自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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帝国の激震

第157話 ん?、、、二人?

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 晩餐会は予想以上に楽しく過ごす事が出来た、おそらくノアンカを除けば、料理も酒も十分に楽しめたのではないだろうか。
 それにしても、どうして王族の晩餐会なのに、もんじゃ焼きは必ず出て来るんだろう、こっちじゃ高級料理なのか?

 意外だったのが、エフライム公王がフランクで話しやすい人物だと言うことだった。
 少なくとも、俺の中で上司にしたいランキングに入って来ているほどだ。
 さすがに明日早くに出発するため、深酒はしていないし、ノアンカはそれ以前の問題で、そもそも緊張しすぎて全くのシラフだ。
 マキュウェルは、なんだか妙に機嫌が良く、あれほどエガを見ればツンデレしていたくせに、随分楽しそうにエガと談笑していた。
 エガはそれが本当に嬉しかったらしく、アルコールが随分進んでいるようだった。

 そんな雰囲気の中、酒豪の一人だと思っていたムスキが、俺を訪ねて来たではないか、、、、。
 もう部屋の従者が、「またか」という表情だったので、今回は部屋に招き入れた。
 まあ、ムスキまで、私をどう思うかとか、聞いてこないだろうし、どうせ明朝にはここを去る人間だから、従者にどう思われたって関係ないし、程度に考えていた。

 しかし、ムスキの表情はいつになく神妙な面持ちだった。

「どうしたムスキ?、顔色悪いぞ」

「ユウスケ、私、酒癖が悪いのかな?、ちょっと考えられないことが今起きているのだけど、、、」

 ん? なんだそれは?
 ムスキ個人に起こっていることか?、

「大丈夫だから、順序立てて話してごらん」

 すると、ムスキは俺に抱き着いてきた。


 え、、、何?、何なのこの迫力とボリューム!


 、、、いや、そうではなく、ちょっと冷静にだな、、、。

「おい、ムスキ、この部屋では俺たち二人っきりなんだから、さすがに抑えてくれよ、俺だって男なんだぞ!」

「、、、ごめんなさい、でも、、私、、嬉しくて」

 ん?、嬉しい?、ますます訳が解らん、、、、あっ、もしかして、シズか?

『シズ、ムスキの前に現れたのか?」

『、、、、、、、」

『なんだよシズ、返事しろよ」

『、、、、はい、現れた事は現れたのですが、、、、」

『何だよ、歯切れ悪いな」

 するとムスキが紅潮させた表情で俺を見上げると、涙交じりに嬉しそうに俺に報告するのだ。

「ユウスケ、あのね、あの、、妖精さんがまた私の前に現れてくれたの!、それも二人も!」

 、、、、、え?、、、ん?、、、二人?

 、、、おい、何だ?二人って?、シズ、サービスしすぎじゃないか?

『違うんです、、、その、、二人目は私じゃありません、、」

 おい、何が言いたい、そんな訳、ないだろう、じゃあもう一人は一体誰なんだよ!
 俺がそう考えていると、なんとムスキの後ろから妖精バージョンのシズが無表情で俺の前に現れるではないか!
 一応、驚いたリアクションは取ってみたが、シズの表情がいつもと違い、だいぶ暗い、何なんだよ!

『雄介様、私はシズではありません」

 ん?何言っているんだシズ、、、、いや、シズだろ、ちょっと小さいだけでいつものシズじゃん!

『お気付きになりませんか、、、、ご無沙汰しております、、私です」

 俺はちょっと考えてみた、、、、、そして、その符号が一致した時、鳥肌が立った。
 それは、蝶《ちょう》だと思って近付いたら、巨大な蛾《が》だった時に少し似ていた。
 そう、、、、この目の前にいる一見可愛らしい姿の妖精は、妖精ではない、そしてシズでもない、、、

『管理人ですか?」

『、、お久しぶりですね、雄介様、色々お聞きしたい事があります」

 !っ、怖い、怖いよ管理人!
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