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海軍基地の攻防戦
第37話 妙な符号が一致する
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楽しい昼食だった。
昨日から、それでもまだ24時間も経過していない、俺と玲子君が出会って。
もう、何日も一緒に行動しているような気になるほど、彼女と過ごした時間の密度は濃いものを感じた。
しかし、アメリカのハンバーガーはデカい。
結構頑張って食べているのだが、なかなか減らない。
なんだか、玲子君とこうしていると、もう付き合いの長いカップルのような気さえしてくる。
周囲からも、俺たちはそう見えているだろう。
俺は、もう住むところもなく、家族とも連絡が出来ない状況にあるが、不思議と今のこの状況が、終わらないでほしいとさえ思った、でも、それが何故だかよく解らない状態でもあった。
米軍基地を、一歩でも出てしまえば、俺たちは再び敵に追われる身となる、だから、このデートは、この基地内限定のイベントだ、、、いつまでもここに居る訳にはいかない。
玲子君と、次の行動を検討しないといけない。
「玲子君、マーシャンのラボにある車が修理を終えたら、その後の行動だが」
「はい、本日は一日基地内で過ごし、明日車の修理が終えましたら当初の目的地へ向かいます。」
そうか、こんなのんびりした日常は、やはり今日一杯なんだな。
なんだか少し寂しくもあったが、昨日までの異常性を考えれば、あまり長居する場所でもないのかもしれない。
ならば、今日は基地を楽しむか、そんな風に思った時だった。
彼女が、少し怪訝そうな顔をしたかと思いきや、一瞬間をおいて、彼女は俺に叫んだ
「雄介様、伏せてください」
前回は、かなり冷静に床に押し倒されたが、今回はそれも間に合わないほどの速度で、何かが襲いかかったようだった。
それは、昨日の狙撃とは、明らかに異なる質量のものが移動している。
そして、その質量は、先程の自転車で通過した、空母の停泊している方向に向かって、、、落ちた。
それとともに、巨大な爆発音と、衝撃波が基地全体を覆った。
「なんだ、一体何が起きている?」
「雄介様、一旦、宿舎へ戻りましょう」
俺は何がなんだかさっぱり掴めないまま、彼女が言う通り、食べかけのハンバーガーをマナー悪く放り投げ、自転車に飛び乗り宿舎を目指した。
そうこうしている内に、先ほどの大質量の何かは、更に複数、基地に襲いかかった。
もう、それは、いわゆる弾道ミサイルであることは明白だった。
「雄介様、少し苦しかもしれませんが、この事態はイレギュラーです。歴史と異なることが起きています、全力で行けますか?」
ええ、そりゃ全速で行きますよ。
俺は、彼女の後を全力で自転車を漕ぎながら、これほどの巨大な基地を襲撃する勢力とは一体どこの国なんだろうと思った。
当然、これは俺がらみ、つまりGFを抹消しようとする勢力によるものだと思われたが、さすがに横須賀米海軍を全滅させる勢いでの弾道弾攻撃には、俺の頭が付いてゆかない。
世界の警察、アメリカ軍に先制攻撃を行う国家は限定的だろう、いや、むしろ、相当の覚悟をしないとこんなことは出来ない。
つまり、これは中途半端なテロ攻撃などではない、国家間の戦争を示す。
そして、俺は目の前の現状にあっけに取られているだけで、実は同じことが世界中の米軍基地で起きているのでは、と考えるようになっていた。
、、、、それって、第3次世界大戦になってしまうではないか。
そして、俺は、妙な符号が一致することに気付いた。
玲子君は、ここへ来てからずっと、この時代の事を「戦前」と呼んでいたことを、思い出したのである。
俺はその時、全身の血の気が引くのが解った。
つまり、俺たちが今いる時代は、どのみち世界大戦が起きる前の世界だという事なのだから。
昨日から、それでもまだ24時間も経過していない、俺と玲子君が出会って。
もう、何日も一緒に行動しているような気になるほど、彼女と過ごした時間の密度は濃いものを感じた。
しかし、アメリカのハンバーガーはデカい。
結構頑張って食べているのだが、なかなか減らない。
なんだか、玲子君とこうしていると、もう付き合いの長いカップルのような気さえしてくる。
周囲からも、俺たちはそう見えているだろう。
俺は、もう住むところもなく、家族とも連絡が出来ない状況にあるが、不思議と今のこの状況が、終わらないでほしいとさえ思った、でも、それが何故だかよく解らない状態でもあった。
米軍基地を、一歩でも出てしまえば、俺たちは再び敵に追われる身となる、だから、このデートは、この基地内限定のイベントだ、、、いつまでもここに居る訳にはいかない。
玲子君と、次の行動を検討しないといけない。
「玲子君、マーシャンのラボにある車が修理を終えたら、その後の行動だが」
「はい、本日は一日基地内で過ごし、明日車の修理が終えましたら当初の目的地へ向かいます。」
そうか、こんなのんびりした日常は、やはり今日一杯なんだな。
なんだか少し寂しくもあったが、昨日までの異常性を考えれば、あまり長居する場所でもないのかもしれない。
ならば、今日は基地を楽しむか、そんな風に思った時だった。
彼女が、少し怪訝そうな顔をしたかと思いきや、一瞬間をおいて、彼女は俺に叫んだ
「雄介様、伏せてください」
前回は、かなり冷静に床に押し倒されたが、今回はそれも間に合わないほどの速度で、何かが襲いかかったようだった。
それは、昨日の狙撃とは、明らかに異なる質量のものが移動している。
そして、その質量は、先程の自転車で通過した、空母の停泊している方向に向かって、、、落ちた。
それとともに、巨大な爆発音と、衝撃波が基地全体を覆った。
「なんだ、一体何が起きている?」
「雄介様、一旦、宿舎へ戻りましょう」
俺は何がなんだかさっぱり掴めないまま、彼女が言う通り、食べかけのハンバーガーをマナー悪く放り投げ、自転車に飛び乗り宿舎を目指した。
そうこうしている内に、先ほどの大質量の何かは、更に複数、基地に襲いかかった。
もう、それは、いわゆる弾道ミサイルであることは明白だった。
「雄介様、少し苦しかもしれませんが、この事態はイレギュラーです。歴史と異なることが起きています、全力で行けますか?」
ええ、そりゃ全速で行きますよ。
俺は、彼女の後を全力で自転車を漕ぎながら、これほどの巨大な基地を襲撃する勢力とは一体どこの国なんだろうと思った。
当然、これは俺がらみ、つまりGFを抹消しようとする勢力によるものだと思われたが、さすがに横須賀米海軍を全滅させる勢いでの弾道弾攻撃には、俺の頭が付いてゆかない。
世界の警察、アメリカ軍に先制攻撃を行う国家は限定的だろう、いや、むしろ、相当の覚悟をしないとこんなことは出来ない。
つまり、これは中途半端なテロ攻撃などではない、国家間の戦争を示す。
そして、俺は目の前の現状にあっけに取られているだけで、実は同じことが世界中の米軍基地で起きているのでは、と考えるようになっていた。
、、、、それって、第3次世界大戦になってしまうではないか。
そして、俺は、妙な符号が一致することに気付いた。
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俺はその時、全身の血の気が引くのが解った。
つまり、俺たちが今いる時代は、どのみち世界大戦が起きる前の世界だという事なのだから。
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