自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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新たな仲間

第139話 エムデイと名乗った男

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 夕食の時、巨人の二人が、ようやく今自分たちの置かれた状況について語り始めた。

「俺の名前はオル、こっちがゼンガ、この先にある巨人族の村の出身だ。これまでの山賊行為、本当にすまないと思っている。」

「事情があるんだろ、まずは話してみろよ」

 彼らが言うには、丁度1カ月くらい前、巨人の村にオルコ軍の軍師を名乗る男が数名の兵士を連れてやってきた。
 彼は自分の名をエムデイと名乗ったが、それ以上の事は多くを語らなかった。
 彼の用件は、巨人族に対するオルコ軍への参加要求であったが、そもそもこの村はオルコとフキアエズの国境にあり、巨人は特定の人間国家に対して軍事協力はしないという国際条約があったため、一蹴したのだと言う。
 するとエムデイたちは、見たこともない武器で村を襲撃し、力の弱い女子供を捕らえると、オルコ帝国領へ引き返してしまったのだと言う。
 数日後、オルコの使者が来て、軍への加入が出来ないのなら、山賊となって、ある標的を襲うよう言われた、その代わりの条件として、小銃を与えられたのだそうだ。

「しかし、訓練もなく、よくその銃を使いこなせたもんだな、カシラビとの銃撃戦も、なかなかのもんだだったぞ」

「彼らは一定の戦い方を自分たちに教えてくれた、小銃も俺たちの大きな手でも撃てるよう、改良もしてくれた」

 そう言うと、彼らの小銃を俺たちに見せてくれた。
 なるほど、確かに用心金《ようじんがね》のところに切れ込みが入ってて、太い指が入るように加工されている。
 そして、彼らの銃は、、、、日本軍の99式小銃か。
 これもまた、第二次世界大戦当時の物だな、、、、やはりその、エムデイと言うやつは、第二次世界大戦当時からここへやってきた人物で正しいようだ。
 
「エムデイというやつの特徴は、どんなだったか教えてくれないか?」

「あまり顔は見えないよう、仮面を付けた状況だったが、雰囲気から察するに、恐らく白人系の人物だろう」

 それ以上のヒントは無かった。
 しかし、そのエムデイと言うやつが、俺たちを最初から狙っていた人物だとしたら、何でこんなことまでして俺を狙うんだろう。
 それは、まあ直接本人に聞くしか無いんだろうな。

 それにしても、今日の料理は美味いな、これは巨人族でも解るようで、薄味好みの巨人族でも、これはとても喜んでいた。
 エガが言ってた通り、この料理はメルガが作ったのか、なるほど、これは玲子君を超えるレベルだな、男にしておくのが勿体ないくらいだ。
 エガは、、、おいおい、ちゃっかりマキュウェルの隣をキープか?、なんだよイチャイチャと、、、なんだかこれはこれで気に食わないな、、。

『何言ってるんですかGF、私はいつでもGFに付いてますよ!」

『そう言ってくれるのはシズだけだよ!、サンキューな!」

『まあ、わたしだって、、、雄介様の事を、、、お慕えしておりますわ」

 シズにつられて、何言ってる玲子君、有り難い話だ、結局、マキュウェルやムスキとは、いずれお別れをしなければいけないしな、あまり思い入れが強すぎると、別れが辛くなる、ここはエガとマキュウェルをくっつけちゃうか?
 

 、、、すまんなキニーレイ少尉。
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