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旅立ちの朝に
第123話 ニックネーム
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「いお、マキュウェル、ちょっと待ってくれよ、別に俺たちはそういう関係じゃないことを、よく知ってるだろ」
呼び止めたマキュウェルは、少し意外なリアクションを取っていた、、、目に涙を浮かべていたんだ。
「あー、ユウスケ、お嬢を泣かせた、それはダメだろう」
ああ、もう、こんな時でもカシラビは悪乗りするな。
マキュウェルの想いは、当然気付いていた。
しかし、その重さのものだとは、さすがに想定外だった。
俺たち一同は、少し微妙な距離感となってしまったが、それでも今日はこのパーティの多くのメンバーが出世しためでたい日でもある。
少し宴の準備もしないとな。
「カシラビ、今日これから行く町に、なんかこう、お祝いの出来そうな良い店ってないか?」
「ああ、それなら、ちょっと値は張るけどレストランがあるな」
俺からも、彼らの労《ろう》を労《ねぎら》ってあげかった。
あの戦いは、完全に俺の賭けの発想での戦いだった、場合によってはみんな今日の日を迎えられなかっただろう。
それを、あれだけ戦い抜いてくれたんだ、何か気持ちでお礼がしたかった。
基本的に、今回の旅はマキュウェルが同行しているから、費用は全額王国の経費で落ちたが、今日は俺がご馳走したい。
「さ、今日は俺の奢りだ、存分に食って飲んでくれ」
「おお、今日はブラックナイトの奢りか!、では遠慮なく!」
「んあ?、、ブラックナイトって、何だ?俺の事?」
なんでも、ノアンカとウクルキは、敬語禁止は何とかなっても、敬称省略だけは慣れることが出来ず、ニックネームを付けることを考えたらしい。
カシラビがマキュウェルのことを「お嬢」と言った事が切っ掛けらしいが、何で俺が黒騎士《ブラックナイト》なんだよ。
ちなみに、ムスキが「姫」玲子君が「レディ」、、、、おい、レディは散々もめたやつなんだから、よせって!
と、思っていたが、意外にもこのあだ名を決めたのはマキュウェル本人だった。
、、、俺がマキュウェルに、必死に弁解していたことが、逆に良かったらしく、それは同時に、まだマキュウェルにもチャンスがあることを意味している、と認識したらしい、、、、チャンスって。
その日の宴の中で、マキュウェルが思いがけないことを言い出した。
「みんな、将校の昇任は、国王の承認が必要な行為だが、下士官の昇任は城主の権限だ。ここに、カシラビ伍長の軍曹昇任を承認する」
一同から「おお、」と小さく歓声が挙がった。
「お嬢、、、、」
「こら、そこはマキュウェル様でいいだろ、昇任告示なんだから」
どうもおかしな人間関係だな、一同は一斉に笑い出した。
だが、珍しくカシラビは真剣な表情だった。
この旅が始まって、彼は彼なりにこのパーティを盛り上げようと頑張っていたんだな、今日の昇任は、感極まったようだった。
それと、もう一つ、彼の心にもやもやしたものがあった。
呼び止めたマキュウェルは、少し意外なリアクションを取っていた、、、目に涙を浮かべていたんだ。
「あー、ユウスケ、お嬢を泣かせた、それはダメだろう」
ああ、もう、こんな時でもカシラビは悪乗りするな。
マキュウェルの想いは、当然気付いていた。
しかし、その重さのものだとは、さすがに想定外だった。
俺たち一同は、少し微妙な距離感となってしまったが、それでも今日はこのパーティの多くのメンバーが出世しためでたい日でもある。
少し宴の準備もしないとな。
「カシラビ、今日これから行く町に、なんかこう、お祝いの出来そうな良い店ってないか?」
「ああ、それなら、ちょっと値は張るけどレストランがあるな」
俺からも、彼らの労《ろう》を労《ねぎら》ってあげかった。
あの戦いは、完全に俺の賭けの発想での戦いだった、場合によってはみんな今日の日を迎えられなかっただろう。
それを、あれだけ戦い抜いてくれたんだ、何か気持ちでお礼がしたかった。
基本的に、今回の旅はマキュウェルが同行しているから、費用は全額王国の経費で落ちたが、今日は俺がご馳走したい。
「さ、今日は俺の奢りだ、存分に食って飲んでくれ」
「おお、今日はブラックナイトの奢りか!、では遠慮なく!」
「んあ?、、ブラックナイトって、何だ?俺の事?」
なんでも、ノアンカとウクルキは、敬語禁止は何とかなっても、敬称省略だけは慣れることが出来ず、ニックネームを付けることを考えたらしい。
カシラビがマキュウェルのことを「お嬢」と言った事が切っ掛けらしいが、何で俺が黒騎士《ブラックナイト》なんだよ。
ちなみに、ムスキが「姫」玲子君が「レディ」、、、、おい、レディは散々もめたやつなんだから、よせって!
と、思っていたが、意外にもこのあだ名を決めたのはマキュウェル本人だった。
、、、俺がマキュウェルに、必死に弁解していたことが、逆に良かったらしく、それは同時に、まだマキュウェルにもチャンスがあることを意味している、と認識したらしい、、、、チャンスって。
その日の宴の中で、マキュウェルが思いがけないことを言い出した。
「みんな、将校の昇任は、国王の承認が必要な行為だが、下士官の昇任は城主の権限だ。ここに、カシラビ伍長の軍曹昇任を承認する」
一同から「おお、」と小さく歓声が挙がった。
「お嬢、、、、」
「こら、そこはマキュウェル様でいいだろ、昇任告示なんだから」
どうもおかしな人間関係だな、一同は一斉に笑い出した。
だが、珍しくカシラビは真剣な表情だった。
この旅が始まって、彼は彼なりにこのパーティを盛り上げようと頑張っていたんだな、今日の昇任は、感極まったようだった。
それと、もう一つ、彼の心にもやもやしたものがあった。
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