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旅立ちの朝に

第120話 大きい体で小回りの利くやつ

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 パーティは、思ったより早く宿場町ワイドロアに到着した。
 カシラビは手際よく宿の手配と酒場に根回しをしてくれた。
 、、、、大きい体で小回りの利くやつだな、これには上官であるノアンカ大尉も関心していた。
 なぜなら、元来B中隊は、あまりその手のことが苦手な愚連隊という印象が強く、ノアンカもその点をカシラビに期待してはいなかった。

 このパーティでは、彼を連れてきたことは偶然とはいえ、良い選択だったと言える、細かく気配りが出来て、射撃もうまい、これは玲子君と良い勝負ではないかな?


「私、お酒の席は、ちょっとご遠慮させて頂きます、、、」

 おい、どうした玲子君、珍しいな、流れに逆らうようなことを言わないタイプのはずなのに。

「どうされたんですの?ミスズ、あなたらしくないですわね、体調でも悪いの?」

 ムスキが心配そうに聞いてきた、が、玲子君は

「いえ、先日の宴席で、私、少々飲み過ぎまして、、、」

 全員の視線が、なぜか俺に向けられる、それも勢いよく。

 、、、ちょ、え、、違、  っ俺何もしてないよ!?

 なんでみんな、そんな目で見るかなー、、、ってか玲子君、その言い方だと、俺と君の間に、何かあったみたいに聞こえちゃうって、、、、気付いてる?。

「、、、えーと、ミスズとユウスケは、あの日の晩、なにかあったのかしら?」

 マキュウェルが、あらたまって女性のような口調で聞いてくる、、、あ、女性だからいいのか。
 すると、突然、玲子君は両手で顔を覆い、固まってしまうではないか。
 、、、、おい!、おいおいおいおい!
 、ちょっとまて、それ一番やっちゃダメなリアクションじゃない?
 
 あー、ほら、あれだよ、みんな絶対、なんかあったって、もう、思っちゃってるよ。

 ほらー、静かになっちゃったじゃん。

「私、、、、もう、恥ずかしくて、、、、」

 だーかーらー、それダメだって!!
 うわっ、もうマキュウェルとムスキが、めちゃくちゃ鋭い目で俺を見てるし。
 恥ずかしかったのは理解できますよ、だって、ずっと嘔吐してたんだからさ、、でも、それ、俺、悪くないじゃん!

「ユウスケ、貴方がそんな破廉恥な男だったなんて、残念ね」

「、、、、私もです、もうちょっと紳士な勇者様だと信じていたのに」

 マキュウェルさん?、ムスキさん?、何、その、軽蔑モード!
 おい、男性陣も、なんか喋れよ!、黙るなって!、、、ウクルキ!、下向くな!、カシラビ、笑うな!

「、、、、皆さん、、、、急に静かになって、どうされたんですか?」

 いや、君のせいだろ玲子君、君も大概、天然なのな!。

 、、、、とりあえず、酒場に行く前に誤解は解けたが、、、まったくいいネタだよ、今日はいじられるんだろうなー。
 そして、このネタに一番食いつきがよかったのが、意外にもカシラビだった。

「いやあ、ユウスケも隅におけませんな、ね、お嬢」

 なんだよ、その「お嬢」って、、、、なんだか響きがいいな、俺も使うかな。
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