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海軍基地の攻防戦

第40話 近接戦闘

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 俺は、着慣れないアメリカ軍の戦闘服を着た。
 ブーツも、足のサイズはぴったりだが、やはり違和感が否めない。
 彼女は既に着替え終わって、今、持ってゆく武器を物色している。
 たしかに、昨日まで使っていた自衛隊の89式では、この軍装に合わないから、不審感丸出しだ。
 昨日見た武器の中に、米軍のものは無かったが、彼女はどこからか、米軍のM4カービンを2丁と弾薬、弾倉を大きな袋に入れて持ってきた。

「マーシャンが、気を使って車の中に二人分の装備を入れていてくれたようですわ」

 おお、マーシャン、ナイス!
 、、、、なんだか、解ってたみたいで怖いけど。
 でも、エラーノリターンの話が出た時、柄にもなく驚いていたから、知ってたってことはないのか。
 とりあえず、大きな鏡の前で、自分の軍服姿を見てみる。
 自衛隊の戦闘服と違って、少しラフな印象がある。
 そうしていると、彼女が「よく、お似合いですよ」と、微妙なフォローを入れてきた。
 彼女の階級は中尉であったが、俺のは、これは米軍で言うところの、どのレベルなんだろう。

「玲子君、この階級は、どのくらいの階級だい」

「はい、雄介様の自衛隊での階級と同じ軍曹にしてあります」

 ああ、軍曹ね、まあ、20歳の年齢で軍曹付けてれば、十分に高い階級なんだけど、玲子君、君は19歳で中尉って、高すぎない?

「申し訳ありません、今回は私の方が雄介様より上位階級ですが、少し我慢してください」

「いや、構わんよ。変に高い階級を付けても、知識が無いから何かあれば切り抜けるのが困難だからな」

「そんな、ご謙遜を。私も中尉と言っても、未来での階級ですから、この時代の中尉の仕事は出来ませんわ」

 え、そうなの?未来では君、本当に中尉さんなの?、、、、結構すごいね、一体君は未来で何をしている人なの?

「そうか、君は本当に中尉の階級なんだな。すごいじゃないか、19歳でその階級は、現代では考えられないな」

 そう言いきる前に、再び弾道弾攻撃の規模が増した。
 少し攻撃の仕方が違うように感じられる。
 何だ?一番最初の攻撃より、少し規模が小さく感じる。

「雄介様、少し急いだ方が良いかもしれません」

 彼女がそう言うと、俺が感じた違和感が、意外にも的中していた。
 敵の攻撃は長距離からの弾道弾攻撃から、近接戦闘へ移行しつつあった。
 つまり、窓の外に、国籍不明の船がいて、そこから勢いよくこちらに射撃されていたのである。

「これは、特殊部隊攻撃か?そもそもこんなやり方、国際法違反ではないか」

「雄介様、なるほど、今回の件、少し理解出来ました。これは世界線分岐に必要なイヴェント線を早めて、横須賀が戦場になるように作為されています。この攻撃方法自体は、歴史上の攻撃要領と酷似しています」

「つまり、この後の展開を、君は知っているってことだな?」

「はい、この弾道弾攻撃と平行して、あそこに見えいている不審船から迫撃砲による攻撃、そして、それに呼応した、武装工作員による着上陸作戦が展開されます」

「ゲリラ戦になると言うことか?」

「はい、横須賀基地の守備隊は、海軍基準ですから、陸戦に持ち込まれると非常に厄介です」

「ここには、何か反撃出来る武器は無いのか?」

「残念ですが、ここはお逃げになった方が賢明です」

「いや、断る。この惨状を見て、逃げろと言うのか?」

 俺は、戦場の風に当てられたのか、体の芯から闘志が沸き上がるのを感じていた。
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