自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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改変世界の作戦会議

第77話 友 情

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「私としては、とても嬉しいことではあしますが、、、マキュウェル様の婚姻に関する件が一段落しなければ、私の結婚のお話は進める気持ちになれません」

「まったく、あなたって人は。私が親友の結婚を祝福しないとでも思っているの?、私のことは大丈夫です、あなたの気持ちをベナルに伝えなさい」

 リラルは涙ぐんで、静かに頷いた。

「ベナルお兄様、私でよろしければ、、、喜んでお受けします」

 会場が小さく歓声が上がる。
 ムスキも、涙をながしながらリラルの所へ駆けつけておめでとうを言いながら二人は抱き合って喜び合った。

 、、、って、おい、ムスキはそれでいいのか?

「失礼、会話に割って入るようで申し訳ないが、、その、ムスキとベナルは、、それでいいのか?」

 、、、俺意外の全員が、怪訝そうな顔でこちらを一斉に見る。
 そして、マキュウェルが真っ先に笑い出す。

「もしかして、ハハハ、失礼、、ユウスケ様はムスキとベナルの事を、何か勘違いされていないか?」

 すると、今度は俺意外の全員が、大爆笑し始めた。

「ユウスケ殿、私の名前はベナル・アイラベル、ムスキは、ムスキ・アイラベル、私とムスキは兄妹なんですよ」

 ああ、そう言えば名字が一緒だ、、そうか気が付かなかった!、玲子君は、、、気付いていたっぽい、俺だけか、気付いていなかったのって。
 、、、、、恥ずかしい!。


 さて、夕食会はすっかりベナルとリラルの婚約話で盛り上がり、楽しい一時が過ぎ去って行った。
 、、、、おい、フキアエズ王子とマキュウェルの婚姻話はどこへ行った?。
 しかし、浮かれてばかりもいられない、恐らく城の周囲には、オルコの軍勢が包囲を進めているだろう。
 まだ、両軍の兵力差も把握出来ていない状態で、未来を明るく語り合うことは出来ないだろう。
 当然、ベナルもそのことを理解した上で、マキュウェルに結婚意志があることを伝えたのだろうし、、、それだけ、この城の置かれた状況は良くないと言う事なんだろう。
、、、大丈夫かベナル、俺たちのいた世界では、それ、死亡フラグって言う伝統の技なんだぞ。
 
「ベナル、男同士、ちょっと呑まないか」

 俺は、ベナルを婚約祝いを兼ねて、自室にベナルを招いた。
 女性陣は女性陣で、マキュウェルの部屋で女子会をするらしい。
 、、、多分、男性陣の話しは、あまり楽しいものにはならないだろう。
 部屋には、専属の従者が準備してくれた酒とオードブルが準備され、なんだかもう一度夕食を取るかのようにテーブルには豪華に彩られた。

「まずはリラル嬢との婚約、おめでとう」

「ええ、ありがとうございますユウスケ殿」

「なあ、俺たちはこの城では知った仲だと思っている、そのユウスケ殿というのはやめて、お互い名前で呼び合わないか、敬語もよそよそしい、それに、腹を割って話さなければいけないことが、たくさんあるはずだよな、我々には」

 ベナルは、少し間を置いて、小さく頷くと、では遠慮なく、ユウスケ、と、俺のことを呼んでくれた。

「さて、単刀直入に聞くが、この城の周囲に、オルコの軍勢はどれだけ居るんだ?」

「もう、気付いていたんですね、かなり深刻なレベルだ、ざっと3個師団はいると考えた方がいい」

「こっちの軍備はどれぐらいだ?、それと、敵の3コ師団とは、人数でどれくらいだ?」

 ベナルの話しでは、敵の数は3万人ほど、ドットス側は、ロスコム城守備隊5千名に、本国からの増援が3千名、、合計8千名程度で、オルコと正面きって戦える兵力とは言えない。
 守るだけなら、、、いや、守ってばかりいても、現状変更出来なければ現世を変える起爆剤にはなり得ない、ここは撃って出るか?、しかし、どうやって?
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