自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

新たな仲間

第140話 中心座標

　エラーノリターンの目標座標は、このマキュウェル付近に集中していることは大体合っているようだった。
　最初にマキュウェルは、俺のことが好きだったようだが、新しく現れた、俺によく似た男、エガに惹かれているように感じる。
　仮に、マキュウェルの恋が成就することがエラーノリターンの完了を意味するなら、ここはエガとくっつけることが最優先のように感じられる。

「玲子君、マキュウェルとエガって、どう思う？」

「はい、私はとてもお似合いだと思います、、、、でも、政治的な関係を考えたら、果たしてそれが最適解かどうかは疑問ではあります」

　まあ、そうだな。
　エガがこの世界で、何ら身分のない一般人であれば、マキュウェルの隣に相応しいとはだれも思わない。
　しかし、ドットスの国王は、俺のことをマキュウェルの夫として、少しは考慮対象としているようだから、全くの平民にチャンスが無いとは限らない。
　この間のロクソム攻防戦のような大きな戦いで武勲の一つでも立てられれば話は別だが、あんな大規模な戦闘はしばらく起こらないだろうから、エガとマキュウェルをくっつけるのはかなり困難な作業だろう。

　俺たちは巨人のオルとゼンガに連れられて、彼らの集落へと向かっていた。
　彼らの集落には、人質となった女性や子供もいるが、全員を捕獲された訳ではなく、細々と村は維持されているようだった。

「こちらが私たちの集落になります、あまり豊かではありませんが、どうぞおくつろぎください」

　オルがそう言うと、俺たちは巨人サイズのオルの家へ通された。
　彼の家には、年老いた父親だけが残り、妻と子供は人質にされているとのことであった。
　
「息子が粗相を犯したようで、本当に申し訳ありません、事情もあることから、どうかお許し頂ければ幸いです」

「いえ、大変だった事情は理解出来ますから、頭を上げてください」

　オルの父親は、俺たちのパーティの宿泊に必要な準備をしてくれた。
　まあ、巨人サイズといっても、一つの寝具に何人も寝られないし、この村には宿屋もないから、民家に宿泊するしかない。

　そこで、何名かづつのグループに分けられることになったのだが、、、

　そこで、玲子君はグループ分けでとんでもないことを言い出した。

「ではグループを発表します、ムスキさんとエレーナさん、ノアンカさんとウクルキさん、、、、」

　玲子君は、なぜかこのグループ分けのリーダーシップを取って、テキパキと分けて行った。
　そして最後に、、、

「マキュウェルさんとエガさん、ユウスケ様と私、以上です」

　こらこら、最後のはともかく、最後から二番目のやつ！
　ほらー、マキュウェルとエガの間の雰囲気が、なんだかおかしな感じになってるじゃん！