輝かせて自分を見るものだから、三人姉妹のように見えてしまい、思わず笑ってしまいそうになった。

「でも、今は妖精さん達に構っている場合じゃないんじゃない、こちらも軍を進めないと、メルガが処刑されてしまうわ」

「そのことなんだけどね、実はかなり詳細の情報が、私の元には入ってきているの、メルガさんは、今、ウクルキさん達と一緒よ」

 マキュウェルは、ますます事情が解らないでいた。
 これほどの距離を、伝令もなく、一体どのような手段で連絡など取りあえるのか。

「あのね、この子たちは、お互いにテレパシーを通じ合う事が出来るの、ちょっとこの子たちを左手で持ってみて」

 ムスキはシズ妖精の方を、まるで受話器のように持つと、耳側にシズの頭を寄せて、足の方に向かって話しかける。
 受話器のように持たれたシズは、思わず「イヤん」とミニスカートを手で押さえて恥ずかしそうにする。
 それを見ていたマキュウェルが、とりあえず、見よう見真似で管理人妖精を左手で持ち、耳に頭を寄せると、管理人妖精も棒読みで「イヤん」と呟いた。

『マキュウェル様、聞こえますか?」

「わ、、、何これ、今、妖精から、ムスキの声が聞こえたわ」

『そうなんです、これは妖精さんのテレパシー能力を応用した通信手段なんだそうです」

「なんだそうです?、って、誰がそう言ったの」

『俺だよ、マキュウェル!」

「うわあ!、、何?、何なの?、その声はユウスケ?、今、すごく近くに声が聞こえたけど、、、」

「それは、妖精さんを通じて聞こえているの、ユウスケとミスズには、元からテレパシーの能力が宿っているらしくて、この子たち二人を含めると、この世界で4人が瞬時に会話することが出来るわ」

『そういう事、納得頂けたかな?マキュウェル!」

 さすがに納得せざるを得ないかった、この世界に、このような手段があったとは。
 しかし、マキュウェルもまた、武人の血筋、このツールが、今のこの状況にどれだけ重要な役割を果たすかは、容易に想像できた。
 それだけに、今はスピリチュアルな話云々よりも、目先の大問題に対して直線的に対応することが急がれた。

「、、、、、まあ、納得したわけでも、理解したわけでもないんだけど、とりあえず、今の私達にはとても有り難いお話だわ。、、、妖精さん、お願い出来るかしら」

「ああ、無論、そのつもりだ」

 あ、管理人妖精は、俺以外の人間には敬語使わないんだったな。
 初対面の妖精に、上から目線で会話されたマキュウェルは、若干ワナワナと怒りを抑えつつ、妖精を握る左手を強く握り締めるのであった。

 管理人妖精、なんだか顔青いけど、大丈夫か?
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