自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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帝国の激震

第145話 オルコ帝国内で

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 とにかく驚きの連続だった。
 順番がバラバラ過ぎて、エガのいきなりのプロポーズが、なんだか白昼夢を見ているような不思議な感じに思えてならないかった。

 そして、エガこと、エニオガーノ・フキアエズ王子は、また、全てを見通したように、今、この事態を冷静に分析してこう言った。

「ベナル・アイラベル少将、君が自らここへ赴いたという事は、事態が急変した、ということでいいかな?、君の噂は良く聞いている、よく来てくれましたね」

 王族らしい物腰で優しく語るその雰囲気に、その場は圧倒される、やはり違うものだと。
 それにも増して、彼は多分、かなり頭が良い、なんとなく解る。
 大学にもいたな、天才肌のやつって、紳士なんだけど、ちょっと測りかねるところがあるんだよな。
 で、エガが言う事態って、なんなんだ。
 
「はい、殿下の仰せの通りにございます、、、その、」

 ベナルが、何故かエレーナの方を少し見た、そして、その行動で、エレーナは全てを察したようだった。
 エレーナは、ついさっきまでキニーレイ少尉をキラキラとした目で追っていた輝きを急速に失わせ、察したようにこう答えた。

「よい、申せ」

 ベナルは、エレーナに対しても、エガと同様に深々と首を下げながら、発言を続けた。
 ん?、エレーナもこの国の王族か何かか?、って、おいおい、王族集まりすぎじゃないか?どうした、なんだか急にここの場が首脳会議みたいになってるじゃん。

「はい、では、申し上げます、オルコ帝国内で反乱が発生しました、残念ですが、、、エレーナ皇女殿下」

 再びその場に居た一同に激震が走る。
 いいとこのお嬢ちゃんだとは感じていたが、よりにもよって、このお嬢ちゃんはオルコ帝国のお姫様?ってか? 
 エレーナは、立ち尽くして、それでも皇女の威厳を保とうと必死に虚勢を張っているように見えた。
 、、、そして両手で顔を覆いながら、何故かメルガが泣き崩れていた。

「メルガよ、覚悟を決めなさい、私達はこの日のために、エレーナ様にお仕えしているのだぞ、しっかりしなさい」

 泣き崩れたメルガは、何とか冷静を保とうとしつつ、その男性に向かってこう言ったのである「はい、お父様」と。
 そんなメルガに、誰よりも早く駆け寄り、肩を抱き寄せ慰めたのは、さっきまで同部屋だったウクルキだった。

「あなたが御父上ですか、わたくしはドットス王立軍ロームボルト連隊所属C中隊長アッガ・ウクルキ少佐と申します、緊急の事態故、ご無礼をお許しください、どうか、メルガを私に頂けないでしょうか」
 



 、、、、、はーーーー?




 おいおい、なんだよ、、、、ウクルキって、そっち系なのか? 
 メルガは男だぞ、しかも、このタイミングで、一体何のカミングアウトなんだよ。
 
「おい、帝国が非常時なんだぞ、ちょっと非常識じゃないか?」

「ユウスケ、、、殿、聞いてください、これには事情が、、」

「ウクルキさん、大丈夫、私が全てをご説明いたします」

 メルガはそう言うと、一人別室へ向かった。
 何なんだ?、何から何まで、急展開過ぎて頭がついてこない。

『シズ、これはシズの中で織り込み済みなのか?」

『いえ、私も驚いています、でも、これからの展開は、ちょっと切なくなりますね、、私には、ちょっとキツイ場面になりそうです」

 何を言っているんだシズ、俺にはまだ事情が掴めないぞ。
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