自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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ロクソム城へ

第70話 SIZの中へ

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 玲子君とシズが口論をしたあと、二人はあまり話さなくなってしまった。
 俺にはわからない、何か未来の決まり事でもあるんだろう。
 しかし、俺はシズの提案に興味があった。
 要するに、電脳体となってシズの世界に行くと言うことなんだよな、それってVRとか、現世でもやっていることだし、特別危ないことではないよな。
 俺は、シズに小声で声をかけて、そっちの世界に行ってみたい旨を告げると、、、

『はい!、GFを歓迎いたしますわ! 嬉しい!!!」

 シズの喜びようは半端ではなかった。
 大丈夫か、玲子君に聞こえてないか?

『、、、大丈夫ですよ、ディバイスは切りました、それではGF、安定した場所へ移動してください。」

 シズが言うには、そちらの世界へ行っている間は寝ている状態のようになって、体の自由が利かなくなるらしい。
 その間、シズが俺の体を守ってくれているとのことだった。
 本来は、機体本体でないと出来ないのだが、距離も近いので、遠隔で行うとのことだった。

『大丈夫か、シズ、途中で通信途切れて、エラーです、戻れません、とかは無いよな?」

『はい! 大丈夫です!、もしそうなってもSIZの中でずっと居てもらってもいいですし」

『いや、さすがにそれはダメだろう!」

『冗談ですわ、それでは早速始めましょう!」

 シズ、テンション高いなあ、キャッピキャピ騒いでるな。
 そんなに嬉しいのか?

 丁度、ベナルの解説と、作戦会議が終了し、俺は一度自室に戻ることにした。
 そして、服を着たままブーツすら履いたまま、ベッドに仰向けになると、シズを呼び出した。

『シズ、準備できたぞ」

『はい!GF様!、、、それでは行きます」

 シズがそう言った直後、俺の意識は何かに吸い込まれるように移動してゆくのが解った。
 そして、肉体から離れ、しかしはっきりと意識は別次元にでも飛んで行くような感覚に襲われた。
 これは、、、、意外と気持ちが良い、爽快だ。
 
 こうして意識が肉体を離れると、肉体とは苦痛と快楽の狭間に揺れる鬱陶しいもののようにすら感じられた。
 意識が飛んで行った先では、何か真っ白な何もない部屋にたどり着いた。
 俺がキョロキョロしていると、突然目の前に少女が立っていた。

「、、、、GF、、ああ、GF、本当にGFなんですね。」

 あ、この声は、、、シズか?

「やあシズ、これはなんと言うか、、初めましてかな?」

 なんだか凄く恥ずかしい。
 彼女は組織の制服なのか、それでいて少女のような印象で、玲子君とは違い、声の印象の通りの女子高生のような容姿だった。
 華奢な体に、こうして見ると女子校の制服のような感じか、そう考えると、シズがますます女子高生に見えてきた。
 俺は男兄弟だけだから、これは新鮮なイメージだ、妹がいたらこんな感じなんだろうか。
 玲子君とは違うが、シズはシズで美少女だったんだな。

「、、、なーに見ているんですか?私のことが、もしかして気になったりしてます?」

 もう、本当に嬉しそうに俺の周りを回りながら聞いてくる。
 
「、気になるもなにも、シズには俺の考えていることが解るだろ?、ああ、とても気になっているよ。美人なんだな」

「やったー!、GFの心を鷲掴み!でも、この世界では、あえて思考リードモードを切っています、、、、GFと、二人っきりのこの時間を楽しみたいですからね」

 まるで、気まぐれ猫のように、俺の体にまとわりつきながら話しかけてくる、そのとき、俺はシズを肉体的感覚で、、、要するに触れる事が出来ることに気付いた。
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