自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

文字の大きさ
上 下
56 / 390
分岐世界の冒険者たち

第56話 メインAI「SIZ」

しおりを挟む
 タイムマシーンのコクピット内に突然女性の声が響く

「時空転移を開始しますか?」

 え、誰?、ちょっと、新キャラ登場しちゃってる?

「今の声は、誰だ?」

「ええ、彼女はこのタイムマシーンのメインAIで、「SIZ」と申します。」

「シズ、でいいのか?よろしく、シズ」

「、、、ご丁寧に、、どうも。お会い出来て光栄ですわ、GF」

「まあ、SIZったら、雄介様には随分しおらしいこと」

「美鈴、あなたこそ雄介様って、ちょっと馴れ馴れしいんじゃないの?」

 女友達同士の会話になってないか、これは。
 そう言えば、未来のAIは、人間と同等に扱われているんだったな。
 
「シズは、玲子君と知り合って何年くらいになるんだ?」

「はい、ほんの少し前ですが、美鈴のことはデータリンクで、もう随分前からよく知っていますわ、、、それにしても、お互い下の名前で呼び合うんですね、、、その美鈴とは、、」

 なんだか妙に女性っぽさを感じるコンピュータだな、中に人間でも入っているんじゃないのか?
 しかし、データリンクが出来ているなら、シズは一個の人間というより、母体のあるコンピュータの端末のようなものなのか?

「ならば、シズも、下の名前で呼ぼうか?」

「ひゃっ、私は下も上もありません、お気持ちだけで十分です!」

「そうなのか、それでは道中、よろしく頼むな」

「はい、GF、よろしくお願い致します。今後、あちらの世界では、GFの端末に入って、24時間サポート致しますわ」

 なんだか張り切っているな、彼女らAIにとても、GFとは偉いと認識出来る存在なんだな。
 しかし、AIに性別って必要あるのか?
 現世のAIって、声の性別は選べるけど、属性としての男女は無いはずだが。

「24時間も、申し訳ないな、君は寝なくて大丈夫なのか?」

「まあ、、、GFはさすがですね、とてもお優しい、、なんて罪作りなお方」

「、、、SIZ、お止めなさい、少し下品ですよ、あまりキャサリンを待たせてはいけません、エラーノリターンを始めましょう」

「はーい、美鈴は堅いんだから、、、それではあらためまして、、、エラーノリターンを開始します。エラーノリターンの申請をお願いします」

 急にコンピュータっぽい感じになったな、、、まあ、今更ではあるけど。
 で、申請って、どうすりゃいいんだ?

「雄介様、音声認識で行います、SIZに私と同じ言葉を発してください」

「何て言うんだ」

「はい、そのままエラーノリターンと呼称します」

 ああ、それ、ヒーロー物とかでやるやつだよな、必殺技の名前言いながらキックとかパンチするやつだよな、、、、
 二十歳過ぎてから、あれやるのか?
 ちょっと恥ずかしいけど、まあ、あれだ、ヒーローになった気分で、、もうやるしかないな。

「では行きます、「エラーノリターン」」

「、、、エラーーーーノ ッリッターーーン!」

「あ、雄介様、声の大きさは普通で大丈夫です。」

 、、、、そういうところだぞ、玲子君!
 ああ、もう、やった後だから、すんげー恥ずかしくなってきた、一生モノのトラウマだよ!
 きっと、心の中で、玲子君も笑っているんだろうな、、、
 すると、前の席に座っている、玲子君の肩が、笑いを堪えてか小刻みに震えていた。
 !
 もう、マジか?
 よく見たら、シズも、なんだかピンク色になって、、、これって笑いを堪えていないか?
 窓の外のキャサリンを見ると、、、
 あー、もう、大爆笑しているじゃん。

 まったく、なんて日だ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちゃぼ茶のショートショート 「フラッシュモブ」

ちゃぼ茶
ミステリー
あなたの人生はあなたのもの、私の人生は私のもの……とは限らない人生も面白い

それは奇妙な町でした

ねこしゃけ日和
ミステリー
 売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。  バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。  猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

『量子の檻 -永遠の観測者-』

葉羽
ミステリー
【あらすじ】 天才高校生の神藤葉羽は、ある日、量子物理学者・霧島誠一教授の不可解な死亡事件に巻き込まれる。完全密室で発見された教授の遺体。そして、研究所に残された謎めいた研究ノート。 幼なじみの望月彩由美とともに真相を追う葉羽だが、事態は予想外の展開を見せ始める。二人の体に浮かび上がる不思議な模様。そして、現実世界に重なる別次元の存在。 やがて明らかになる衝撃的な真実―霧島教授の研究は、人類の存在を脅かす異次元生命体から世界を守るための「量子の檻」プロジェクトだった。 教授の死は自作自演。それは、次世代の守護者を選出するための壮大な実験だったのだ。 葉羽と彩由美は、互いへの想いと強い絆によって、人類と異次元存在の境界を守る「永遠の観測者」として選ばれる。二人の純粋な感情が、最強の量子バリアとなったのだ。 現代物理学の限界に挑戦する本格ミステリーでありながら、壮大なSFファンタジー、そしてピュアな青春ラブストーリーの要素も併せ持つ。「観測」と「愛」をテーマに、科学と感情の境界を探る新しい形の本格推理小説。

未来から来た美女の俺

廣瀬純一
SF
未来から来た美女が未来の自分だった男の話

エリカ

喜島 塔
ミステリー
 藍浦ツバサ。21歳。都内の大学に通う普通の大学生。ただ、彼には、人を愛するという感情が抜け落ちていたかのように見えた。「エリカ」という女に出逢うまでは。ツバサがエリカと出逢ってから、彼にとっての「女」は「エリカ」だけとなった。エリカ以外の、生物学上の「女」など、すべて、この世からいなくなればいい、と思った。そんなふたりが辿り着く「愛」の終着駅とはいかに?

少年館

華岡光
ミステリー
とあるヨーロッパのある国の田舎街には上中流階級の男性の欲望を満たすための秘密の場所があった。彼等からは"蜜の園"と呼ばれるその場所はおぞましい社性交界の場でもあった。

処理中です...