自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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武装する巨人山賊

第131話 間に合ってくれ、

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「ユウスケ様、こっち、急いで!」

「ムスキか?、良かった無事なのか」

 ムスキの小銃には、暗視装置も付いていた、この暗闇では、ムスキの小銃が有利に戦える。
 
「何か見えるか?」

「ええ、あまり言いにくいのだけど、、、、巨人は銃を装備していますわ。」

 は?、新たな敵ではないという事か?
 逆に身体能力の高い巨人が、小銃なんて持ったら、俺たちに勝ち目なんてないよな、、、。
 
『玲子君、そこから照明弾は撃てないか?」

『無理です、照明弾は落としても発火しません、砲弾として迫撃砲から打ち出さなければ照明になりません。」

 そりゃそうだ、どうする?、周囲を明るくしてしませば、ムスキの持っている暗視眼鏡のアドバンテージは消滅し、再び五分の勝負となる。
 いや、、、、しかし、この暗夜で撃ってくるってことは、相手は俺たちが見えている、と判断すべきだろう。
 そして、カシラビもノアンカも返事が返ってこない、、、、これはマズいな、、、、一番ヤバいのはマキュウェルだ、多分、今一人だろう、、、、やるしかない。

『玲子君、さっき銃声がしたところに、砲弾を10発くらい投げ込んでくれ、緊急だ」

『しかし、そんな所に撃ち込んでも、効果はありません、いいんですか?」

『大丈夫だ、考えがある、急いでくれ、みんなが心配だ」

 玲子君は、大急ぎで俺が指定した森の上空に到達すると、信管を活性化させた状態で、まとめて10発を落として空爆を始めた。
 
「ムスキ、暗視眼鏡の電源を切れ、ハレーションを起こすぞ」

 砲弾が落下した森の付近で、火災が発生し始めた。
 真っ暗闇の林内を、じわじわと火災の明かりが照らし始める。
 その時、また別の方向から、再び銃声が聞こえた



 ズターン ー ・ー




 敵の銃声だろうか、かなり近い、その銃声をきっかけに、、同じような音で銃の音が連続して聞こえるようになった、、、、これは、、銃撃戦が発生している?

 そうか、この銃撃戦はカシラビと巨人の銃撃戦の音なんだ、火災が発生したことで、双方に射撃できるようになったから、撃ちあいになっているんだな。
 それならば、まだこちらに分があるかもしれない。

「ムスキ、そのM-4カービンを、俺の言う通りに構えて準備してくれないか?」

「ええ、それはいいけど、何をする気なの?」

「この銃は、連発機能が付いている、どうやら巨人の持っている銃は、旧式のボルトアクション、要するにカシラビが装備している銃と同じ、一発づつ装填しないと撃てない手動式だ、巨人を誘《おび》き寄せて、指定した場所とタイミングで、ムスキは銃を連発で射撃してくれ、弾倉はフルで30発のものに交換してな」

 ムスキの銃に、簡易的な二脚《にきゃく》を装備させ、射線がブレないよう固定させた。
 
『玲子君、今火災が発生している森林から、西へ200mの地点から10m間隔で砲弾を150m分落としてくれ」

『何をなされるのですか?」

『追い込み漁《りょう》さ」

 巨人の進行方向には、銃撃戦をしているカシラビがいる、その後背に砲弾を落とせば、巨人は必ず反対側へ進むだろう、その先に、ムスキが連発状態にした銃を据えて待ち構えている。
 巨人の前進方向に対して、から連発で狙っているムスキの銃眼前《じゅうがんぜん》を横切れば、水を撒いているホースの水の前を通過するのと同じく、巨人は必ず射撃線を横切ることになるから、単発で狙いを定めて撃ちあうよりも、この暗闇では確実に相手に弾丸を命中させることが出来るだろう。
 弾薬の少ないこの状況としては、少しもったいない気もするが、マキュウェルの事が心配だ、急を要するから、一晩かけて撃退しました、では間に合わない。

 間に合ってくれ、マキュウェル!
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