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帝国の激震

第150話 貴殿の妙案を信じて

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 俺はベナル達ドットス王国帰還組、そしてエガ達フキアエズ首都帰還組を見送った。

 エガのプロポーズをどうするかは、マキュウェルに委ねられ、この騒動が終わったら、あらためて返事をする事になった。

 ロームボルド准将は、ワイドロア連隊を既に前方へ展開しているので、何かあればすぐに進撃出来ると教えてくれた。
 そして、ウクルキには、、、

「まだ、何も終わっていないし、何も始まってはいない、厳しい旅路になると思うが、最後まで諦めるな、俺がきっと、なんとかするから」

「ユウスケ殿、かたじけない、貴殿の妙案を信じて!」

 ウクルキはそう言うと、手を大きく降って、迎えに来ていたフキアエズの軍隊と共に首都に向け、新妻と共に去って行った。

 17名もいた大きなパーティは、急に少なくなっていた。
 俺たちのパーティからもウクルキが抜けて、人員が不足していたし、多分、全員が同じ行動を取ることは出来ないだろう、なぜなら時間がないのだ、全てを同時に進める必要がある。
 そして、この世界には、通信手段が伝令しかない。
 厳密には狼煙や伝書鳩などはあるのだが、正確性に欠ける。
 俺は、ベナルに増員を依頼した、間に合うと良いのだが。

「みんな、これから作戦について話がしたい、集まってくれ」

 俺は残った人間を全て広間に集めると、作戦について話を始めた。
 
「これから先の行動は、グループに分かれてほしい、そこにはルガ ハイヤーさん、あなたも含まれます」

 メルガの父親であるルガ ハイヤー氏もここに残っていた。
 娘さんと同行しないくていいのか聞いたが、嫁いだ娘に付いてゆくのは野暮だし、今は自分に出来ることをしたい、との申し出であった。
 エレーナのパーティは、エレーナと従者の二人がドットス本国へ、メルガがフキアエズ預かりとなったため、父親は一人となってしまった。
 しかし、彼の存在は戦力になる、事実上、帝国軍の中枢とパイプを持っているのは彼しかいない。
 そして、この世界にはない銃以外の、もう一つのアドバンテージ、それを使うしかないだろう。

「これからオルコ帝国領内に侵入するグループと、エフライム公国へ行くグループに分ける、マキュウェル、ノアンカ、ムスキ、俺と一緒にエフライム公国へ行ってくれ」

 それを聞いた玲子君が、少し動揺した。
 これまでずっと行動を共にしてきた自分が、俺との同行から外されるとは思っていなかったようだった。
 
「オルコ領内へは、カシラビ、玲子君《レディー》、オル、ゼンガ、そしてルガさん、お願いできますか?」

 ルガさんは快諾してくれた、土地勘のあるルガさんとカシラビ、巨人の二人、そして玲子君、女性一人ですまないが、カシラビも女性には紳士だから問題ないだろう、、、多分。

『雄介様、これはどういうことですか?、私は雄介様と行動を共にします」

『いや、今回に限ってはこれでいいんだ、俺たち二人しか、体内ディバイスを入れていないから、音声通話は二人しか出来ないし、いざとなればシズの部屋で落ち合える、シズ、通信距離は大丈夫か?」

『もちろんです、そんなアナログな通信距離ではありませんよ、地球の反対側でも通信可能ですわ」

 さすがだな、どんな方式か知らないが、大したものだ。
 
「ゼンガ、君の小銃をこちらに預けてくれないか?」

「ああ、しかし、1丁でいいのか?」

「問題ない、戦いに使用するんじゃないからな、代わりと言ってはなんだが、、、」

 俺は、対物狙撃銃をゼンガに与えた。
 突然こんな長物が出てきたら、色々物理法則上、なんだか問題ありそうだが、先ほどのベナル達が持ってきてくれた、ということで誤魔化す事が出来た。
 さすがに巨人族には丁度良い大きさだな、今まで玲子君は、よくこんなの扱ってきたものだとあらためて感じる。

「カシラビ達オルコ領内へ侵入する組は、オルコ帝国内の状況を探ってほしい、俺の予想では、反乱部隊に対抗するレジスタンスのような組織があると考えている」

「なるほど、それは十分にありえますな」

 ルガさんは、オルコ帝国は先の皇帝により安定した政治を行っていたため、国内の貴族や軍人は、現反乱勢力に素直に全員が従うとは思えないとのことだった。
 そりゃそうだろ、ポッと出の人間に、いきなり全員が付いてゆく事なんて普通はない。
 ルガさんには、帝国領内のパイプを使ってレジスタンス活動を煽ってもらうよう指示した。
 そして、カシラビの友人、ローハン達も、現場でレジスタンス活動をするメンバーを募るよう依頼した。
 ここには、巨人族二人が付いていることで、説得力を得る事が出来るだろう。

 この、オルコ軍の分裂に成功すれば、あとは半分の側にドットスとフキアエズの34万が付けば、形勢逆転を狙える、また、それがこのレジスタンス活動の担保となるだろう。
 だが、さらなる担保が必要になる。
 その鍵が、エフライム公国にあるな。
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