自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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怒号と雄叫び

第114話 こんなデタラメな宴会は

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 昨晩は、そのまま戦勝記念パーティーと、ベナル結婚おめでとう会へと移行し、城内は異様な盛り上がりを見せていた。
 更に悪乗りした青年将校たちは、宴席を盛り上げるために、屈強な兵士を城内に招き入れ、酒と料理と新兵と古参の軍曹連中がぐちゃぐちゃに入り乱れ、もはやカオスな状態での大宴会へと発展した。

 こんなデタラメな宴会は初めてだ。
 だが、底抜けに楽しい宴会だ。
 下士官や兵士たちの中には、悪ふざけしながら壇上に上がり、さっきのベナルの求婚シーンを真似る者、冷やかす者、笑いのネタを即興で作って寸劇を始める者まで現れた。
 それでも止めるものは、この日に限って誰もいない。
 城主のマキュウェルですら、扇子で口元すら覆っているものの、もう、腹が捩れるほどの爆笑の連続だった。
 、、、こんな時、立場がある人間は辛いね、大笑いすら遠慮しなきゃいけないんだから。

 そして、俺の記憶は、大体この辺であやふやになる。

 俺も、かなり豪快に呑んだ。
 自分が酒に強いのか、弱いのかも解っていない二十歳の若造が、酒の量などお構いなしに雰囲気で飲んでいれば、そりゃそうなるわな。

 、、、、んーん、目が回る、眠いのに、目を閉じるのが怖いほど、目が回っているのが解る。
 今、何時ぐらいだろう?
 
『おーい、シズ、、、ちょっとすまない、今何時ぐらいか解るか?」

 あれ?、返事がないな。
 珍しい、大丈夫か?

『おーい、シズさーん、、、、大丈夫か?」

『、、、、はーーい、大丈夫でーす」

 なんだ?いつもと様子が変だぞ?

『どうした?シズ?、調子が悪いのか?」

『いえ、昨日の大宴会で、私、少し飲みすぎまして、、、」

 あん?、飲みすぎ?、何でシズが?

『いえ、だって、GFと美鈴、とっても楽しそうだったので、、、」

『いや、そういうことを聞いているんじゃなくてさ、、、君、AIなんだから、一緒になんて飲めないだろうに」

『、、、、、、、、いやー、、、本当にすいません。」

 え、?、何、?、何を誤るような事?

『実は、、、、、、私もこっそりそっちに行ってしまいまして、、、」

 はい?、、、こっちに来た?

『、、、、えへへへへ、、、、。」

『こらこら、なんだか嫌な予感しかしないぞ、、なんだ、こっちに来たって?」

『、、、、、えっと、、、じゃあ、、、ヒント、、、ムスキさんとは、とっても仲良しになれました、、。」

 おい、、、、まさか、、、!

『こら、シズ、お前、まさか小さい姿で、こっち来たんじゃないだろうな?」

『、、、、、、、、正解、です。」

 あちゃー、、なんかやっちまったぞ、これは。
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