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武装する巨人山賊

第127話 山 賊

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 まったく、あの戦いのあと、逃げるようにロクソム城を去ったから、人事やら編成やらの報告が後から来てしまい、旅路が少し遅れてしまった。

 それに、本来なら直接オルコ帝国領へ進入する予定だったが、密偵《みってい》と思っていたキニーレイ少尉を振り切ろうとして、進路を西から北へ変えてしまった。
 このまま北へ進めば、北の隣国フキアエズ王国領へ進入してしまう。
 しかしこれは案外、怪我の功名で、直接オルコ帝国領へ進入し、捕獲された時に、我々がドットスから来た事が安易に露呈《ろてい》するが、フキアエズ王国経由なら、俺たちはフキアエズの民とも、エフライムの民とも誤魔化すことが出来る。
 それであれば、険悪なムードのオルコ領内へ直接進入するよりもフキアエズは幾分か友好関係だから、まあ少しは安全だろう。

 、、、、、そう思って、俺たちはフキアエズ王国領へ入った訳だが、この国では、今少し問題が発生していた。
 それは、巨人族の一部が群れを離れ、一部が山賊化《さんぞくか》しているとのことだった。
 それは最初に入った宿場町でのことだった。

「お客さんがた、旅のお方?それとも冒険者御一行で?」

「ああ、一応、冒険者をやっているが、今は金銭的な問題は無いから基本的に仕事は受けていないな」

 宿の主人は、それを聞くと少し残念そうな顔をした。
 それと、くれぐれもここの地域では、野宿をしないよう注意された、その理由が、例の巨人騒動の始まりだった。
 
「カシラビ、巨人族って知り合いにいるか?」

「ああ、ごく稀ではあるが、一応いるぞ、興味あるのか?」

「今、宿の主人から、この辺で野宿は絶対にするなって言われたんだ、巨人が山賊化しているらしい」

「ええ、それはヤバいですぜ、巨人相手に武器が使えないからな」

 巨人って、単純に俺たちより身長がデカいだけじゃないの?

「カシラビとムスキは銃を持っているし、いくいらなんでも銃で撃たれたら倒れるだろ」

「ユウスケは巨人の怖さを知らないからそう思うんだろうな。あいつら、巨人って言いわするが、基本的に人間じゃあない、どちらかと言えば象に近いかな」

 ああ、銃が利きそうもないな、しかし、ムスキや玲子君が持っているのは自動小銃だから、単発のカシラビより、有利に戦えるんじゃないかと俺は思った。
 そんな時、宿に警察が訪ねてきた、俺たちは少し動揺した、警察がわざわざこんなところに来るなんて、、、身分がバレたか?
 友好関係があるとしても、一国の王女がお忍びで越境だからな。
 
「ノアンカ、ウクルキ、カシラビ、いいか?」

 3人は、無言で頷くと、小さくだが、抜刀の構えで警察が来るのを待った。
 警察官に、宿の主人は俺たちを指さす、密告か?この国は秘密警察方式なのか?
 全員息を飲む、、、、
 しかし、警察官は、少し意外な事を俺たちに話た。

「冒険者の方々ですね、我々は警察の者ですが、最近この付近に巨人の山賊が出現しまして、手を焼いております」

 どうやら、冒険者パーティだと思った警察は、俺たちに巨人の対処を依頼したいようだった。
 、、、と言ってもなあ。

「失礼ですが、フキアエズの軍隊は出動出来ないのですか?」

「お恥ずかしい話なのですが、通常攻撃では全く歯が立ちません、討伐隊を編成してはいますが、国としては、できるだけこの討伐隊に多くの冒険者を参加させ、確実な対応をしたいと考えているようでして、、、」

 警察官たちの口調は、どこか歯切れの悪いものだった。
 そりゃ、そんな化け物相手じゃ、無理もない。

 基本的に、この世界では火力というツールが無いため、人同士の戦いには軍隊、亜人相手の戦いには専門の冒険者、というのがスタンスらしい。
 いや、巨人って、人同士にはならないのか?
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