自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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武装する巨人山賊

第133話 それよりお嬢が心配だ!

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「おーい、ウクルキ、大丈夫か?怪我はないか?、ノアンカ、返事しろ、カシラビ、もう大丈夫だ、銃撃戦は終わりだ!」

 俺の声に最初に呼応したのはウクルキだった。

「おい、ウクルキ、、、、大丈夫か?」
 
 ウクルキは、巨人の最初の銃撃で左腕をやられていた。

「ああ、幸いかすっただけだ、貫通まではしていない、それよりお嬢が心配だ!」

 そのあと、カシラビが駆け付けた、カシラビは銃撃戦の割には無傷のようだった。やはり、薄暗い中での銃撃戦は命中率は低いようだった、そして、彼の持つ97式狙撃銃そげきじゅうは、照準眼鏡《スコープ》が装備されていたため、巨人の銃撃よりもっ命中精度は高いようだった。
 
『玲子君、その他のメンバーは、特にマキュウェルの居場所は解るか?」

『はい、雄介様の前方、約400mの位置に、、、いるようですが、複数人でいるようです」

 おい、複数人ってことは、ノアンカとマキュウェルの二人が一緒ってことではないよな!
 俺は、玲子君にシズから降りて合流するよう指示すると、四人で問題の400m先に向け、歩き出した。
 途中、先ほどムスキが銃撃で倒した巨人族が2体ほど転がっていた、まだ息はあるようだ、本当に銃撃でも死なないんだな。
 ムスキとウクルキを、巨人の近くに配し、俺とカシラビは、更に前へ進んだ。
 すると目の前、森の奥から声がした。

「おお、ユウスケ!無事だったか!」

「マキュウェル!、君こそどこへ行っていたんだ、危ないじゃないか、、、えっと、後ろの方々は?」

 俺はてっきり、マキュウェルが敵に捕まっているのではと考えていたが、よく見ると、とても紳士な雰囲気の3名がマキュウェルと連れ添っているではないか。

「えーと、失礼、そちらは?」

「ああ、さっきの銃撃戦の最中、私を守ってくれていた別の冒険者パーティのメンバーだ」

 マキュウェルがそう言い終わる前に、彼らのパーティメンバーの一人が、魔法の杖のようなものを地面に突き刺す、すると、杖の先端についていた宝石のような透明の石が、眩《まばゆ》いほどに光り出した。
 これは魔法か?、随分明るいんだな。
 俺とマキュウェルは、その光の眩しさよりも、光に照らされた先ほどの紳士の顔にこそ驚いてしまった。

「ユウスケ、、、、に、よく似ているな」

 彼は「エガ」と名乗ったが、俺たちがこの世界で見てきた人種と異なり、明らかに東洋人の顔で、何と言うか、俺と似てはいるものの、俺より少しハンサムに見えた。

 え、なんかそれ、ズルくない?
 
『あー、たしかに、これはズルいかもですよGF、顔の整い方、身長も少し高いですし、何より紳士、これは意外ですね」

『なんだよシズ、俺だってまあまあ紳士なんだぞ、、、、あ、いえ、そうでもなかったです、、。」

 俺は、先のムスキとの密着がバレバレだったことを思い出した、、、ああ、紳士なんて言えません!

「本当にどうもありがとう、助かった、連《つ》れがお世話になったようで」

 俺の「連れ」という発言にマキュウェルは少し動揺していたが、彼女がもっと動揺していたのは、エガの紳士な振る舞いだった。
 なんとなく上品でありながら、女性の扱いにも慣れている印象を受けた。
 マキュウェルは、これまで俺に見せたことのない表情を浮かべ、赤面しながらエガのエスコートを受けていた。
 、、、何なん?、ちょっとキザじゃないか?。
 
 ちょっと気分悪いな、俺に似ているから、余計に負けた気がするわ。
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