自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

文字の大きさ
上 下
47 / 411
当初の目的地へ強行着陸

第47話 強烈な何かが光った

しおりを挟む
「こら、なにしている!、勝手に操縦するな、降りてこい!」

 戦闘機のクルーだろうか、もの凄い慌てた様子でこちらに怒鳴ってくる。
 そう、彼が話していると、艦内から再び爆発音がした。
 夕日に照らされた空母が、だんだん小さくなってゆく。
 放射能の漏れなどないか少し心配だったが、さっきまで一緒に戦っていた搭乗員達が小さくなって行くのが見えて、罪悪感が沸いてきた。

「あの艦が、無事でいてくれたらいいが」

「雄介様、お優しいのは解ります、でも、もう少しご自愛ください。今回は本当に生命の危険がありました、雄介様は、本当に世界のこれからを左右してしまうお方です、どうかご自身を、、、」

 彼女がそう話していると、真下の方から強烈な何かが光ったのが見えた。
 、、、と言うより、周囲全てが、フラッシュの光のような中に入り込んだようにも見えた。
 次の瞬間、機体が真下からの大きな衝撃によって上へと押し上げられた。

「おい、これは、なんだ?」

「雄介様、このまま操縦桿を離さないでください、ここは空の上ですから、体制は維持できます」

 そうは言っても、飛んでいるものは、落ちるだろ、機体がバラバラになりそうな勢いの衝撃だぞ。
 後ろを振り向くと、先ほどまで航行していた空母が大きな火柱と煙を噴き上げて停止している。

「ああ、エンタープライズが!」

 彼女がつぶやく、エンタープライズ?
 あの空母はロナルド・レーガンではなかったか?
 そもそも、エンタープライズなどという空母が横須賀に来たことなんてあっただろうか?

「あの空母はロナルド・レーガンではないのか?」

「いえ、エンタープライズですが」

 なんとなく違和感を感じていたが、そう思っていると、空母はどんどん小さくなってゆく

「沈まねばよいのだが」

「恐らく、、だめだと思います」

「どうしてだ?まだ撃沈とは限らない」

「いえ、本来の歴史では、、、」

 彼女がそう言い終わる前に、再び空母の方向から閃光が走った。

「またか、くそ!」

「いえ、今度の閃光は、敵の攻撃によるものではありません、先ほどの閃光は弾道弾による攻撃、今回のは」

 彼女がそう言うと、少し遅れて再び強い衝撃が機体を襲った。

「うわ、今度のは更に大きいな、これほど距離を取っているのに」

「そうですね、こんどの爆発は、空母本体の爆発ですから」

 え、本体?洋上に出ているとはいえ、あのクラスの原子力空母が爆発する、、、それは考えたくもない事実であった。
 原子力機関が、どの程度の爆発威力を持っているのかは解らない、しかし、その破壊力は弾道弾のそれとは全く異なる物であることは容易に想像できる。

「私達が知っている歴史の中でも、同じく空母エンタープライズは爆発轟沈し、周囲を汚染しています。今回の歴史は、雄介様が少し改変させましたから、陸地の汚染はそこまで深刻ではないと思われますが、影響が皆無ではありません」

 そうだったんだ、あの空母を救うことは出来なかったが、周囲を汚染は防ぐことができたんだな。
 しかし、当初の目的であった第3次世界大戦を防ぐことは出来なくなってしまった。
 そう思っていたら、ヘリの機内で警報音がけたたましく鳴り響いた。

「これはなんだ?」

「はい、油圧系統とエンジン、それに燃料系統も警告音を出しています」

「つまり、、、?」

「かなり危険な状況です」

 だよな、あれだけの衝撃を二回も受けてて飛んでいることが不思議なくらいだ、おまけに最初の銃撃戦で、少し被弾しているはずだしな、こりゃ、、、、落ちるな!。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―

kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。 しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。 帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。 帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!

処理中です...